愛しているからこそ、言いたいことがある!山口を熱く語るディスカッション
先日、といってももう4カ月も前になりますが…。4月26日に山口県周南市で開かれた紡縁(つむぎえん)会のディスカッションに参加しました。
紡縁会は、周南市のコワーキング&レンタルスペース「CROSS SPACE 紡」で月1回開かれている異業種交流&学びの場。その中のイベントとして、山口県への熱い思いを語る討論会「愛ある割口(わるくち)」が開かれました。
司会者のラジオパーソナリティ、ヤスベェこと大谷泰彦さんいわく「⼭⼝県のあんなことやこんなことに本⾳で⼝を割っちゃいませんか?いいところはもちろん、⼭⼝が⼤好きだからこそのダメ出しも⼤歓迎!ぜひあなたの「愛あるわるくち」を聴かせてくださいっ!」とのことで、県内のメディア関係者や実業家の皆さんと一緒に、登壇させていただきました。
私の「愛あるわるくち」は?
ディスカッションの想定質問は5問で、事前に答えを考えていたのですが、本番では、ヤスベェさんがしゃべりすぎた?のか(笑)、時間が足りず3問だけになりました。この機会に私の回答を紹介します。
Q1 山口県といえば何でしょう?
A 3方が海に開けている
地元紙記者として県政を担当していたころ、某県幹部がしきりに使っていた言葉をお借りしました。「3方を海に囲まれているんじゃない、海に開けているんだ」と。県民のマインドとしても、そういうオープンな考え方があるという思い(半分願望?)も込めて、この言葉を選びました。
実はもう一つ、考えていたことがあって。長門市出身の私としては、勝手に師と仰いでいる同郷の画家、香月泰男先生のことを挙げたかったのです。
香月先生の座右の銘は「一瞬一生」。私もいつも心に留めている言葉です。「一瞬に一生をかけることもある。一生が一瞬に思えるときがあるだろう」との言葉も残しています。現在、山口県立美術館でシベリア・シリーズの展覧会が開かれていますので、お近くの方はぜひ…!
Q2 山口県を褒めちぎってください
A 人間(上下)関係がゆるい
これは、東京から山口にIターンした夫に言われて気付いたことです。職場でも地域活動でも、若手(後輩)が年配の方(先輩)をちょっといじったり、敬語もそんなにきっちりしていなかったりということがよくありませんか?記者時代の私の職場もそうだったので、あぁ、私はトーキョーでは働けないな、と思ったものでした。でもきっとこれは山口県の良いところだと思います。人間関係のわずらわしさを気にする人も多いと思いますが、意外とゆるゆる、というのが私の印象です。
Q3 山口県のダメなところ(足りないもの 欲しいもの)
A 地元にいる若者を大事にしない
これは本当に、声を大にして言いたい。地元の新聞社に入社後、あいさつ回りに行った先で、「県外の大学まで行って、こんなところで何やってんだ」と言われたことを、私はいまだに根に持っています(今思えば、かなり保守的な地域に住む方だったので仕方ないのかもしれませんが)。
地元にいることを積極的にでも消極的にでも、選んだ若者に対してそういうことをいうのは論外です。ちやほやしろとは言いませんが、その選択を肯定してほしいし、温かく見守ってほしい。何かにチャレンジしようとしていたら応援してほしいし、困っていたら手を差し伸べてほしい(だんだん要求がエスカレートしてしまいました)。
メディアでも、Iターン者やUターン者など移住者ばかりがもてはやされてはいませんか。ゼロターンでもいいじゃないですか。「若い人がいない」と嘆くばかりではなく、ちゃんと地域を見れば、若い人っているものですよ。
Q4 これだけは山口県に言いたい
A 誰もが暮らしやすいまちに
少子化対策が待ったなしの状況なのはわかりますが、子育て世帯「だけ」が優遇されるのではなくて、社会全体で子育てしやすくする、誰もが生きやすい地域にする、そういう機運を醸成することが何より大切ではないでしょうか。世代や立場などによる分断がこれ以上進まないようにしてほしい、というのが私の願いです。
Q5 これをすればやまぐちがきっと変わる!
A ローカルジャーナリストが増える!
討論会で私が一番言いたかったのはこれです。ローカルジャーナリストは、島根県在住の元新聞記者、田中輝美さんの造語で、「自分が暮らしている地域を記録し、発信している人」のこと。職業的なプロに限りません。
地域に暮らし、自分の言葉で、等身大の自分、ありのままの暮らしを記録し発信する。そんな人が一人でも増えてほしい。
近年、田舎暮らしの魅力をアピールする文章や動画を目にする機会が増えましたが、どうも、「感動させよう」という意図が見え見えのように感じてしまうのです。毎日毎日、庭でバーベキューしているわけじゃないし、隣近所にも気を遣うし、いつもキラキラしているわけじゃないんです。
でも、誰もわざわざ記録しようと思わないような、朝の空の色だったり、夕暮れの風の感触、草刈り機の音、そういうちょっとした場面にこそ、田舎暮らしのリアルがあり、魅力や楽しさの根源になっていると思うのです。
例えば、草刈り機の音がするので家の外を見てみると、近所のおじさんが早朝から川土手の草を刈っています。奥さんは「自分の土地でもないのに…」とぶつぶつ言いながら、夫のことが心配で様子を見に行こうとしています。おじさんが草刈りをしてくれるおかげで、私は安心して犬と川土手を散歩できるのです。
私は、地方からの発信、中でも「楽しさ」を伝える発信が圧倒的に少ないと感じています。もちろん、楽しいことばかりではありません。課題も山積していて、地域外からの知恵やサポートを必要としていることもあります。でも、知恵やサポートを得ようと思うなら、なぜここで暮らし続けたいと思うのか?理解してもらう必要があります。そのためには、もっともっと、「いいね!のために演出された楽しい田舎暮らし」ではなく、「ふとした時に感じる田舎暮らしの楽しさ」を発信するべきだと思うのです。
貴重な経験をありがとうございました
ディスカッション終了後、「ローカルジャーナリスト、いいですね!」と声を掛けてくださった方もいて、とても嬉しく、励みになりました。
まずは、何気ない日常を、記録するところから始めてみてください。
会場の「CROSS SPACE 紡」さんは、窓から山陽新幹線と瀬戸内海が見える絶好のロケーションです。お近くの方はぜひチェックしてみてください。