ナゾの同級生(第28話)
SNSで大反響だった実話
「小5と余命宣告」続編(第28話)です。
父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。
脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)
ということで、
これは長~く続く連載ものです。
思い込みという鎧を背負い、
重くなっているアナタに
非常識で自由な世界をお届けしています。
最終話まで読んでもらえたら
世界は、
自分が思っているよりずっと優しくて
自分は、
自分が思っているよりもずっと軽くて自由だ
ということに気づけるかもしれません。
初めての方は、1話からどうぞ。
高校の入学式当日。
壇上で、新入生代表の答辞を
読んでいる生徒は、おばさんだった。
どこから、どう見てもおばさんだった。
えっ!?どういうこと!?
マジでっ?
友達と2人で何度も確認した。
間違いない!
見た目も声も、おばさんだ。
その人は、私たちと同じ
ブレザーの制服を着ていた。
私たちは、ちょっとバカにするかのように
笑いながら、その人をずっと目で追っていた。
ここは高校、しかも定時制。
「同級生」=「同い年」
という図式が成り立たない。
地域の同い年が集まる小中学校とは
全く異なる世界。
学年は同じ高校1年生。
だけど、その3分の1近くが
同い年ではなかった。
多かったのは1~3歳くらいの年上だった。
何らかの事情で、進学した高校を退学し
第2の高校生活をやり直す!
そんな事情の子が結構多かった。
仕事が忙しくて、
なかなか学校に来れなくて
でも辞めない!
を繰り返して、留年5年目?
とか言ってた先輩がいたり。。。
と、フツーじゃない人たちが集まる
フツーじゃない学校。
。。。にしても、
さすがに年が離れすぎでしょ?!
と、つい観察してしまう。
入学式に答辞を読んだあのおばさんは
私たちと同じクラスになった。
多くの生徒からの視線?
いや、正確には私からのすごい視線。
だって1人だけ、すっごく浮いているんだもん。
だから誰も話しかけない。近づかない。
でも、そんなの気にする様子なんか全然ない。
いつもピシッと背中が伸びて、颯爽と歩いてる。
ブレザーを着て、原付に乗って登下校してる。
(原付や車での登校OK)
年上だからと偉そうにすることもない。
ただ先生たちは、みんな敬語。
だって自分たちよりだいぶ年上なんだもん。
私は、気になって気になって仕方がなかった。
少し日が経ち、慣れ始めた頃、
直接、本人に聞いてみた。
「なんで、高校に入ろうと思ったの?」
「いま、いくつ?」
いきなり席の前のイスに座って
どストレートな質問。。。
にもかかわらず、
気さくに答えてくれた。
「私ね、今のみんなと同じ年の頃は
ほんとヤンチャしててね。
高校なんて…ってバカにして行かなかったのよ。
それから、すぐに子育てに入っちゃったから
やっぱり高校は行っておけばよかったって
ずっと思ってたの。
だから、子どもたちが大きくなって
家族に迷惑かけないで通えるようになったら…
ってずっと思ってたから。」
「62歳のおばさんが、
同級生だなんて笑っちゃうでしょ?」
笑いながら、話してくれた。
その目がすごく輝いていたのが
とても印象的だった。
それから
しばらく私の尋問?(笑)は続いた。
朝5時に起きて、
洗濯や朝食作り、ご主人の送り出しを
一通り終えてから、登校していること。
下校したら、洗濯物を取り込んだり
晩御飯の準備をしたりと主婦業があること。
(「昼間」定時制なので、お昼には下校)
家族はみんな賛成してくれていること。
長い間温めてきた夢を叶えて
今、高校生活を送れることが
すごく幸せであること。
ブレザーは、
最初は恥ずかしいと思ったけど
慣れてきたこと など。
この人、すげぇな…
新入生代表で挨拶するだけ、あるね。
すげぇわ。
「いやぁ、すごいですね!」
そこで、初めて
私が敬語を使い出した。
(自分の基準で、尊敬に値しないと
敬語を使わない習性が強かった10代w)
「ヤメてよー!
敬語なんか使われたら、
余計おばさんっぽくなっちゃうじゃない!
同級生なんだから、敬語なんてやめて。」
なんか、いいな、この人。。。
事情を話してくれたおかげで
彼女に対する見方も変わり
それから、友達との内輪話でも
彼女を「おばさん」と言うことはなくなり
「〇〇さん」と苗字で呼ぶようになった。
自然とそうしたくなったから
の、一方で私に敵対心むき出しの
金髪女子も何名か、いらっしゃり。
何もしてないのに、勝手に嫌われている。。。
中学校の入学当初もそう。
先輩集団に目を付けられて
用もないのに、呼び出されてばかり、、、
出来るだけ変なのに絡まれないように、と
髪の毛は、真っ黒。
スカートも標準丈。
対策バッチリだったはずなのに。
コレ、なんだろうなぁ~。
いつもいつも...
しゃべったこともないのに、既に嫌われてるって、
結構悲しいもんだよね?
存在が、生意気!
ってとこだろう。。。
だって、悪いと思ってないと謝らないから。
だって、自分がスゴイ!と感じないと敬語使わないから。
(うん、十分生意気だw)
ちょっと離れたところからの
鋭い視線をいつも感じていたけど
ついに彼女たちが動き出した。
「ちょっと来て」
いわゆる、呼び出し。
はぁ、、、
ここ(高校)でもか。。。