白湯のある暮らし
一日の仕事を終え、
ビニール傘に雨音を感じながら
家路につく
玄関を開けると
静けさが体を包む
冷たい
誰もいなかった部屋の
空虚さが小さな声で
おかえりと言っているようだ
コンビニで買ってきたスープと
小分けにして冷凍しておいたごはんを
電子レンジで温める
その間にお風呂に湯をためる
一瞬見つめる
蛇口からあふれ出る水量を
チン
テレビをつけるが
BGMのようにしか聞こえない
スプーンを口にはこび
少しずつ体をあたためる
ゆっくりとほどかれるような
心地いい時間
湯船に体を沈め
話し相手のいない食事を思い返す
私の人生は何だったのか
当たり障りのない平凡な日々
正社員として事務の仕事をこなし
またに友達とイタリアンに行く
ワインについては
ちょっとだけ詳しくなったかな
歳を重ねると結婚しろとは
誰も言わなくなった
考えたこともあったけど、
自分だけの時間を選んだ
それに後悔はない
だけど
来週の入院に家族がいないのは
少し心細くはある
お見舞いに来てくれる人はいる
でもなんとなく一人なんだと
感じてしまうのも嘘ではない
強くなりたいわけではない
甘えたいのとは少し違う
同級生よりかは自由なお金はあるけど
それは心のほんの小さな隙間を
埋めることはないんだよね
ふと、
そんなことに思いを巡らしたあと、
湯上りでバスタオルを体に巻いたまま
やかんに火をかけた
毎晩の日課
お気に入りのカラフェに
熱湯を注ぐ
化粧水をつけ
全身にボディオイルをつけ
大好きな香りに包まれながら
髪を乾かす
そうなことを言う歳ではないけど
生まれたての自分に戻る感じ
そう思うことを許して欲しい
ほどよい温度になった白湯
ゆっくり喉を通る感覚
身体に染みわたり、
瑞々しくなっていく
そして
ふんわり柔らかなベッドに
くるまれるように眠りにつく
星が夜空を巡り
風が流れていく
一日がゆっくりと終わり
また新しい日がやってくる
太陽の光で
薄っすらを明るくなる頃
私の頭の中の霧も晴れてくる
カーテンを開け陽射しを受け
カラフェから湯冷ましを注ぐ
透明に澄んだ水
口に含んだ瞬間に広がる
一日分のエネルギーが
そっと優しく染みわたる
これでいいだ
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FREEPARKの商品をモチーフにした
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