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29. ハープ / The Harps

⭐️バーバラ⭐️

私たちはふたりとも、オートハープと鉄琴が自分たちの音楽を奏でる楽器なのだと、当然のごとく思っていた。
ふたりがそれぞれひとつずつ楽器を持てるなんて、じゅうぶんなだけではなく、奇跡のようなことだと思っていた!
1980年の11月、フロリダ州タラハシーでのセミナー中に、私たちはロスおよびデボラ・バラブルという素敵なカップルと出会った。
ロスはフォーク・ハープを手作りしていて、彼もデボラもそのハープを用いて素晴らしい演奏をするのだった。
デボラがハープを奏でながら歌を歌うのを聴いたり、また彼らふたりと過ごしたりするのは、私たちにとってとても感動的な体験だった。

ロバートも私も、オートハープや鉄琴以外の楽器を習おうなどという気持ちは、少しも意識していなかった。
けれどもロバートは、ハープにものすごく惹きつけられていた。ことさら、ロスが作成中だったふたつのサイズのハープのうち、大きなサイズのものに。
大きなサイズのハープの価格は、私たちにとっては手の届かぬ高嶺の花であったので、私たちは聖霊にこのように語りかけた。
「もし私たちが小さなハープをひとつ買うべきなら、どうか教えてください」

私たちは数日間タラハシーに滞在していたし、デボラとロスを実質的なかたちで支援したいと、ほんとうに思っていた。
タラハシーを発つとき私たちは、ふたりのどちらも小さなハープを買い求めるようガイドされているとは感じなかったことに驚いていた。
何時間ものドライブの後、私たちの心は静かだった。長時間の運転により引き起こされる瞑想的な状態にいた。
私が突然、「大きなほうのハープを買い求めなさい……そして、それはロバートのものです」という声を「聞いた」とき、私は運転席にいた。

「大きいほうのハープ?それがロバートのものですって?」と私は思った。
いまに至るまで、私たちがガイダンスを受けとらなかったのも、ふしぎはない。
私たちの「聞きとり」には制限がかかっていたのだ。
(思い出してほしい、私たちは聖霊に、小さいほうのハープについての導きを求めたのだ。)
恐れと興奮の両方を感じながら(お金がたくさんかかりそうだと思えた)、私は自分が聞いたことをロバートに伝えた。

ロバートは、私たちがこのガイダンスに従うことを支持してくれ、私たちはふたりとも、そのハープがロバートのものだというアイディアに、くすくすと笑い声を立てて笑った。
私は内心、デボラとロスを支援するためにハープを買って、それを弾くことになる誰かへと手渡すか、さもなくば、ロバートではなく私が弾くようにガイドされるだろうと思っていたのだ。

ヒューストンに着くやいなや、私たちはバラブル夫妻に電話して、この良い知らせを伝えた。
彼らはまったく驚きもせず、私たちが電話してくるのを待っていた、と言ったのだった。
彼らも、私たちが大きなハープを購入すると知っていたのだ!

私は、自分たちのほぼ全財産を送金することに、いくらかの恐れを感じていたが、ロバートはしかし、デボラとロスに大きな援助を差し出せることを喜び、嬉しそうに小切手を書いた。
ロバートはいつだって、私にとっての素晴らしい教師なのだ。
(ハープの物語は、この後もつづく。)


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