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駐妻が見た中国⑪親の意識や食習慣が子どもをつくる!

2020.03.30by 岡本 聡子

Hanakoママwebリニューアルにともない、私が取材・執筆した記事を、関係者の許諾を得て、こちらに転載しています。
当時の記録をそのまま残します。コロナによる一時退避生活中、居候生活が続き、行く先々のパソコンを借りて書いた記事です。

2018年より中国・広州に滞在中の4歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続。その一部を皆さまにお伝えします。

孫を追いかけて食べさせる祖母達

なかなか食べない子ども達。業を煮やした親達がとる行動は 「追いかけてでも食べさ……せる」でした。実際に、おばあちゃんやアーイーが、公園で遊ぶ子ども達を追いかけて口に果物や饅頭(マントウ)をほおばらせる姿をよく見かけます。年長さんか小学校低学年の子ども達です。

中国の新聞記事でも、「幼稚園どころか小学生になっても食事中に走り回り大声で騒ぎ、落ち着いて食事ができない子どもが少なくない。小学生になっても親や祖父母に口まで運んでもらわないと食べない子どももいるほどだ」と嘆きがきかれます。

見えにくいが、おばあちゃんが饅頭(マントウ)を持って、遊ぶ孫を追いかけている様子

さらに、子どもの肥満も増えています。食生活以外の要因として、空気が悪く外遊びをあまりしない、勉強や習い事で運動に時間をかけられないという環境が追い打ちをかけています。中国では、ほっそりした子よりも、少しふっくらした色白の子どもが「健康的」として好まれるという理由もあるかもしれません。

政府は食べ残しを減らそうとしているが、子ども達には響かず

2016年、中国では年間1700-1800万トン、約3000-5000万人分の食料が食べ残されていました。政府が本腰を入れて、光盤運動(完食しようというキャンペーン)を行い、外食での残りを持ち帰るなど、徐々にその量は減少しています。しかしながら、中国人にとって食事を残すことは「満腹・満足」を意味するため、多めに注文することがマナーであり、食べ残しを美徳とする人々もまだ多いのです。子どもは親を見て育ちます。小学校でも食べ残しはやめようという授業が行われたそうですが、子ども達は納得しないでしょう。

食べ残しをやめようというスローガン、手前は出前用容器

小学校では、「飲食教育」という日本でいう食育の授業があるようで、栄養、安全、衛生の視点から、健康な食生活とは、そのためにどのような食を選択するべきかを学んでいるようです。しかし日本の「食育」のように食材の源流に立ち返り、感謝の念をはぐくむという内容とは異なります。

親の意識改革が必要

私がもうひとつ違和感を覚える点は、食事後の散らかり具合がすさまじいこと。日本では、片づける人の気持ちを考え、ゴミをまとめたり、汚れを拭いたりして、ある程度気遣いを示しますが、中国では皆無です。これは、「清掃や片づけは仕事」として他人に任せるという考えに基づくもの。調理も然りです。「仕事として調理」をしているのですから、それをどう食べようと食べる側の自由です。代金を支払うのですから、特に感謝の意を示す必要もありません。

親が路上で立ち食い、歩きながら食べれば、子どもも真似をします。私が伝えたいことは、中国の食文化や習慣の良し悪しではありません。中国人の行動も、彼らの文化では理にかなっており、効率的なのです。大切なのは、親の意識や行動が子どもを形づくるということなのです。

通勤途中、立ち食いをする男性

※2020年1月末時点での状況です。

中国については、2005年「上海のMBAで出会った 中国の若きエリートたちの素顔」(株式会社アルク)を加筆・改題し、2016年「中国のビジネスリーダーの価値観を探る」を出版。


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