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石の女王、あらわる。
アナと雪の女王の狂気的なブームが一段落した頃、なおかつシリーズ2が発表される前に生まれた娘は、その存在を知らぬまま育ちました。
そもそも、我が家にはテレビもないし、今のところディズニーの存在も教えてないし(隠すつもりもないけど)、本人は同じほ乳類でもプリンセスよりもオオカミに親近感と憧れを抱いているらしいし。
そんな娘がアナ雪を完全黙殺して生きていることに、親として驚きはありません。なんなら、巷にはびこるアナ雪ビジネスを真っ向から否定(スルー)する、その姿が眩しいぜ。
こうして、世界一有名な女性コンビのどちらがアナでどちらが雪の女王かも知り得ぬまま、平々凡々に暮らしていたわが家に、なんと最近、石の女王たるものが現れたのでございます。
始まりは数日前。
「よし、こうしよう。じゃんけんでママが勝ったら一口食べさせてあげる。娘が勝ったら自分で一口食べてね!」
夕食時、遊び食べがすぎる娘にしびれを切らした私は、驚異の名案を思いつきました。母的には勝っても負けても食べてくれる&娘はじゃんけん楽しい!これはまさにwin-winを絵に書いたような話。もちろん、娘は大喜びで話にのってきました。勝負すること自体が母の不戦勝だとも知らずに…。
※余談ですが、勝った方が食べさせる、という罰ゲームならぬ賞ゲームなところがミソ。こうすれば食べることに対して、嫌なこと、残念なこと、というイメージはつきません。子供の食事でお困りの方、ぜひお試しくださいな。
「じゃあ、いくよー、じゃんけん ぽん!」
(娘 グー✊ vs ✋母 パー)
大人げなく声をあげて喜ぶ母。それを見て自分のことのように嬉しそうに笑う娘。彼女は、じゃんけんの最初はいつもグー✊をだすクセがあることを知りません。(すまぬ!)
娘の口に容赦なくスプーンを突っ込む母。
「はい、じゃあ次ね、じゃんけん ぽん!」
(娘 グー ✊vs ✋ 母 パー)
ほくそ笑む母。負けという文字のかけらもない満面の笑みを浮かべる娘。以下同上。
3回戦、4回戦と同様に続き、勝ち続けることに少し罪悪感を覚える母。
「ほら、チョキ ✌とかも出していいんだよ」
そう言ってやって見せると、娘も真似してチョキ✌。はたからみたら、食事中に仲良くピースしてる母娘、あら、かわいい。
「じゃーんけーん ぽん!」
(娘 グー ✊vs ✋ 母 パー)
「ウソでしょ、なんでまたグー✊…?」
かたくなにグー✊を出しつづける娘に不安を感じ始める母と、仏の微笑みな娘。
「じゃん けん パー✋」
(娘 グー✊ vs ✋母 もちろんパー)
終いには、遅だしならぬ早だしで、わざと負けようとする母。しかし、その手に乗ることもなく今一度、強くにぎりしめたグー✊をだす娘。
「私、なにかに試されてるんでしょうか?」
この辺りから、もはやこちらもパー✋以外の手をだしてはいけないような気がして、でも娘に勝たせてあげたい親心もあって、いやでも次こそ別の手をだしてくるかもしれないなんて期待もあって、そんな葛藤も本当は娘に全部読まれてるんじゃないかと疑ったりして、私は笑い方さえ忘れてしまう始末。
そうこうやっているうちに皿の中はからっぽ、きれいに食べ終わった娘は満足そうに言いました。
「ママ、全部食べさせてくれてありがと!ごちそうさまでした!」
やっとわかった娘のグー✊のわけ。
彼女は私に食べさせてもらうため、わざと負けていたのです。
娘の天才的策略に乾杯、それにまんまとハマった母は完敗。
その日から私は心の中で娘のことを
石(グー)✊の女王とよんでいます。
「ねぇ、ママ、じゃんけんしよ?」
アナと雪の女王ならぬ、母と石の女王。
まだまだ戦いは続きそうです。