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旅する写真

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たくさんある画像の中から、写真を見つけ、そして使って下さって有難うございます! 「みんなのフォトギャラリー」から色々なところへ旅している写真を、嬉しくて集めてしまいました。 同じ…
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#小説

ねこの安眠枕

本日はお天気が良くて、ついのびのびしていました🎶 リラックス&リフレッシュ🎵 これから、皆さまの素敵な物語を読ませていただきますだにゃん😻 皆さまに、ねこの安眠枕をプレゼントいたします🎵

短編『腰曲がり』

 悲愴にも熱がある。  しかし、いと寒き独り身においては、己の両腕で抱きしめておかなければならない。なぜなら、悲愴だけでは揚力が足りないからである。  花粉が薄まり空気が澄んできた今日この頃であるものの、くしゃみを一つ。眩しい自動販売機で一四〇円の缶コーヒーを買い、ポケットに捻じ込む。すれ違う車の列は長く、くたびれた灰色の運転席には人が座っていた。  目的地に向かいながら、くしゃみをまた一つ。鼻下を拭いながら歩くと、バス停が見えてきた。黒く半透明な風除けに囲まれた、耐雪型であ

【2024】最高な本トップ3

今年も一年を振り返って、特に好きになった本の話をします。 3位 三浦哲郎『スペインの酒袋』 あらすじ(というより、あとがきを引用) 「私は、いわゆる山海の珍味について書かれた文章には興味がない。それは文章で書くものではなく舌で味わうもので、味わえばおそらく誰にとっても美味しいだろうからである。私が味覚について書く興味は、ありふれたもののなかにひそんでいる思いがけない新鮮な味覚、忘れていた懐かしい味覚を探し出すことだ。」 感想 食にまつわる随筆集。それも、引用文で作

『今年の漢字』#ショートショート

今年もやってきた漢字の日。 一年を振り返って今年の漢字を決める。 「なんだろ?」 「罪」 いきなりパワーワード。 「闇バイトとか流行ってたけど、完全に犯罪だったから。注意喚起の意味でも罪」 分からなくもないが助長するのでは。 「偉は?」 「なぜ?」 「大谷翔平選手が偉業を成し遂げたから」 明るい。 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 【あとがき】今年の漢字、あなたは? 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 noteが100倍読まれるように

(短編小説)窓の外の樹

窓から見える一本の樹は、季節ごとにその姿を変える。 春、薄緑の新芽が枝先に顔を出すと、住人は窓際に立って微笑む。「また春が来たんだね。今年もちゃんと芽吹いてくれてありがとう。」柔らかな風がそよぎ、樹の葉が揺れるたびに、その揺れに合わせて住人の心も軽くなる。春の匂いが部屋の中まで届き、窓を少し開けると、鳥のさえずりが耳に心地よい。 夏、樹は深い緑に覆われ、青空を背景に堂々と立っている。「暑くても、君は元気そうだね。私も頑張らなくちゃ。」窓を開けると、虫たちの合唱が外から聞こ

暁星の神威

ある夜、日本に星が落ちた。 後に、”第二次星生侵都”と呼ばれるその日、無数とも思える隕石が地上に破壊をもたらし、そのうちの一つにより、日本を宇宙生物から守るための結界である”伏夜魔”は機能停止に追い込まれた。 その日降り注いだ星々に”寄星虫”と呼ばれる宇宙生物が付着していた。寄星虫は人間に寄生し、宿主に人智を超えた能力を与える。 かつては“伏夜魔”により、日本に侵略を試みる宇宙生物の多くは防ぐことができていたが、伏夜魔が破壊された今、元来の”衛星院”だけでは対応しきれず、一

カレーうどんの攻防 [ショートショート]

昼下がり、私は玄関の方から妙な音を聞いた。音の主は庭にいるはずの秋田犬、名前はタマだ。普段はおとなしいタマだが、ここ数日、気まぐれに玄関の戸を叩くようになった。今日もまた戸の向こうから低いうなり声が聞こえ、私は玄関へと足を向けた。 玄関の扉を開けると、タマはすぐに私の手元をじっと見つめた。実は私が手にしているのは、湯気を上げるカレーうどん。昼食の途中だったが、あまりにもタマの主張が強いので、仕方なく席を立ったのだ。 「タマ、これはあげられないよ」と私は言った。しかし、タマ

雑記 Xデー(2024/11/15)で宣伝効果がさがっても、ブログにはいます。

仙台に住む、伊達政宗♥なニッチBL小説家です。 Xデーで創作界隈がざわついてます 自分の場合は表紙を描いていただいた絵師様に確認し、宣伝に使っていいよーと快諾していただきました。が、255px以下、ウオーターマークをいれた表紙画像をクリスタで加工している途中です。 絵師様が心を込めて描いてくれたので、やはり無断使用やAI学習は避けたいです。 薄々お気づきかと思いますが、小説を書き始めたのがアラフィフ。クリスタのクの字を教えてくれたのは、絵師のわたゆき真珠氏です。 漫画

「転移して、転職した俺」"Relocating and Re-Careering"(自作小説)

1. 俺は事情があって、今のアパートを引き払い別の所に行くことになった。そして、不動産屋を訪ねる。 I had to leave my current apartment due to certain circumstances, so I decided to visit a real estate agency. 構造: 主語: I 動詞: had to leave(義務を表す「~しなければならなかった」) 目的語: my current apartment(「

蒼月書店の奇々怪々Ⅵ ーかりそめの旅人ー

 今日は定時で仕事を終えられた。帰宅途中で寄り道が出来る。  昨日、残業後に疲れを感じながらマンションに向かっていたら、気になる建物を見つけた。近付いてみたら、古民家の本屋だった。こんなところにあったかと首をひねったが、もしかしたら、アレが置いてあるかもと期待して本屋に近付いた。  軒先には、鈴蘭のような小さな白い花をつけた植物がある。看板には『蒼月書店』とあった。入ろうかと思ったところで、店の扉が開いた。 「あら、こんばんは」  現れたのは、茶髪ショートヘアの整った顔立ちの

小説『元 義親子の日常』#1

《はじめに》 主人公『直人』35歳。小料理屋店主。 元妻の父『裕二』65歳。 直人の元妻『ひかり』35歳。 直人と、裕二は似た者同士。 家庭よりも自分の好きな事を優先してしまうタイプ。 直人は小料理屋をやっていて、裕二は会社を定年退職している。 二人は、互いに妻に呆れられて離婚。 裕二とは『元親子』だが、小料理屋に通っている友達のような存在。 【やりたい事はやめられない】 直人の小料理屋に裕二がいつものように来店した。 お酒は飲めない人なので、温かいお茶と、直人のオス

節分

鬼は〜外、福は〜内。 私は節分が好きだ。 私が小さい頃からの我が家の毎年恒例行事。 いつもその日は父が家にいなかった。 母と2人、豆を撒く準備をする。 準備が整った頃、鬼が家に入ってきた。 この鬼こそが父なのである。 私と母は、鬼の格好をした父に向かって一生懸命豆を撒いた。 鬼は〜外!福は〜内! 楽しそうな声と豆を撒く音が家の中に響く。 最後の一掴み、母と一緒に投げた。 その豆を投げられた父は家を出て行った。 そんな私ももう大きくなった。 今年もまた

掲示板に貼られたうどん [ショートショート]

学級会が終わった。教室の壁に掛けられた掲示板の前で、私はふと足を止めた。無数のプリントやポスターが貼られているが、その中に一枚、目を引くものがあった。「うどん会のお知らせ」と書かれた小さな紙だ。手書きの文字で、来週の土曜日、近くの公民館でうどんを作る会があるという内容だった。 私はその紙をじっと見つめた。うどん。別に特別好きなわけではないけれど、その単語が目に入ると何となくお腹が空いた気がした。学級会で話し合われた内容は、ほとんど頭に入っていない。次の行事についてだったと思

『生きていた頃』

朝、研修には行けなかった。道で声をかけてきた男が、かつての同期にあまりに似ていたから。 ノイズを消し去り、先へと進む。 そんなことを考えながら過ごす午後。建物と木陰の狭間、薄闇に控えめな赤陽が差していた。 またある日の午前。その日は夜に同期飲みがあった。 そうして君と時間を過ごす。 人を好きになることはない。誰かに心ときめくこともない。ただ、君を見ていると少し不思議な感覚になった。 午前、2人で立ち寄った海。波は高く、荒れていた。 そのままどこかで時間を潰し、西日も