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【レニーさんとマリンさんとかてぃんさんと。】(私の大好きな音楽家さんが繋がった日/2022.9.19)

【はじめに】

2022.9.19
この日は、今、私の1番の推しである音楽家、角野隼斗さんが世界的指揮者マリン・オルソップさん、ポーランド国立放送交響楽団(NOSPR)の皆さんと一緒に日本を回っていたツアーの千穐楽。
この日のソリストアンコールの速報を受けて、私は一瞬驚き、そしてこんなに素晴らしくうれしい事が起きるなんて…と、出先ではあったが涙が出て仕方なかった。

昔から大好きな音楽家さんと
今、1番大好きな音楽家さんが
繋がった喜びだった。

その喜びをまとめてみようと思った。

(喜び…というか、この件をきっかけに私のこれまでの思い出などをまとめた感じになっています…)

(とってもうれしい事だけど、あまりにも自分の中の事件なので、このように公開することはどうかな…と思ったのですが、自分のためにも文章にして残しておこうと思いました…)

雑文ではありますが、もし、ご興味が有ればお読み頂けるとうれしいです。

【レニーさんのこと】

私が初めてレナード・バーンスタインさん(愛称レニーさん)の曲を聴いたのは、確か中学1年生の時だと思う。
それが「キャンディード序曲」だった。
中学から吹奏楽を始めた私は、先輩達に連れられ、地元の高校や社会人吹奏楽団の演奏会にあちこち行くようになっていた。上手な人の音を聴きたくて当時の「N響アワー」も毎週欠かさず見たり、お年玉で吹奏楽のレコードを買ったりしていた。そんな中、ある高校の定期演奏会の最初の曲が、キャンディード序曲だった。その当時の記憶はおぼろげだが、はじまりのトランペットの勢いあるメロディにハッと目が覚め、続く木管楽器のユニゾンに聴き入ったのは覚えている。今までに自分で演奏する機会はなかったが、大好きな曲のひとつとして大事な曲だった。

私の中では「序曲」と言えば、この「キャンディード序曲」がいつでも1番に思い浮かぶ。

前回のnoteより(NOSPR JapanTourの初日と遠征記)
↓↓↓

この曲が発表された時、フライヤーなどに記載されていた曲名は「序曲」との日本語表記だった。それを見た私は、何の序曲だろう、と疑問に思っていた。例えば「キャンディード序曲」とか「喜歌劇こうもり序曲」など、序曲…Overtureと呼ばれるものは、何かの物語が始まる時の最初の曲で、こんな風に楽しいよ、怖いよ、ハラハラドキドキだよ、さぁゆっくり物語をご覧くださいね、という導入を誘う(いざなう)曲というイメージであった。

https://note.com/satomi143/n/n155fccd7dba1


キャンディード序曲

その後、ある映画の存在を知る。
あの有名な「West Side Story」である。元々は1957年にミュージカルとして上演されたものを1961年に映画化されている。
映画の存在は知っていたが観てはいなかったので、私がこの映画音楽を知ったのは、社会人吹奏楽団の練習の時に演奏会の候補曲としてたまたま楽譜があって少し練習していた時だと思う。
(これが「West Side Story」の劇中音楽をオーケストラver.に編曲した「シンフォニック・ダンス」というタイトルの曲だった。)
結局は演奏会のプログラムには入らず、少しの練習だけで終わったが、最初のプロローグやマンボは、とても印象に残っている。その時に、バーンスタインさんという人の名前を覚え、その後キャンディード序曲を書いた人と一緒なんだ!と覚える事になった。

シンフォニック・ダンス

その後、劇団四季さんのレパートリーに入っている事を知る。ちょうど札幌に劇団四季さんの常設の劇場が建ち、ロングランとロングランの隙間にひと月ずつ演目が変わる時期があり、そのひとつに「West Side Story」があったと記憶している。
どうしてもどうしても観に行きたかったが、出産後という時期に重なり断念した悲しい思い出である。
舞台は観に行けないけど我慢出来なくて、その頃VHSの映画ビデオを購入した。(3年くらい前までそのビデオをずっと観ていたが、見過ぎでテープの劣化が激しくなり、DVDを購入した。その後、劇団四季さんの「West Side Story」は我が街へ旅公演で今までに3回ほど来てくれて、その度に必ず観に行った。この演目の時は、こんな小さな街の公演でも必ずすぐにチケットがSoldoutとなるほど、いつでも人気が高い。)

その映画を観た時の衝撃は忘れられない。すでに当時30年以上前に作られた映画であったが、ストーリーの普遍性もさることながら、場面場面での映像の切り取り方、映像と音楽が登場人物の心の叫びをも映し出し奏でる素晴らしさ…。観れば観るほど、聴けば聴くほど深みにハマり、大好きになっていった。
(語り出すと止まらないので今日は、これくらいで。ちなみに私は初版ver.が好きです。2021年にスピルバーグ監督がリメイクした新ver.も映画館で見ましたが、やはり私は初版ver.が大好きです。)

その後、こんなCDを見つけ、速攻で購入した。

全て聴いた事あるか演奏した事があるという私的には奇跡のラインナップのCD。即買い。

購入したのは20年くらい前だろうか…。どの曲も大好きで毎日毎日家事をしながら聴ける事がうれしく、今でも大好きなCDである。このCDでキャンディード序曲とシンフォニック・ダンスは鼻歌で歌える事となる。

こうして私はずっと前から、レニーさんの音楽が好きだった。音楽が好き…とは、ちょっとおこがましいかな。でも当時から関わるTV番組を見たり、最近でも色々と検索をして人となりを知ろうとしてきた。

レニーさんのブロードウェイでの活躍の解説記事
↓↓↓
この中に、このような記事を見つけ胸が熱くなる…。

1957年9月16日にウィンター・ガーデン劇場で初演を迎えるや、『ウエスト・サイド・ストーリー』は素晴らしい偉業を達成した作品として各方面からこぞって賞賛を受けた。デイリー・ニュース紙などは「この作品はジョージ・ガーシュインがその死去と共にやり残した、アメリカのミュージカルの表現手法を見事に引き継いでいる」と評したほどだ。

https://www.udiscovermusic.jp/stories/leonard-bernstein-broadway-productions?amp=1

2019年に書かれた記事もあった。

バーンスタインとは何者だったのか
↓↓↓

この記事にも出てくるが、晩年に私の住む北海道にて若い音楽家を育てる音楽祭(PMF)を創設してくれた事も私がレニーさんを身近に感じる理由だと思う。

PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)のWikipedia
(主な参加音楽家の指揮者の欄にマリン・オルソップさんのお名前もあります。)

私は今までに一度だけPMFに行った事がある。2014年だった。知り合いの娘さんがオケメンバーに合格した事を知り、オープニングコンサートは無料だった事もあり、初めて芸術の森へ行ってみた。(会場写真は全て筆者撮影)
そこかしこに、レニーさんの思いが込められている温かいステキなオープニングコンサートだった。
レニーさんはPMF創設の年、1990年に来道されてオープニングにも立ち会っているが、それが最初で最後のPMFへの参加となった。その時に一緒に参加していたのが、マリン・オルソップさんだった様子。
(Wikipediaより)

25周年の年だった(パンフレットより)
初日7月12日、芸術の森の芝生にて
この日のプログラム。オケだけではなく歌、アンサンブルなど様々なものが楽しめました。
札幌駅から芸術の森までのバスを降りると、あらわれる大きなエントランス
芝生席なのでシートを敷いてピクニック的な解放感。パンやお菓子を持ち込んで食べました笑
250人のトランペッター。当時の札幌市長も参加され、ここでWest Side Storyのメドレーが。
PMFオーケストラの演奏で、この日も「キャンディード序曲」を聴くことが出来た幸せ。

【マリンさんのこと】

私は、今回角野隼斗さん(かてぃんさん)とのツアーを知ってから、マリンさんの事を知り、色々と検索していた。
すぐにレニーさんのお弟子さんという事がたくさん出てきて、色々な文章を読むたびにレニーさんの気持ちを受け継いで来たマリンさんとかてぃんさんがどんな演奏をしてくれるのかとても楽しみだった。
そして実際に9月7日の演奏会にて指揮を振る姿を拝見出来た。

前回のnoteより(NOSPR JapanTourの初日と遠征記)
↓↓↓

Alsopさんの指揮は、柔らかい印象。手元で細かく指揮棒を振るのではなく、身体全体で出すダイナミクスの指示や各楽器に出す指示まで柔らかく優しい感じに見えた。この演奏会に来る前にAlsopさんの指揮を動画などで拝見していたが、口角を上げて微笑みながら指揮をされるお姿、と思えば、ドーンと私に向かって来なさい、受け止めるわよ〜!みたいな姉御のようなお姿もあり、お人柄も素晴らしい方なのだろうと思っていたが、「序曲」を聴き終わって、私の印象そのままのAlsopさんがそこにいました。

https://note.com/satomi143/n/n155fccd7dba1

マリンさんの紹介のサイトなどをいくつか。

【マリン・オールソップのコメント】
「レナード・バーンスタインは思索者であり、教師、作家、テレビスター、扇動者、人道主義者、そして私にとっての英雄でした。真の指導者が皆そうであるように、バーンスタインは私に指揮法だけでなく、それ以上に多くのことを教えてくれました。
更に彼は、私だけではなく世界中にも、音楽が持つ計り知れない力と、とても豊かな人間性とともに、この力を共有することの大切さを示してくれました。
また「クラシック音楽」は人々を感動させるだけではなく、その人生を変える強い力を持っていること。
彼はその信念に従って生きていました・・・」

レナード・バーンスタイン・ボックス(8CD+DVD)
マリン・オールソップ、NAXOSバーンスタイン録音全集/2018年発売/紹介サイトより引用

2019年に2回目のPMF参加をされてますね。

「エネルギー、協調性、そしてバーンスタインが残してくれたことすべて抱きしめて取り組みたい」
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当時の道内ニュース。
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今年は映画も公開されてますね
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【そして、かてぃんさんと】

2022年9月7日から9月19日までの13日間で日本国内を連日移動しながらの全11公演。
ほとんどの会場のチケットがSoldoutとなり、毎日素晴らしい演奏が繰り広げられ、Twitterでも聴きに行った方々の感想がたくさん流れて来ていた。
その中でも毎日の注目は、かてぃんさんのソリストアンコールの曲だった。
毎回違う曲を弾かれていて、Twitterでは次は何が来るかと予想まで始まり、演奏会には行けなくても楽しい時間を過ごさせてもらっていた。
そして千穐楽の前日、「明日のアンコールは何だと思う?」とInstagramのストーリーで私達に問いかけていた、かてぃんさん。私は千穐楽には行けないので聴けないけれど、私が聴きたい曲、「胎動」と「奏鳴」を入力して送信していた。

胎動/角野隼斗

奏鳴/角野隼斗


そして千穐楽当日。いつもは開演からだいたい1時間後くらいに聴きに行っているフォロワーさんから「アンコール速報」が入っていたので、この日もそれくらいの時間に、と思っていたが、なかなか流れて来ない。お留守番組の中では、ダブルアンコールかな?などなど、また予想が飛び交っていた。

そして、とうとう私は目にした。

「キャンディード序曲をオケと一緒に」

えっ?えっえっ?
オケの皆さんと一緒にキャンディード序曲をアンコールですか?

キャンディード序曲と言えば、レニーさんではありませんか…。

かてぃんさんのツイートより

マリンさんへのリスペクト…。
本当はピアノだけの予定が3日前にオケver.と決まり、前日と当日の合わせでの本番との事…。

タイトルは「Ca(teen)ndide Overture」。

(かてぃんさんのお母様のブログより)

キャンディード序曲は、元々、かてぃんさんとピアニスト亀井聖矢さんとの2台ピアノコンサートでもプログラムされている曲でもあるし、NOSPRの方々のレパートリーにもあったと思う。(予想)
それにしても、
3日間の間に、オーケストレーションを編曲し、ピアノコンチェルト仕様にして、観客の前で演奏出来るようにしてしまうなんて…。

さすがプロ中のプロの方々の集まりなんだなぁ、と本当にビックリした。
そして、是非是非聴いてみたかった。
この速報が流れてから、私の頭の中はキャンディード序曲のピアノver.とオケver.が混ざりあってグルグルとしばらく鳴り響いていた。

Twitterで、続々とアンコールの様子が流れて来て、舞台上の詳細などがわかって来た。
でも、もう私は十分だった。

千穐楽のソリストアンコールの場面でこのツアーを共に作り上げて来たオケの皆さんとかてぃんさんが、マリンさんへのリスペクトとして、この曲を選び演奏してくれた事で胸がいっぱいだった。

千穐楽にも行けず、こんな田舎で速報を読んで感動している私なんかより、指揮を振るマリンさんはもっともっともっとうれしく感慨深かっただろう。
この5分弱の演奏時間、マリンさんはオケの皆さん、かてぃんさん、舞台上のみんなみんな1人1人の目を見つめ、演奏する表情を見ていたに違いない。1人1人を見つめながら、マリンさんはきっと笑顔だったに違いない。その皆をそっと見つめているレニーさんの優しい笑顔も見つけていたに違いない。

晩年のレニーさんが、最後にやり遂げたかった仕事の場所として選んだこの日本で、愛弟子のマリンさんは、これから世界的に活躍していくだろう若い音楽家と濃厚な時間を過ごした。かてぃんさんは、昨年のショパンコンクールをこの日本で完結し昇華させて、また新たな足跡を残して世界に羽ばたきはじめている…。

マリンさんとかてぃんさんの次の共演が楽しみでならない。
その時はきっとまたレニーさんが、近くにいるんだろうなぁ。

くわえタバコのレニーさんは、目尻を下げた笑顔で、
「マリン、ずいぶんスマートな若い子を見つけたね。コレは早くアメリカに連れて帰ってツアーをやらなくちゃ!
この子はガーシュウィンも弾けていたなぁ!プログラムは何にする…?笑」と、ウィンクしているようだ。

マリンさんとかてぃんさんの素晴らしい笑顔の向こうにレニーさんもいるね!

私の大好きな音楽家と、
私が今、1番大好きな音楽家が
繋がった。


(おわり)

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