Day280:ハーバードの人の心をつかむ力”EDGE”ー努力が報われるための鉄則
ローラ・ファン著 ダイヤモンド社
WHAT
■EDGE(エッジ):
”逆境を利用して、不利を有利に変える力”
エッジを利用すれば、努力は報われる。
私たちが相手を豊かにする方法、価値をもたらす方法を実際に提示できた時、相手を楽しませて、心の扉を開いてもらった時、自分に対する認識を別の方向に誘導できた時、努力と頑張りが実をむすび始める。
自分の性格や能力を他人がどう決めてつけているのかがわかれば、成功に続く道を切り拓くことができる。
■エッジを作り出すとは?
相手を楽しませ、チャンスをつかみ、人との交流を自分の思う方向に進めていく能力を身につけること。
■エッジとは?
E(Enrich)豊かにする
D(Delight)楽しませる
G(Guide)誘導する
E(Effort)努力する
■活用するために知っておきたいこと
・人は、たった15秒でレッテルを貼る
・人間の認識には生死を左右するほどの影響力がある
・偏見や不利は「認知の歪み」の結果
・人は誰しもその独自の観点で、他人を判断する。その人なりの思い込みがあり、フィルターを通して他人を評価し、認識している。
WHY
■著者がエッジを進める背景
社会的通念や固定観念に雁字搦めになり、強みをいかすことができていない人が多い。自分強みを知っても、努力の方向が間違っているため一方通行)、成果を得ることができていない。
《認知の歪み》
(例)黒人は白人より妊娠中に命を落とす例が3倍から4倍多い
黒人の方が痛みに強いという思い込みがある。その結果、痛みを訴えても鎮痛剤を処方してもらえない。高度な医療も受けられない。
エッジを活用すれば・・
どれほど不平等な状況におかれていても偏見を持たれていても本領を発揮できる。(他人の認識は変えることができる)
不利な立場の陰に隠されている複雑な意味合いを把握し、コントロールできる。(自分で追い風を起こせる)
何としても避けなければいけないのは、他人に自分の運命を決めさせること。
■EDGE(エッジ)の実践
①豊かにする(Enrich)
・あなただけの才能を見つける
・人と違うところに目を向ける
・制約を利用する
・直感力を磨く
②楽しませる(Delight)
・心の扉を開く
・真摯に人と向き合う
・準備と柔軟性のバランス
・ありのままの自分で
・驚きと意外性を大切にする
③誘導する(Guide)
・他人が勝手に決めた道に進むのではなく、自分が望む方向へ相手の判断を誘導する。
・相手があなたの仕事と価値をどう認識するかこちらから誘導する。
・あなた=ダイヤモンドを輝かせる
(スポットライトを当てる向きを変える)
・他人の認識を把握する(他人が自分をどう見ているか)
・周囲に合わせない
・自分の価値を伝える
・固定観念を受けいれる(偏見を有利に変える)
・こうしてみて欲しい方へ誘導する
④努力を続ける(Effort)
努力の方向で結果が変わる
・「自分はどう思うか?」を大切にする
・エッジを強化する
・不利を有利に変える
HOW
■豊かにする(Enrich)
どうしたら価値をもたらせるか?
・エッジの基盤、基本材料を活用する。
基本材料がわかれば
「人生における限られた時間をどこに集中させれば、
最大の成功を収められるか」の答えがわかる。
・「飛び抜けた能力」を磨く
価値を高める、相手を豊かにすることは、「頑張って最善を尽くす」と同義ではない。
※全力を尽くすことに取り憑かれている(それ自体が目標になっている)
・「自分や自分の組織に相手が期待すること」を確かめる。
・弱みも強みも明確にする
どこに価値があり、どこに価値がないのか
自分にできることがわかれば、他者から学べるようになる。
その上で、人と違うところに目をむける。
※知っていることと知らないことの間にトラブルが生じやすい。
※同じ分野、同じやり方では、得られる報酬はどんどん目減りする。(植物は、植えられた場所が混み合っていない場所で成長する)
《事例》
いちばん行列の長いアトラクションが最高とは限らない。
(エンジェル投資家は、ダイヤの原石を見つける)
・・群衆から離れた場所
成功例)ASUS「より少ない」を貫く
※落とし穴:多くは、「大きくする」ことばかり追いかける
⇄ヴァージン・アトランティック航空、アップル
(どちらも基本材料に集中して成功)
《問題を明確にする2ステップ》
(役に立つために)
1、問題がもたらすさまざまな「悪影響」を全て明確にする
2、問題そのものを「明確」にする
(私たちには、解決策に飛びつく傾向がある)
⇄問題そのものを明確にする
《他、活用できるスキル》
・勘を働かせる
(勘は、いっさいの思考を伴わない感覚ではない)
感覚と認知の双方から生まれるもの。
勘に頼るからといって誤った決断をするわけではない。
第六感を働かせば、経験と能力を結びつけて、直線上でも段階的にでもなく、予期せぬプロセスで成果を上げることができる。
(直線的だけで物事を眺めていると、実際には可能性が潜んでいても気づかず終わってしまう)
私たちが、同じような価値しか作り出せない原因は、
指数関数的に考えることに対して、私たちがつい壁を作ってしまうこと。
→問題があるから解決策を探すのではなく、解決策から問題を探していくとよい。
■活用する(誘導する:Effort)
・自分の枠組みを作る(周囲に合わせない)
「他人は自分をどう見ているのか?」
答えは、ジグソーパズルのピースをはめていくようなもの。ピースが1つずつ埋まるにつれ、どんな絵なのかわかってくる。
初対面の人と会う時には、新しいパズルを埋めていかなければならない。(自分に合うダイエットの方法を選ぶのと似ている)
・エッジを作り出すには、「自分仕様」のやり方を貫く
どんな状況においてもエッジを作り出すには、その人個人の物の見方で「自分仕様」のやり方を貫かなくてはいけない。
他人が用意してくれた道ではなく、進むべき道を自力で見つけなければならない。
・ありのままの自分を曲げず、「他人からどう見られているか」を常に意識
自分の強みを活用してチャンスを見つけ、顧客と繋がり、積極的に関わる。(自分の個性と他人の認識を結びつける)
・エッジを養うとは、自分にさまざまな側面があることを把握し、それが見ている人に対してどのように輝くかを把握すること。
注意:「ありのままの自分を出しなさい」が足枷になることがある
(1人の人間には、1つの面しかないわけではない。)
■偽りの自分のままでいることの弊害
周囲に合わせても、長い目で見るとマイナスになる。
うまくいっているふりをしても、一時的な気休めにしかならない。
自己不信に陥り、不安ばかり感じていれば、そのモヤモヤした気持ちをいつまでも引きずることになる。
固定観念に合わせるしかないという恐怖心は極めて強い。相手から心を開いてもらえない。成果が出ない。
■自己認識
自己認識は「内面での自己認識」+「外部からの自己認識」
「自己認識」は、自分は何者で、自分にはどんな価値があり、
どんな強みがあるか認識していること。
エッジを獲得するには、「内面の自分」を知ると同時に、
「外の世界とどうか変わるか」把握しないといけない。
「自分が何者か」+「その場の状況や環境の両方の把握」が必要
自分の内側と自分の周囲にあるものは、成功できるようにお互いに補い合っている。
自分を深く認識しても、他人からどう思われているかを無視して他人を誘導する努力をしても実力は発揮できない。
自分の性格やスキルは流動的。
その場の状況が性格に影響を与える。
その場の状況に応じてエッジを見つけエッジに磨きをかける能力を磨く。
※落とし穴:タイプ診断(自己認識できない)
(理由:状況や対人関係の違いを考慮していない)
《知っておくと良いこと》
私たちに対する他人の見方は、私たち自身と全く無関係であることが多い。
社会における人間関係の中に自分がどう織り込まれているか
観察すれば、自分がどう思われているかわかるようになる。
「自分」には数々のバージョンがある
他人がこちらに期待する人物像にも数々のバージョンがある
真の自分をきちんと理解していれば、他人が自分をどう見ていようと、望む方向に誘導できる。
「こうあってほしい」という他人からの要求を考慮しながらも、自分の好きなように選択できるという現実を受け入れ、自由を自らに与える。そのバランスを取ることが大切。
《要点》
逆境を利用して不利を有利に変えるには・・
・真の自分を理解する(人間の複雑さ、あらゆる側面を受け入れる)
・求められているものを把握する(自分の強みは、他者の認識、状況を理解することで活かされる)
・世間の認識、偏見を把握する
・状況に合わせて自分が外側に見せる側面を変えていく柔軟性を持つ
・ありのままの自分で関わること(足しすぎない)
・アイデンティティが確立されていること
・受け身にならないこと
・経験を重ねることでエッジに気づいていく