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子どもに見せたい世界

旅行が苦手だった。だからコロナ禍で旅行に行けなくなっても、元からほとんど行かないので特に困らなかった。方向音痴なのでまずまともに目的地に辿り着けないし、英語すらほとんど話せない。新しいものを見たり食べたりするのは確かに楽しいけれど、なんだか疲れてしまう。国内旅行ですら手一杯の私にとって、海外旅行なんてもっての他だった。そんな私を置いて、海外旅行が大好きな夫はアジアやらアフリカやら南米やら到底私が行けそうにない国々へひとり旅をしていた。そんな私だったが、娘が生まれてだんだんと大きくなり外の世界に興味を示すようになってくると、いろいろな世界を見せてあげたいと強く思うようになった。

最近は旅に関する本を読んでいると、どこに行こうかとつい想像してしまう。『ポルトガル、西の果てまで』(福間恵子、共和国)を読んでからは、ポルトガルが一番気になっている。今までは正直なところポルトガルってどこだっけ?というくらいポルトガルについて何も知らなかったが知れば知るほど興味深い国だなと思う。スペインのお隣、ヨーロッパの西端に位置し、地中海性の気候で過ごしやすい。大航海時代からの歴史ある街並みはおとぎ話から出てきみたいに美しい。食べ物も素朴でおいしそうだ。

バスを待ち、雨に降られ、温かいスープになごみ、土地の人々の笑顔を見た。おいしい食べものを探し、ごつごつした石畳に慣れ、町をすみずみまで歩き、やわらかい言葉の響きを耳に刻みながら、そこに横たわる風土と文化に思いを寄せた。

『ポルトガル、西の果てまで』

こんな風にその土地を知ることができたら素敵だなと思った。いつか家族みんなでポルトガルに行ってみたい。でも私が本当に外国へ行けるのかは甚だ疑問なので、案内役は夫に任せることになるかも…。娘にはどうか夫に似て外国をものともせずに飛び出していって、たくさんの未知なる世界を見てほしい。



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