【Fare&Qe】3.求心的エネルギーを持つ和歌(東風吹かば~)
東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ
皮膚を柔らかになでる東風
鼻腔を優しく通り抜ける香り
感覚器官に訴える上の句から
やるせない思いを詠むの下の句へ
感覚と感情を橋渡しするかのように句の中心にすえられる「梅の花」
それは決して目の前で咲き誇る梅の花ではなく、
見ることの叶わない凜とした梅の花である
すべてが固体を持たない
直接触れることも見ることもできない
風と、香りと、想像の中の「梅の花」と、感情と、
「感じる」ことしかできないモノだけで詠まれるこの句の凄まじさは、
「感じる」ことを全身に要求する強烈な求心的エネルギーである
梅の花はきれいだけれど、どことなく寂しい
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