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映画『ソニック・ザ・ムービー』 魅力的なヒーローと脇役と悪役!
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SEGAの人気ゲームのキャラクターを主人公にして実写映画化した映画『ソニック・ザ・ムービー』。公開前はファンからの不安な声もあったものの、公開されるとゲームファンだけでなく映画ファンからも好意的な評価をされる結果となりました。
可愛いキャラクターに豪華な俳優陣!そもそもなぜ不安の声があがったのか?なぜ評価されたのか?みどころと一緒にご紹介します。
ソニックとは?
ソニックは日本のゲームのキャラクターですが、あまり知らない……という方も多いのではないでしょうか。ゲームの製作、製造、販売等を行っている日本のゲーム会社SEGA(セガ)の人気ゲーム「ソニック」シリーズ。その主人公がこのソニックです。
1991年に1作目の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が販売されましたが、ソフトをプレイできるハードのメガドライブが日本よりも海外で売れていました。そのため、ソニックの知名度が日本よりも海外の方が高いのです。
そもそもソニックとは何者なのでしょうか?ソニックは音速のスピードで走る青いハリネズミです。とてつもなく速いソニックを操作してステージを駆け抜け、敵をやっつけるこのゲームは、アメリカを中心に多くの国でファンを獲得しました。ソニックの活躍の場はゲームだけに留まりません。アメリカやイギリスではコミック化もされています。
そんな人気キャラ、ソニックの映画化は世界中のファンを多いに期待させました。
事前に公開されたポスター
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2013年頃から企画・製作が開始した『ソニック・ザ・ムービー』。当初は2019年11月に公開される予定でした。しかし、ある事件をきっかけに公開日が2020年2月に延期されることになります。
その理由はこの上記のポスターです。投身が高く、スラッとした印象のソニック。可愛いキャラクターを現実に合わせるために、リアルな生き物として再デザインされています。可愛らしいというよりは格好良い!という印象です。この再デザインされた姿がネットを中心に物議を醸しました。
任天堂の人気ゲーム「ポケットモンスター」シリーズの実写化映画『名探偵ピカチュウ』が、同じ2019年に公開されたことも原因のひとつでしょう。こちらはゲームのキャラクターをより愛らしく現実に持ってくることに成功しています。どうしても比較されてしまい、否定的な意見が集まりました。
結果、ソニックをデザインし直して公開されることになりました。
再び製作されたソニック
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もう一度デザインから作り直されたソニック。アメリカでは2月に、日本では新型コロナウィルスの影響で6月に公開日が延びました。
この再製作は成功だったと言えるでしょう。以前のデザインよりも投身は低く、瞳は大きく愛らしくなっています。リアルな生き物感はあまりありませんが、毛はふわふわで魅力的です。まるでゲームの中から飛び出してきたようなソニック。今度はファンの心をガッチリ掴みました。
アメリかの映画批評サイトRotten Tomatoes(ロッテントマト)では93%の高評価を記録し、全世界の興行収入も3週連続で1位という記録を残しました。
もちろん、ソニックのデザインだけでこれだけの記録を出した訳ではありません。『ソニック・ザ・ムービー』はストーリーや登場人物、アクション等みどころいっぱいの映画なのです。
あらすじ
ソニックはフクロウのロングクロウと一緒に平和に過ごしていた。だがある日、ソニックの「音速で走れる」スーパーパワーを知ったナックル族が力を狙って襲ってくる。ロングクロウのおかげでソニックは地球にワープして、命からがら逃げだすことが出来た。その時から、ソニックは誰にも見つからないようにこっそり生活している。
それから10年間、アメリカの田舎町グリーンヒルズでソニックはのんびり暮らしていた。人間たちにあだ名を付けて観察し、足りないものがあればちょっと貰ってきて……。特に不自由なくすごしている。だが、友達がいないのが何よりも辛かった。
ある夜、孤独を紛らわせるために走りに走りまくって、思わずスーパーパワーを使ってしまった!アメリカ軍はこの異常なパワーの調査に乗り出す。調査を指揮するのは奇妙な科学者ドクター・ロボトニック。どんどんソニックを追い詰める。
ピンチのソニックはグリーンヒルズの保安官トムに助けを求めることにするが……。
みどころ
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可愛くて切ないソニック
とんでもないスピードで駆け回るソニックは格好良いです!なんでも楽しめる前向きさも素敵。地球での一人暮らしもなんだかんだ楽しんでいる様子です。はた目から見るとソニックは今の生活に満足しているように見えます。
しかし実際はそんなことはありません。楽しいことを見つけても、誰とも共有も共感もできない。ゲームも卓球も野球も、ソニックのスピードがあれば1人でプレイ出来ちゃいます。でもホームランを打った後、誰ともハイタッチができない、とソニックが気付いた瞬間の顔……。
なんでも1人で出来るけど、本当はただの子どもなのだと気付かされます。ソニックと言えば、困難なことにも立ち向かう正義のヒーローです。でも本作ではそんな彼の弱い部分がピックアップされています。まだまだ未熟で脇が甘いソニック。彼がヒーローになるまでの過程が描かれています。
印象に残る名脇役
魅力的なのはソニックや保安官のトムだけではありません。脇を固めるキャラクターたちもクセがあって魅力的です。
一人はトムの同僚の保安官ウェイド。真面目に仕事をしていますが、ちょっとおバカで空回る事も。そんなところも愛嬌があって好きになってしまいます。トムもなんだかんだ言いながらウェイドに丁寧な指示を出しているので、この小さな町は上手く回っていました。もしトムがいなくなってしまったらこの町は、ウェイドはどうなってしまうのでしょうか……。
エージェント・ストーンにも注目してみてください。彼はドクター・ロボトニックの部下です。天才科学者の直属の部下になるくらいなのだから、おそらく優秀な人物なのでしょう。しかし、ドクター・ロボトニックからはバカにされているようです。いえ、ドクター・ロボトニックより頭の良い人物なんていないから、仕方がないのかもしれませんが……。それでもエージェント・ストーンはドクター・ロボトニックに世話を焼きます。ドクター・ロボトニックも彼に世話を焼かれるのは嫌ではないよう。そんな2人のやり取りがコミカルで素敵です。
ジム・キャリーの名演技
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本作はジム・キャリー好きにはたまらない内容になっています。一般人とはかけ離れた天才科学者ドクター・ロボトニック。他の人をバカにしたような態度、言葉、考え方……傍にこんな人がいたらイライラしてしまいます。しかし、ジム・キャリーが演じるドクター・ロボトニックにはあまりイライラしません。コミカルな動き、独特な動き……コメディアンのジム・キャリーらしい演技のおかげでドクター・ロボトニックは愛嬌のあるヴィラン(悪役)になりました。
特にドクター・ロボトニックが研究室で踊りまくるシーンが素晴らしいです!演出、カメラワーク、音楽、部屋の中を縦横無尽に走り回るジム・キャリー……。しかもこのシーンの音楽はジム・キャリー自身の案なのだとか。こだわってこのシーンが作られていることが分かります。
90年代のジム・キャリーのコメディ映画が好きな方には絶対観て欲しいです!自由に思いっきり弾けた演技をするジム・キャリーが魅力的。映画『マスク』の時のようなはっちゃけた顔を見せてくれます。ジム・キャリーはコメディアンとしての明るい演技が印象的ですが、映画『トゥルーマンショー』などのヒューマンドラマでは悩む主人公の繊細な心の動きも表現豊かに演じました。
本作でも、子どもっぽい自由な一面と、天才が故に誰とも対等に話せない孤独な一面を演じ分けています。そんなドクター・ロボトニックが「自分でも理解できない、捕まえられないライバル」ソニックと出会った時の輝く表情!
ジム・キャリーのおかげで、ドクター・ロボトニックは悪役なのに魅力的なキャラクターとなりました。本作はソニックの物語であると同時にドクター・ロボトニックのオリジン(起源)でもあります。ぜひ本作で悪役の魅力に触れてみてください。
まとめ
映画『ソニック・ザ・ムービー』をご紹介しました。ゲームの中に入ったかのようなアクション、魅力的なキャラクター、わくわくするマシン。ストーリーもシンプルで子どもから大人まで楽しめるアドベンチャー映画です。
公開後の評判も良く、2022年に続編が公開されることも決まりました。どうやらソニックとトムの冒険はまだまだ終わらないようです。宿敵ドクター・ロボトニックは次にどんなことをしてくるのか?そしてソニックの仲間も……?ソニックの活躍がこれからも楽しみです!