アイスクリームのものがたり
年子で生まれた、ひとつ下の妹は、祖父の秘蔵っ子だった。まるでお人形さんみたいね、とだれからも褒められる顔立ちで鈴を振るように歌うことのできる妹は祖父の自慢のタネであり、かなりの引っ込み思案でおとなしすぎるということだけが玉に瑕だった。しかし、夏が近づくと、普段はあまり主張しない妹の、長いまつげに縁取られた大きな瞳がきらめく。そして、それは姉の私にもかなり大きな利益をもたらした。
おじいちゃん、アイスほしい。祖父は妹の発するその呪文に逆らうことはできない。呪文のたびにアイスク