Day248:『完璧なタイミングを科学する』
【本について】
タイトル:When「完璧なタイミングを科学する」
著者:ダニエル・ピンク 出版社:講談社
世の中は、「HOW TO」本に溢れているけれど、
「WHEN TO」本は、ほとんどない。
“何をやる”<“いつやる”
タイミングはアートではなく“科学”
【WHY】
タイミングがすべてだと誰もが知っているけれど、”タイミング”についてよく知らない。
したがって、「いつ転職すべきか」「いつ悪い知らせを伝えるべきか」「授業の時間割をどう組むべきか」「いつ結婚に終止符を打つべきか」「いつ走るべきか」「いつプロジェクトや相手に真剣になるべきか」という大事な決断を、直感や当て推量といった曖昧模糊としたものによって下してしまう。
・なぜ、始まりが重要なのか?
・なぜ私たちは途中で意欲を失い、ときに奮起するのか?
・物事の終わりを迎えようとするとき、なぜ私たちは、終着点に辿り着こうとしてさらに頑張るのか?あるいは、ペースを落として意味を見つけようとするのか?
・どのようにして他者とタイミングを合わせるのか?
・学習を妨げる時間割がある一方で、なぜある種の休憩時間が生徒のテスト結果を向上させるのだろうか?
・過去について考えたときと、未来について考えた時とでは人の振る舞いが変わるのはなぜだろうか?
・なぜ午後に重大な意思決定をすべきではないのか?
【WHAT】
■朝昼夜のパターンと完璧なタイミング
大陸も時差も関係なく、1日における変動(ピーク、谷、回復)は同じ
→このパターンは、私たちの「体内時計」から生まれているとわかった
*オジギソウの葉は、外部の光に反応して開閉するのではなく、内部に組み込まれた時計に従っていたという発見による:「時間生物学」の誕生
「体内時計」は、社会的手がかり(仕事のスケジュールやバスの時刻表など)や環境的合図(日の出で日没)を用いて、「エントレインメント」と呼ばれる内部と外部のサイクルを同調させる微調整を行う。
「インスピレーションのパラドックス」・・
イノベーションとクリエイティビティは、概日リズムに関しては、私たちが最高の状態でない場合に最大の力を発揮する
■クロノタイプ
クロノタイプとは、私たちの生理機能と心理に影響を与える概日リズムの個人的パターン。
世の中には、フクロウ型もいれば、ヒバリ型もいる。(幼い子供、高齢者は、ヒバリ型)
クロノタイプが夜型の人は、朝日が上ってずいぶん経ってから起床し、朝が苦手で、午後の遅い時間か夕方になるまで最高潮に達することがない。(エジソンがこのタイプ)
■個人のクロノタイプと時間帯の適合
●ヒバリ型と第3の鳥型は、「ピーク、谷、回復」の順番
(チャイコフスキー)
*クリエイターの約62%(午前中に集中して仕事をし、次に全く仕事をしない時間を過ごし、その後、さほど負担のかからない仕事を短時間集中して行っている)
●フクロウ型は、「回復、谷、ピーク」の順番
(エジソン)
*クリエイターの約20%は、午前中に回復し、遅い時間帯になってから本格的に仕事に取り掛かる。
残り18%が、独特な過ごし方をする。
ー実践ー
注意力と明快な思考力が求められる最重要の仕事は、「ピークの時間帯」に入れる。
2番目に重要な仕事、もしくはひらめきを要する作業は、回復の時間帯に入れる。
ルーティンワークをピークの時間帯にまぎれ込ませてはいけない。
【HOW TO】休む力
休憩は怠惰のしるしではなく、強靭さのしるしであることが科学の進歩により明らかになっている。
■「悲しきデスク・ランチ」
昼食は、私たちが思っている以上に、日々のパフォーマンスにとって重要である。
昼食のために、席を離れる人の方が、職場のストレスに対処でき、その日1日のみならず、年間を通して疲労が少なく元気良く過ごす傾向にある。(心理的にも、物理的にも仕事から離れることが重要)
オフィスから離れて昼食を取ることが、午後に訪れる危機を予防する効果がある。一流ほど、積極的に休憩をとっている。
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■スタート
”いつ、学校やキャリアを始めるか”は、個人や集団の運命に大きな役目を果たす。
スタートは、終了にとっても重要になる。
スタートに関して、自分の力が及ばない場合には、他者と一緒にスタートを切れるように協力を求める。(正しいスタートを切る、スタートをしなおす、他者と一緒にスタートを切る。)
*全米テストの成績:ある高校では、始業時間を7時35分から午前8時55分に繰り下げてから、生徒の自動車事故が70%減った。1時間の差で、高校を中退するか卒業するかの違いが生まれることもある。その後の大学進学の可能性、良い就職先を見つける可能性にまで影響する。つまり、スタートは、私たちが考えるよりもはるかに長期間影響し、最後まで残る。
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再スタートで仕切り直す
●「時間的ランドマーク」
目立つ存在は、私たちが先に進むために役立つ(時間的ランドマーク「元旦」は、グーグルで「ダイエット」の検索がいつもの80%も増える)元旦に限らず、「初日」に関わる日付が、人々のモチベーションにスイッチを入れている。
「時間的ランドマーク」のほかに、「個人的ランドマーク」「社会的ランドマーク」も活用できる。
■中間地点
出来事には、始まりと途中と終わりがある。
始まりは、多くの人が覚えている。終わりも際立つ。けれど、途中の記憶はぼんやりしている。
この中間地点が重大な影響を与える。中間地点に達すると、人の関心が鈍り進行が滞る。
一方で、モチベーションが呼び覚まされ、有望な道へと駆り立てられて、奮起したりやる気になったりする。(「不振」と「刺激」)
ー幸福度は50歳で最低になる(「中年の危機」)ー
イギリス、アメリカの50万人を対象にした研究によると、幸福度は一貫して中年期あたりで低下する。72カ国の幸福度、人生の満足度においても統計的に有意なU字型を示した。
中間の落ち込みは、「社会学」ではなく「生物学」に由来する。(状況が呼び起こす反応よりも自然の不変の法則では?)
ー事例ー「ハヌカ・キャンドル」
ハヌカ・・燭台に立てたキャンドルに毎晩点灯することで、ユダヤ人が自らの信仰に従順を示す祝祭日。
最初の日:76%、2日目の晩、55%、8日目の晩、50%(U字型を描く:中盤にキャンドルを灯さなくなる)→私たちは、中盤で自分の基準を緩める
なぜ、最後やる気が復活するのか?「おっと大変だ効果」(中間を迎えると切迫感に駆られる)
中間地点には二重の効果がある。(後退か前進)
私たちは、中間地点を、心理的な目覚まし時計に使うことができる。
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ー中間地点でモチベーションを呼び覚ます方法ー
■終点
ラストエンドとハッピーエンドの科学
終了は、私たちの行動や手段を密かに誘導する。
ー事例ー
マラソン初参加者は、40代初めで減少するが、49歳で著しく急増する。49歳の参加者は、初参加者の約3倍。年齢的なマイル標識が視界に入ると、モチベーションが書き立てられる。(各年代最後の年)
終わりに近づくと、わたしたちはその他の領域でも非常に性急に行動するようになる。
【WHAT IF】
■病院事例
ー麻酔の有害事象ー
病院の有害事象は、「午後3時から4時の間に開始した事例で多発」
午前9時の問題発生確率1%/午後4時4.2%
ー大腸検査ー
遅い時間帯になるに従い、ポリープ発見の確率は、1時間ごとに5%近く低下する
ー手を洗う回数ー
午前中10回、午後は6回のみ
ー小休止効果ー
警戒心を強める小休止を規則的に作業に挟むことで、1年後の手術死亡率は18%低下(ミシガン大学医療センター)
■判事事例
早い時間帯で、判事が受刑者に有利な判断を下す確率は、約65%。時間が立つにつれて、確率はさがり、昼前にほぼゼロ近くなる。休憩を取ると、好意的な判断を下す確率が、朝と同じ程度まで戻る。
休憩後ではなく、休憩直前に仮釈放委員会の面談を受けた場合、あと何年かはそのまま刑務所で過ごすことになる可能性が高い、つまり、「正義」とは筋違いの要因で決まってしまう。
【学び】
・私たちは“生物”である(クライアントも“生物”である)
・科学の力を借りて自分や自分の人生を動かすことができる
(もっと楽に生きれる、もっと有意義に過ごせる、自分を育てることができる)
・“When”を活用すると、自分優位に動かすことができる
・何かを達成できないのは、不健康になるのは、能力がないわけではなく、「タイミング」が悪いだけかもしれない
【響いたメッセージ】
慎重さは情熱に勝る(「結婚の完璧なタイミング」より)
ある程度の年齢になるまで待つ(「結婚の完璧なタイミング」より)
【アクション】
1週間をトラッキングして、自分にとって完璧なタイミングを把握し、タイミングを活用して仕事の生産効率を上げる。