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「これから」が「これまで」を決めると思うと楽になれる
今年の春は職場で異動をしたり、建設中だった家が完成して引っ越しをしたり、なにかと忙しい日々だった。ずいぶん遅くまで日が沈まないなと思っていたら夏至を迎え、空気がしめった匂いを含みはじめて日差しがジリジリと強くなってきたと思ったらもう初夏を通り越していた。
この春感じたことは、つくづく私は過去を悔やみがちだということ。「あの時、あっちを選んでいれば良かったのに」と思うことばかりで自分でも嫌になる。家づくりなんてものは、素人にとってはどうあがいても小さな後悔が多発するイベントなので、引っ越し直前までクヨクヨしてばかりいた。でもそんなときはいつもこの文章を思い出す。
これからの未来をどう生きるかによって、その時々の「今」の集積として降り積もっていく過去は、未来によって新しく塗り替えられていくことになります。つまり、その時々で出合った出来事の良し悪しの評価は、その時点ではできなくて、そのできごとの後にやってくる未来が、それまでたどってきた過去を決めるということですね。過去が未来を決めるのではなく、未来が、それを生み出した過去の価値を決めていくということです。いいかえれば、「これから」が「これまで」を決めるということです。
未来が過去を決めるのだと思うと、過去を悔やむ暇があったら今できることが何かあるのだと思う。もう目の前にない過去はとても貴重だったものに感じて喉から手が出るほど欲しい気がするのに、どうして本当はもっと貴重な今を蔑ろにしがちなのだろう。いつか後悔することなんて「幸せ幸せ」と言って過ごせばよかったということに尽きる。
これから始まる新しい生活の中で、たくさんの幸せを積み上げていけばいい。スタート時の後悔なんて忘れるくらいに。