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【2025.1.20】アフターコロナのマーケティング戦略-最重要ポイント40

著者

足立 光

株式会社ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター、チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)。著書に『圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』(ダイヤモンド社)など。

西口一希

株式会社Strategy Partners代表取締役、M-Force株式会社共同創業者。著書に『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』(翔泳社)。

「コロナがあろうがなかろうが、顧客の心理は日々変わる」
顧客を起点にビジネスを行う必要があるのは、どんな状況でも変わらない。

新型コロナの前後で、消費者の心理状態が大きく変わり、結果として行動が変わったと言われが・・


様々な行動変化が突然、起こったように見えたかもしれない。実は以前から起こっていた変化が加速しただけ、という考え方もできる。

例えば、アパレル企業はリアル店舗の閉店や倒産に追い込まれるなど、大変な苦戦をしているが、もともとこの10年で若い人たちは店舗よりもEC(電子商取引)で服を買うようになっていた。

また、消費者の外出についていえば、国土交通省のデータによると、1987年の日本人の平日の外出率は86.3%、それが2015年には80%に減っている。つまり、長期的なトレンドとして、日本人は外出をあまりしなくなっていた。

やるべきことは変わらない


今回のコロナ禍によって、こうしたマクロな変化が非連続的に起こっているように「見えている」にすぎない

言い換えると、コロナ禍に関係なく顧客の変化は常に起こり続けていて、私たちはその変化に対応し続けていかなくてはならない、ということ。

顧客の心理や行動を変えていくと思われる社会変化を常に意識して、その変化に対してのシナリオを考え続けるしかない複数のシナリオをつくっておき、何か起こったらすぐに動けるように準備をしておくしかない

例えばコロナ禍が進む中、米国のスターバックスが多くの店舗を事前にスマホ注文をしてピックアップするタイプへ変更することを発表したが、実はピックアップ型のテストは数年前から行っていた。場当たり的に実行したのではない。

顧客を起点にその変化やニーズをリアルタイムで捉えてマーケティングや経営を変化させていく必要があることは、いつの時代、どんな状況であっても、変わらない。


これってどうなの? 「カスタマージャーニー」


カスタマージャーニーを描けば、いい打ち手が見つかる。これは本当か。

顧客の行動や心理を理解するための手法として、カスタマージャーニー分析もよく用いられている。

これはある顧客の考えていることや行動などを、購買前から事後に至るまで時系列で整理し、それぞれの接点で有効な施策を考えようというもの。

顧客視点に立って、どこでどのような打ち手がとれるかを検討する際に役立つ。

ところが、そこには落とし穴がある。例えば、カスタマージャーニー自体が想像の産物で、企業側が「そうあってほしいと願う」顧客像でしかない、というパターンである。実際に存在しない顧客像やそのジャーニーを想定しても、有効な打ち手など考えられるはずがない。

では、どうすればいいのか。

重要なのは、顧客を平均化して1つにまとめるマス思考を避けること。分析するのであれば、1人1人、個別のカスタマージャーニーを紐解かなければならない。それを10人、20人と愚直に繰り返す中で、共通項、共通のインサイト、生活習慣が見えてくる。

その上で、誰に、どんな独自性や便益を、どのようなやり方で提供すればいいかを決めていけば、マーケティング施策の成功確率は格段に上がる。


これってどうなの?② 「優れた製品やサービスを提供すれば、自然に売れるようになる」


SNSなどを通じて、お気に入りの製品やサービスの情報を発信する消費者が増えている。だから、クオリティの高い製品やよいサービスをつくれば、きっと誰かが気づいて評判を広めてくれる。作り手としては、そんな願望を抱きたくもなる。

現実は、モノはよくても、まったく知られずに消えていった製品やサービスは多い。たとえよくても、知られなければ、存在していないのと同じ。だから、伝える努力を怠ってはいけない。

従来品や類似品と何が違うのか、どこに独自の価値があるのか、それをいかに顧客にわかってもらうのかということを考えながら、モノやサービスをつくらないと、いくら差別化された素晴らしい特徴があったとしても、顧客には響かない。

これってどうなの?③ 「新しい商品を次々と出さなければいけない」


日本の消費者は飽きっぽいから、新しい製品やサービスを絶えず出し続けないと、売上は頭打ちになるという考え方が企業には根強くある

どのマーケットにも新しい製品を好むイノベーター層が一定数いるので、少なくとも当初は売りやすいのも事実。しかし、新製品の売上や利益への貢献度を見ると、それほど大きくないというのが実態。

まだ10倍、100倍と成長できるはずなのに、頭打ちかもしれないと誤解している製品やサービスが多い。

その原因は、既存の製品やサービスが本来視野に入れるべきマーケット全体を見ていないことにある。

つまり、その製品が100%のシェアをとったら、顧客数は何人なのか。既存のもので獲得できる潜在的な顧客はどのくらい残っているのか。そういう検証が十分にされていない

これは「TAM(Total Addressable Market)」という考え方で、その製品やサービスで獲得可能な市場規模を指す。

TAMを把握していないということは、顧客をよく見ていないとも言える。


未認知の顧客はどれだけいるのか、その顧客にはなぜ認知されていないのか、認知しているが購買しない顧客は何人いて、なぜ購買しないのかと、マーケット全体を見ながら戦略をつくれば、チャンスは広がる。

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このnoteを書いてる人・・

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