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【小説】とあるゲイの恋物語【第4話】

としやは、店を出た後、
ため息をつきながら、トボトボと駅に向かって歩いていた。


その後ろ姿を見つけ、息を切らしながこうすけが駆け寄る。

「としやくん。」


としやは、その声に驚き、振り向いた。

「え!?こうすけさん?どういたんですか?」

こうすけは、としやにキーケースを見せた。

「としやくん、忘れ物だよ。」

「す、すみません、ありがとうございます。

としやが、キーケースを受け取ると
あたりが、静まり返った。

「・・・」

2人は黙り込んでしまった。


少しして、こうすけが口を開いた。

「としやくん。さっきはごめん。」
「急に彼氏がいるの?なんて、失礼なこと聞いちゃって。」


としやは、その言葉に少し驚いた様子で答えた。

「あ、いえ、大丈夫ですよ。」
「僕、この歳で彼氏がいたことないので。」
「どうしたらいいのか、わからなくなってしまって。」

としやの目が潤んでいった。

「そうだったんだね…」

こうすけは、としやを見ながら、言葉を詰まらせた。

「・・・」

「あっ、あのさ、よかったらーーーー」
「今度よかったら、2人でご飯に行かない?」

こうすけが、勇気を振り絞って、としやに問いかけた。

としやは緊張と嬉しさで少し興奮した様子で
「ぼ、僕とですか?」

こうすけは、照れながらも、落ち着いた様子で
「そうだよ、としやくんと俺で。だめかな?」


としやは、高鳴る自分の心臓の音で、一瞬周りの音が静まった。

「・・・はい。」

としやも照れながら、精一杯の返事をした。

「としやくん、連絡先を…交換してください」

こうすけが、そういうと、としやもスマホを取り出した。

お互いに、おぼつかない手つきで連絡先を交換した。


交換が終わると、

「としやくん、ありがとう。」
「それじゃ、またね。気をつけて帰ってね。」

こうすけは、笑顔で、としやを見つめた。

「はい。ありがとうございました。こうすけさんもお気をつけて。」

としやも笑顔で答えた。

2人がそう言い終わると、
こうすけは手を振りながらきた道を戻った。


こうすけの姿が見えなくなると、
としやはスマホの画面を見ながら、おさまらぬ胸の鼓動を感じ、

夜空を見上げていた。

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