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脳のアラート

よく、昔の失敗経験を思い出す時がある。
あれやこれやと、ふとした瞬間に、
昔の自分の失敗を思い出す。
しかもリアルに。
そうして、記憶の呼び戻しをしてしまい、
また、私は、苦い思いをしてしまう。
ああ、私は今、また、失敗した。
1つの経験で、何度、私は失敗経験を繰り返すのだろう。
ふとした瞬間で思い出し思い出し・・・。
ああ、もう嫌だ。

一つ、自分から離れて、
あの時の自分は嫌だったんだね。
嫌な思いをしたんだね。
と自分であの時の自分を見ようとするのだけれど、
こっちは、当事者で、苦い思いが込み上げてくるもんだから、
なかなか、そうはいかない。
この思考ぐせを治したいものである。

コンビニで買い物をした帰り道。
向こうから、見覚えのある男性が歩いてくる。
昔、失言をしてしまい、怒らせた相手である。
昔のあの時も、むすっとされたっけ。
ここで、挨拶しても、
また、迷惑そうな顔をされてしまうだろう。
ここは、知らないふりをして、通り過ぎるのがいいだろう。
そうきっと、向こうは覚えちゃいない。
何年前だ?15年も前じゃないか。
きっと私の事など、覚えちゃいない。
下を向いて、通り過ぎよう。
目を合わさない様に。

そんな時に限って、
向こう側が直ぐに、私に気づいてしまう。
目が合ってしまった。ああ。。。
それでも、知らないふりをして逃げ切ろうか。

「よう!元気かよ!」
どうした事だろう。15年前の姿形で、しかも超ご機嫌で挨拶してくる
15年前は、あんなに、嫌味も言われたし、ひどい言葉も浴びせられたのに。
ニコニコ上機嫌で、肩に腕にと手を取ってくる。
「何してるの?調子どう。」
あの時は、世話になったと言わんばかりの笑顔だ。
逆に、こっちが顔を顰めてしまう。
とても、あなたの様に、機嫌よく振る舞えない。

そう思ったのは、一瞬の錯覚で。
15年前のあの人に似ている
知らない人だった。
実際には、私に目もくれず、通りすぎていく。

私は、すれ違った一瞬で、
また、あの苦い思い出を繰り返し味わう。

でも、どうしてだろう。
さっきは、あの人、ご機嫌で話しかけて来た。
こっちは、そんな気分じゃないのに。
あの人は、もう、怒ってはないのだろうか。
私を許しているのだろうか。
いや、きっと、
私を怒鳴りつけた事すら、覚えていないだろう。
きっと。きっと。

さて、次に会った時には、
私も上機嫌なふりをして、
手を握り返してみようか。

過去の失敗を思い出す、
脳へのアラート。





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