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感謝と期待と失望(第30話)
SNSで大反響だった実話
「小5と余命宣告」続編(第30話)です。
父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。
脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)
ということで、
これは長~く続く連載ものです。
思い込みという鎧を背負い、
重くなっているアナタに
非常識で自由な世界をお届けしています。
最終話まで読んでもらえたら
世界は、
自分が思っているより
ずっと優しくて
自分は、
自分が思っているよりも
ずっと軽くて自由なんだ
ということに気づけるかもしれません。
初めての方は、1話からどうぞ。
学校が終わるのは、毎日お昼ちょっと前。
それが昼間定時制の下校時間だった。
ヤンキー小娘ちゃんたちの
相手をしている時間はないが
仲良しの友達と、いつものモスバーガーで
ランチする時間くらいはある。(笑)
中学生の時から続けている
飲食店のアルバイトは、夕方からだ。
調理師さんたちも、
ランチが終わって夕方までは
仮眠を取って休憩している。
夕方から深夜0時過ぎまで
フル回転で動くので、平日の昼下がりは
そうやって友達とランチしたり
家のことを片づけたり、仮眠を取ったりと
ひと息入れられる時間だった。
労働応援します!的な
高校に入れたおかげで
もうバレることを怯える必要がなくなったので
洗い場から、ホール係に昇進?し
時給が100円UPした。
つまりは、ウエイトレス。
以前より、身体も神経も使う。
接客は、ただの御用聞きじゃない。
足を運んでくれた人たちに
感謝の気持ちを持って
どれだけ気分良く帰ってもらうか。。。
そのためには、どうすればいいのか?
それを考えて、
行動することさえできれば
叱られることもあまりない。
調理師さんたちは、料理で
私たちは、接し方や振る舞いで
それを伝えることができる。
私のホール係も、
なかなか評判が良かった。
お客さんがわざわざ社長を呼び出して
褒めてくれることもあった。
「テキパキ動いて、気が利いて...
ウチの店に欲しいよ」
やっぱ、嬉しいよね。
そんな些細なシーンを、
今でも覚えているくらいだもん。
一生懸命頑張っているのを
気づいてくれる人もいるんだなぁ
心がほっこりあたたかくなって
嬉しかった...
深夜、いつもの帰り道。
「いつもがんばってるな!
もうちょっと経ったら
時給上げてやるからな!」
「これからも、もっと頑張れよ!」
男勝りな言葉遣いで
私を褒めてくれたのは、当時の専務。
社長の奥さん。
嬉しい励ましの言葉を掛けてもらって
気分はもう 人参をぶら下げた馬状態。
そんなちょっとした会話にも支えられて
感謝の気持ちとモチベーションも更にアップ!
の、はずだったが、
そのわずか数ヶ月後に、
この会社を辞めた。
その優しい言葉を掛けてくれた専務に
「クソババアッ!!」
と、暴言を吐いて…
中学生だと知りながら
雇ってくれた会社の専務に、
こう怒鳴ったのが、最後。
もう2度と、この職場で働くことは無かった。
中2の時から約2年ちょっとの間
リスクを承知でお世話になった割には
ずいぶんとあっさりしたものだった。
それまでの間に、辞めることを
考えていた訳では決してなかった。
忙しくて大変なお店だったけど
仕事がイヤだったわけでもないし
周りはみんなとても良くしてくれたので
居心地も良かった。
ただ、ずっと自分の中に
「このペースじゃぁ...」
という悶々としたものがあった。
稼ぐスピード、
貯めるスピード
どんなに一所懸命、頭と時間を使って
無駄なく動いても
時給750円のウエイトレスが
手にできる額は、たかが知れている。
もし親が死んだら?
家賃、払ったら?
留学費用なんて、夢のまた夢の話。
そんなもやもやがあった中
「もうちょっと頑張れば
時給上げてあげる」
専務に言われたその一言を
中学校を出たばかりの子どもは
本気に捉えて、すがってしまった。
だから もっと頑張った。
でも、それは
1ヶ月経っても、2ヶ月経っても
実現しなかった。
帰り道の雑談の中で
もっとがんばれ!というような言葉を言われ
カチンときた私は、つい
「時給上げてくれるって 言ったのに、
全然上げてくれないじゃん」
と、本音をボソッとこぼしてしまった。
「はぁぁ? そんなの当たり前でしょ!
そんな数ヶ月で上がったら、誰も苦労しないよ!」
と、専務が笑いながら返してきた。
ずっと一所懸命、がんばってきた自分を
バカにされたような気がした。
ブチっとキレて、怒鳴った言葉が
「クソババア!」
それが、最後の挨拶となった。
恩知らずで無礼な最後だ
という自覚はあったが、
それで良かったと思う。
高校生になって、
他で働くという選択肢を持てた以上
惰性(だせい)や情に流されて、
ズルズルと長居するより
次に進む覚悟を持てたのだから。
現実に標準を合わせるのではなく
目標に標準を合わせた
現実を過ごさないと!
その後、しばらくして
また夜の世界に戻った。
今度は、友達からの誘い。
またコンパニオン。