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地域コミュニティをつくるのが社会教育
昨日開催された、市職員講演会。
講師は東京大学大学院教授の牧野篤先生で、「『よきこと』をつなげる、『よき存在』になる~ちいさなしあわせを重ねあう社会へ~」というテーマでの講演だった。
ウェルビーイングのお話に続いてあったのが、社会教育についてのお話。
2023年に閣議決定された第4期教育振興基本計画。
それまで社会教育の位置づけは、学校教育以外の学習活動で、学校教育の補足的な役割だった。
これは明治期以降の社会が学校教育(学区)を基本につくられてきたから。
第4期計画では、社会教育の定義が大きく変わっている。
基本コンセプトは、「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根ざしたウェルビーイングの向上」
変化の激しい時代にあって、大人が子どもに、こう生きたらどうかと言えない社会になっている。
新しい社会を創っていく力をつけていく必要があるということから、今まで「担い手」だったものが、「創り手」に変わった。
人々がかかわり、つながって、協力し合っていかないと立ち行かない時代。
協力は人がすることであり、社会教育には人が協力し合っていけるよう土壌を耕し、基盤となる地域コミュニティをつくっていく役割がある。
一般行政が機能するためには、地域コミュニティが大切になる。
その地域コミュニティをつくるのが社会教育。
住民自治というのは、自分たちのまちを自分たちで担っていくこと。
行政が何でもやるのではなく、住民が自分たちでやるのを支えていくことが必要。
厚労省は「地域共生社会づくり」というのを掲げている。
今後、8人に1人が認知症になると言われる中で、病院がすべてを受け入れていくことはできない。
受け入れられる社会にしていくにあたり、公民館を使っていきたいと、一般行政が社会教育に注目している。
公民館は戦後にできたもの。
戦後、GHQが町内会・隣組の解散命令を出した。
これは、町内会・隣組が動員組織になっていて、戦争を推し進める要因になったと考えられたから。
それに代わるものとして日本側が提案したのが公民館。
これに対しGHQは、平場でみんなで集まって話し合っていくのが本来の日本の姿であり、それに合致したものだからと、公民館をつくることを認めた。
公民館がどんなものかを示した図説には、民主的社会教育機関、村の茶の間、産業振興の原動力、民主主義の訓練場、文化交流の場、郷土振興の機関であることが挙げられている。
老若男女が同じ立場で意見を言い合える民主主義の場であり、次世代を育成する茶の間の役割を果たしていた。
月刊公民館ちゃんねるというYouTubeでも公開されている「ナトコ映画」の1つ「公民館」についても紹介があった。
30分程度の動画で、研修で観たのは15分頃からの岐阜県菅田町公民館の様子を5分間くらい。
今の公民館とはまた全然違った面もあっておもしろい。
noteを書くのに全編観てみたら、当時公民館をどんな思いでつくっていたのかが伝わってきて、良い映画だと思った。
動画の最後には、「公民館というものは、灯台の灯ようなもの。人々にとってなくてはならないもの。生活に光明を与えるもの。」というようなセリフもあった。
この映画は1950年に制作されたそう。
公民館ができたのは1946年、社会教育法制定の翌年に制作されたもので、当時の状況や思いを知ることのできる映画。
社会教育の役割やその価値について、改めて考えることのできる講演だった。
つづく。