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29歳公務員のポジキャリ体験記⑥

POSIWILL CAREER体験記、転職活動編の後半です!

休会期間に気づいた本音

転職活動を開始して数週間、調子を崩してトレーニングの休会期間へ突入。
こりゃあ4月転職はもう無理かな。たった2週間休んだところで何か変わるのかな。ああでも、とにかく、今は何もしなくて良いのが嬉しい……。

何かしなくてはという焦りはあるけれどせっかくの休止期間。キャリアのことを考えるのは一度置いておいて、とことん好きなように過ごすことにした。(具体的にどう過ごしたかは2月の振り返りにて!)

休止開始からものの数日で休むことへの罪悪感はなくなりのびのび過ごせるようになった。
「今日はどう過ごしたい?」「何を食べたい?」「どこに行きたい?」「何をしたい?」いちいち自分の心に尋ねて、ひたすら従う。「だらしないし…」「外食続きになるし…」「お金かかるし…」「身体に良くないし…」という声は全部「今だけだからオッケー!」で割り切って思う存分甘やかした。そうして過ごすことでhave to で溢れていた思考が自然とwant to へとシフトしていた。

「私、本当に4月に転職したい?」
「あれ、今すぐには転職したくないのかも。」



今の職場に何年も前からモヤモヤを抱えながらも、ずっと踏み出せずにいた。
行動に繋げられないそんな自分が情けなかった。
だから自分がちゃんと転職に向けて動くように。途中で逃げたり投げ出したりしないように、あらゆる外堀を埋めていった。
4月に転職しようと目標期限を定めて宣言して。数十万円のトレーニングに投資をして。トレーナーさんに自己分析から選考対策まで伴走してもらって。活動の過程をnoteで発信して。家族や友人、職場の信頼できる人に退職を伝えて。実際にエントリーして選考も受けて。Twitterで転職活動中の仲間と励ましあった。

ここまですれば、さすがの私も転職するだろう。
もちろん、転職するつもりで全て動いていた。
でも、ひとつ、意図的に考えないようにしていたことがあった。


それは夫の留学だ。

いつか留学に行きたいという話は以前から聞いていて、私も「素敵じゃん!」と賛成していた。一緒に行くかは具体的に決まったら考えようと思っていた。
ふわっとしていた留学の話を「来年の夏」と夫が具体的に定めたのは、私がちょうど企業への応募を開始し始めた1月のことだった。一緒に行くかどうかは宙ぶらりんのまま、私は応募を進めた。

なぜ留学の話を考慮しないでいたのか。
『夫の選択に自身のキャリアが影響を受けるなんて、自立した女性じゃない。』そんな考えが私の中にあったからだ。
男女平等や女性の社会進出は小学生の頃から授業で耳にしていたし、女子大に進学したこともありジェンダーに関する講義に触れる機会が多くあった。
女は一歩引いて男についていく時代じゃない。自立した女性たれ。
そんなメッセージがいつの間にか自分の中に刷り込まれていたのだと思う。

だからこれまで瀬川さんとの面談ですら触れていなかった。自分のキャリアを考えるトレーニングなのだから、夫が留学に行こうと、それとこれとは独立して考えるべきだと。ましてや一緒について行って自身のキャリアを断念するなんてとんでもない。

でも本当は、一緒に行きたかった。
2人で海外で暮らすのはずっと前からの夢でもあった。

思えば違和感のサインはあったのだ。
求人を見ながら休職制度が気になっていたし、「海外から在宅とか許されるかしら」「この休職制度、入社していきなり使えるのかな」「もしここに決まっても2年経たずに辞めるのか…」などなど、無意識のうちに一緒に行く前提で考えていた。でも「今度こそ転職するんだから!」という決意を思い出しては、転職先でそういうのが使えないなら私は残るか……と諦める。モヤモヤを無視して突き進もうとしてしまった。
完全に、転職が手段から目的になっていた。


今は転職せず現職に留まり、夫の留学に合わせて退職する。
帰国したら次の企業に転職をする。
そう決めたら、これが今の私の最適解だな!としっくりきた。

転職活動を経ての4Lワーク

休会期間が明けた最初の面談ではこのあたりの気持を聞いてもらった。私が考えていたことをひと通り話し終えると、瀬川さんは「良いと思いますよ!」と肯定してくれた。正直すごくホッとした。あれだけ選考の準備や対策をずっとしてもらっていたのにそれを白紙に戻すようで申し訳ない気持ちもあったため、悩んで見つけた本音の結論を伝えて背中を押してもらえたことが心強かった。
転職だけが正解じゃない。分かっていたつもりだけど、まさか自分がこの罠にハマるとは……。

さて、転職活動はやめることとなったけど残りの面談はどう過ごすか。
私の中で仕事の優先順位はそこまで高くないかもと思い始めたことから、4Lのワークを改めて取り組むことを提案してもらい実践することになった。

当初の4Lワークをしたときは「生き生きと働きたい!」という気持ちが強かったのでLaborがLoveやLeisureと同じ割合だったが、今回は「まずは自分や家族との時間が確保されてこその仕事!」と転職活動で痛感したことから明確に仕事の割合が減った。


「さとみさんは、仕事に達成感や充実感をそこまで求めないほうがいいのかも。負荷なく続けられることを仕事にして、趣味とか他の分野で充実感を得るのが良いかもですね」

瀬川さんが指摘してくれたことが、本当にその通りすぎた。


転職活動を通じて気がついたちょっとカッコ悪い話。私はキャリアアップに対して興味がない。
一般的には転職をして、求めるスキルや経験を積んで成長して、収入がアップして……というのがよく語られる理想的なキャリア形成だと思う。正直、私も転職を通じてそういうキャリアを歩めたらいいなという気持ちがあったのは事実。
でも現在の給料で問題なく貯蓄も娯楽もできているし子供を持つ予定もない。現状維持で十分で収入アップは必須ではない。キャリアアップや得意なスキルを尖らせて働くことに憧れはあるけれど、それを叶えるような転職活動をしてみた結果、私生活を蔑ろにしてまで叶えたいわけではないと気がついた。ほどほどに働いて私生活が満たされていれば私は幸せなのだ。

でも、せっかく一応有名大学まで出たのにもったいない……という気持ちを捨てきれずにいる。せっかくの大卒なのにほどほどで働くこと、正社員や総合職以外を選ぶことに後ろめたさを感じる。そんな思いも面談で話した。

それに対して「何を大事にしたいかによってもったいないかは変わる。何を目的にして、何から見てもったいないと思うか?」という話をしてもらった。
私の中にある「将来の選択肢が広がるよう良い大学を卒業したのに、その大学でなくても行けるような仕事を選ぶなんてもったいない。この大学卒だからこそ行ける場所で働かないともったいない。」という気持ち。ここで大事にしたいのは大学に入学・卒業するために費やした時間や労力の元を取ることかもしれない。

でも今大事にしたいのは幸せな人生を送ること。大学名に見合った職場を選ぶことが本当に幸福かしら。本当にもったいないのは、大学名に見合っているからと自分の希望とはズレた働き方を選ぶことではないか。

せっかく選択肢が広がるように選んだ大学が、逆に選択肢を狭めていた。



夫と一緒に海外に行きたいことも、ほどほどで働きたいことも、なんとなく頭の隅では分かっていたこと。でもこうして面談で話して、それで良いんだと認めてもらったことで初めて、そう感じる自分に少しずつ許可を出せるようになった。


◆転職活動の中断となった原因まとめ◆

・あまり興味の持てない企業も気軽にエントリーした結果、選考が負担になった。
・自分のハンドリングできる応募数を超えていた。
・エージェントを通じたやり取りが負担だった。
・本当にこの短期間でえいやで決めた企業が今いる現状を打開する場所となるのか?ちゃんと比較検討しなくて飛び込んで本当にいいの?と納得できていなかった。
・本当は優先したい夫の留学を考慮せず、転職という目標を叶えることに突き進んでいた。
・「生き生き楽しく働こう」を優先順位1位にして就活をしていた。でも仕事を充実させようとして他が犠牲になることに違和感を抱いた。本当に大切なのは、家族との時間やのんびりする時間で、それらがあっての仕事の充実だった。


最後の面談ではこれまでのトレーニングを総括しつつ、私の希望で「どう生きたいか」を改めて整理することに。

次回最終回!

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