東長崎生活20年、伝説的「鰻家」初訪問。
私が住む東長崎には、伝説的な鰻屋がある。その名も「鰻家」。政界、財界、芸能界の名だたる重鎮たちが、何度も訪れるという噂を、生活しているだけでよく耳にする、正に生ける伝説。
町の噂では、近くに住んでいた本田宗一郎がこよなく愛した鰻屋であることは有名だ。また、私の個人的な情報筋からは芸能界のグルメ、秋元康も訪問していると聞いていた。
それから、ここの親父がかなり偏屈で破天荒な伝説も流通している。そして、婿養子に代替わりし、店の雰囲気も大分変わったとも聞いた。
コロナ禍のGW最終日だったし、「ひとり地元で消費」「自衛の為の営業」応援隊としては、ここで行かず、いつ行くかと満を持して店の扉を潜った。
ガラガラガラ
中に入ると、もう15時頃だったので、従業員は皆小上がりで食事中だった。
佐藤「お食事中、すいません💦」
早苗「あっ良いんですよ。私らが一段落付いたもんだから、どうぞどうぞ」
従業員の中に、明らかに異彩を放つ重鎮が小上がりの奥に座っている。
佐藤(あっ、あの人が恐らく先代の破天荒な主人だ。まだ、現役なのか?)
カウンターに座り、メニューを見る。
梅、3000円
竹、3500円
松、4000円
特、4500円
特上、飛んで6500円。
初訪問の客だから、梅、竹では足元を見られる。(ソンナコトナイヨ)今日は地域貢献なのだと言い聞かせ、また、真ん中理論を適用し、
佐藤「松をください。」蒲焼きも同値段なのに気づき「アッ松のうな重をください。」と言い直す。
するとカウンターに入って来たのは若い男で、恐らく娘婿だ。聞いていた噂を確かめる。
佐藤「このお店、本田宗一郎さんが来てたんですよね?」
娘婿「はぁ」
佐藤(?)
「秋元康さんも来てるとか」
娘婿「知らないですねぇ」
佐藤(レス悪いな。この人ホントに美味い鰻を焼けるのだろうか?)と思ったら、蒸し器や焼き台に火を付けたら、ソロソロとカウンターからいなくなった。
そこで徐に登場したのが、伝説の男!
焼くのはやっぱり御大なのか!
ふと横に目をやると、
「地域マーケティング大賞・優秀賞・遠藤勲」
と表彰されている。
ここは意を決して、この壁を乗り越えるぞ!
佐藤「遠藤勲さんですか?」
勲「アッ(・Д・)?」
鋭い眼光(・・;)臆せず
佐藤「遠藤勲さんですよね?あそこにお名前が」
勲「そうだけど(・Д・)」
かなりゴラった印象であったがすかさず、ベテラン男性店員さんが、
店員「耳が遠くて大きな声じゃないと聞こえないんですよ」
早苗「すいませんねぇ」とベテラン女性店員さん。
ならば、このお二人に話を伺おう。
佐藤「あの本田宗一郎さんがよくいらしてたと聞いているのですが」
早苗「そうなの、近くに住んでいたものだから、よくいらしてましたよ。」
(そうそう、こう言うレス、普通の)
佐藤「秋元康さんもいらしてたとの噂も」
店員「秋元康??」 早苗「?」
佐藤「美空ひばりさんの「川の流れのように」とかを作詞した」
店員「あー美空ひばりさんね。それなら「上原げんと」さんはよくいらしてましたよ。」
佐藤「上原げんと?」
早苗「ほら、美空さんがデビューの時、作詞してた、若いから知らないかしら?」
佐藤スマホで「上原げんと」検索。
大物キタ!
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E5%8E%9F%E3%81%92%E3%82%93%E3%81%A8
佐藤「この方、私が生まれる前に亡くなってますよ!」
早苗「まぁ、そうよね」
存じ上げなかったが、秋元康レベルではタメ張れないレベルの大御所。そのレベルの大家がいらしているのは間違いない。
佐藤「狂言の野村さんも来ていたとか?」
店員「野村万蔵さんは出前はしてましたよ」
(万蔵?)
店員「で万作さんは来ていただいてました。」
万蔵さんは萬斎さんのお爺さんでした(^_^;)
店員「萬斎さんは来たことはないけど、近くだったので子どもの頃、その辺で遊んでましたよ。」
萬斎さんが小僧レベル(笑)
佐藤「政治家のハイヤーが止まっていたとも聞いて」
早苗「そうですねぇ」
佐藤「例えば、N曽根とか?」
早苗「ハイ、来てました」
佐藤「安倍晋三とか、それこそ岸信介とか、佐藤栄作とか、小沢一郎とか、小泉純一郎は?」
早苗「来てないです、今で言ったらI破さんとか、K明党のOさんとかは来ました。」
佐藤「スゲー、偉いひとばかりじゃあないですかー!!」
と、はしゃぐ私をビシッと戒める、御大の一言にメッチャ痺れる。
勲「この店の扉を潜れば、偉いも(低いも)何もありぁしねぇよ。」
佐藤(カッケーーーーーーーーーーーー!( ;∀;))
松のうな重が焼き上がり、お吸い物、漬け物も目の前に。
まずは汁物の香り、美味い。漬け物も美味い。薬味を掛けず、そのままで鰻を。
私の脳内データベースで「鰻の味」で検索。
佐藤「今まで食べた鰻の中で一番美味いです!」
早苗「ありがとうございます」
佐藤「松の上の特とか、特上は大きさの問題ですか?」
早苗「それは全然違います。まず鰻の大きさ、するとその脂のノリ具合も全然違う。特上はそれこそ口に入れたら溶けてしまいますよ」
佐藤「今までの最上よりもまだ上があるんですか」
早苗「ハイ、(先程の)お偉い先生方は皆、お忍びで特上を食べて行かれます」
佐藤「なるほどぉ。あそこまで登るには特上ですかぁ」
早苗「ただ、一度特上を食べたら、もうランクの下には戻れません。何処か物足りなくなってしまう」
そんな、「鰻」なのに「美味美味マシンチキンレース」があるなんて。
ただ、今年の誕生日は「特上」を食べて、この国のトップ(総理大臣ではなく)を目指そうと誓う、佐藤であった。(本当に?!?)
佐藤「ちなみに失礼ですが、奥様ですか?」
早苗「ハイ」
佐藤「お名前は?」
早苗「早いに苗です」
佐藤「早苗さん、お店はどれくらい?」
早苗「もう50年になります」
佐藤「私より先輩だ」
最後に勲さんに挨拶。
佐藤「こんなに美味い鰻食べたのは初めてです。御見逸れしました。参りました」
頭を深々と下げて店を後にした。
「鰻家」(東長崎)
https://tabelog.com/tokyo/A1321/A132101/13012445
(生簀)
食べログでは分からない、
聞いてみないと、直に触れないと世界は分からない。
世界の広さと自分の小ささを知った男
佐藤学
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