見出し画像

一番キツかった入学準備品(第27話)

SNSで大反響だった実話
小5と余命宣告」続編(第27話)です。

父ひとり、子ひとりの家庭で育った娘が
小5の時に、その父の余命宣告を受け
その後の覚悟と成長を描いた実話。

脚色は一切なし。
むしろ、各方面に配慮し
わざわざ抑えて書いているくらいです(笑)

ということで、
これは長~く続く連載ものです。

思い込みという鎧を背負い、
重くなっているアナタに
非常識で自由な世界をお届けしています。


最終話まで読んでもらえたら

世界は、
自分が思っているよりずっと優しくて

自分は、
自分が思っているよりもずっと軽くて自由だ


ということに気づけるかもしれません。


初めての方は、1話からどうぞ。



中学校の卒業式に

ビデオやカメラなどの大荷物を持って、

参列しにきた父親。


思春期、真っ只中の私にとったら

ただただ、恥ずかしくてたまらなかった。


「なんで呼んでもないのに、来るんだよ!」


と、言葉にするのは心の中だけ。


その頃の、私たち親子は

もう普段の会話をすることすら

避けるような、冷え切った関係になっていた。



正確には、私が猛烈に拒絶していた。


不信感と警戒心


それが、彼に対して抱いていた感情。



感謝はしてるよ。


でも、期待なんかしてない。


求めているのは、

親子仲良しこよしの甘ったるい生活じゃない。


金だ!

いつ1人になっても生きていけるだけの金。

そして、仮にその金が無くなったとしても

すぐに、取り戻せるだけの金を稼ぐ力!


何をしたら、それを得られるんだろうか?


いつも考えていた。。。


卒業だろうが春休みだろうが、あんまり関係ない。

今まで通りバイトをし、英語の勉強をする。


高校に入るにあたり、

それなりに出費も覚悟していた。


一番キツかったのが、制服だ。


約 60,000円くらい...。


3年間しか着ないのに、

なんであんな高いもの買わせるんだよ!

しかもブレザー、かわいくないし。


自分が欲しくないものに

こんなに金を使うのは、初めてだった。



さすがの生活保護も、

制服代まではカバーしてくれなかったのか

カバーしてくれた分は、父親に入ったのか

詳しいことはわからない。


ただ、それを確認するために

父親と会話するくらいなら

自分で払った方がマシだと思った。


入学前のそんな諸々の準備も

全部ひとりで、やった。



もう親の助けなんか要らない!

一人で生きていく!

一人で生きていきたい!


不安を感じる暇すらない。

ただ目の前のすべきことに、

したいことに、一生懸命だった。




幸い、私が合格したのは

県立の定時制高校。



働きながら学ぶ学生たち

を応援してくれる制度がいっぱいあった。


まず、どの生徒たちも、

教科書代はタダだったような?

(税金よ、ありがとう!)


授業料は、

確か生活保護で免除?だったような?

(税金よ、ありがとう!)



一番、私が驚いたのは


入学金!


巷の話もイロイロ聞いていたので

相当まとまった額を、覚悟していた。



が!

なんと!


1,900円 だった。


ゼロが1コ?

どころか2コ?

いや、3コくらい少ない!!


まぢで!?

ウソでしょ!?


超ラッキー!


ってか、この中途半端な数字、

なによ?(笑)



これが、生徒全員だったのか

生活保護のおかげだったのか は、わからない。

(でもやっぱり税金よ、ありがとう!)



ついつい払うことばかりに目を奪われがちだけど

日常に溢れる税金の恩恵に気づけるだけで

社会のありがたさを享受するだけで

人って割と幸せを感じて生きていけるもの。

そのお金を使わなくてもね。




いっしょに受験した友だちも、合格!


晴れて、いっしょに通学できる!

彼女は、小学生の時からの友だちだけど

学区が違ったので、

同じ学校にいっしょに通うのは初めて。


浜松駅周辺に暮らす彼女と、

駅のバスターミナルで待ち合わせして

高校に向かう日々が始まった。



入学式当日、学校に着いて

私たちはびっくりした。


金髪比率の多さに。。。


えっ!?

みんな受験の時と、全然違うじゃん!

違い過ぎる。。。


ってなくらい、頭が明るい子が多かった。



さらに、式の最中に

もう1つ目を疑ったことが...


新入生を代表して、壇上に上がった生徒が

答辞を読み始めた途端、会場がざわついた。


なんか違和感。。。


最初は

「ん?先生??」

って思った。


けど違った。



背筋を伸ばして、

堂々と答辞を読む生徒は


制服姿の、おばさんだった。



ナゾの同級生(第28話)




いいなと思ったら応援しよう!