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「おねえちゃん」と「光源氏くん」(最終回後の追記あり)
わー、あっという間に今夜で最終回ですよ、「いいね!光源氏くん」!
たくさんのドラマが休止となっている今期、最初から最後まで予定通りに放送できた数少ないドラマのひとつでしたね…。ほんとに、この時期に、テレビの向こうに光くんがいてくれてよかった。ほのぼのしたり、ふふっと笑ったり、せつなくなったり、美しさとかわいさにクラクラしたりできるしあわせを、ありがとうございました。
ドラマのおもしろさはたくさんの人が語ってるので、個人的に
「あああ…わかるぅ〜」
となったところだけ、最終回前に少し書きます。
沙織殿の「おねえちゃん」っぽさについて。
いきなり平安装束の男が窓から現れても、困ってる人を放っておけないからと居候させてしまい、その結果、(大量のお菓子を含めて)食費が二人分になっても特に問題にしてなさそうな沙織殿。
同僚のミスをかばい、上司に叱られる、沙織殿。
会議での発言を重く受け止められる沙織殿。
「先輩がこんなミスをするなんてレア」と言われる沙織殿。
ミスしているのを見かねた上司がなぐさめの飴を差し入れるような沙織殿。
部屋のあちこちに見える装飾品から、海外旅行が趣味だと推測されるし、たぶん彼女はかなり仕事ができる女性で、20代としては多めのお給料をもらってるのではないだろうか。
外から見るとこんなに優秀で働き者な人なのに、ドラマ始まってからずーーっと、コンプレックス満載の発言しか、ないんですよね。
「私なんて」「地味だし」って。
これはもしかして「おねえちゃんあるある」なのかも。
小さい時から「おねえちゃんなんだからしっかりして」「妹の面倒を見てね」と言われてきたおねえちゃんにありがちな、やってもやってもまだダメな気持ちがしてしまう、コンプレックス。困っている人がいたらぼやきながらも反射的に助けざるを得ない、知らず知らずにかけられた「おねえちゃんなんだから」の呪い。
妹の詩織ちゃんと光くんが買ってきて3人で食べたハンバーガーのゴミを、ひとりでまとめて捨ててる沙織殿。誰かのためにお茶を入れてるシーンが多い沙織殿。こういう「誰かが何かしたあとのあとかたづけ、誰かのための一手間」をずっと続けてきたんだろうなあ。妹さんかわいいね、似てないね、も、何度もなんども聞かされてきたんだろうなあ。
私も「おねえちゃん」なので、どうしてもそういうのを見ると「わかる…」ってなっちゃいます。遊んだあとの妹が泊まりに来るところなんて、もー、20代の頃の私の家かよ!と思いました。
一方の妹である詩織ちゃんも、お母さんとおねえちゃんが揉めそうになったら割って入って場を和ませるとか、光くんを連れ出した帰りにハンバーガー買うとか、中将殿の落ち着き先を探すとか、怒りで飛び出した中将殿を追いかけるとか、「誰かと誰かをうまくいかせるための仲介役」をずっとしていて、彼女にも彼女なりの「かわいい妹として、周りのみんなを笑顔にさせなくちゃ」的な役割を負ってきたんだろうなあというのも思います。
おねえちゃんも妹も、与えられた役割を、無意識に演じ続けている。
で、そういう役割をなーんにも気にせずに、あるがままの沙織殿を(花や抹茶パフェを愛するように)「不細工」「いとおかし」と見つめてくれる光くんのことを好きになっちゃうの、やっぱり、わかる。
仕事をばりばりできる社会人ではなく、誰かと比べて地味とかでもなく、おねえちゃんとして妹と比べてどうとかでもなく、ただ目の前の沙織殿を見てくれる人。
走ったこともなく、着替えるのも人にやってもらうのが当たり前のおっとり動かない貴族なのに、沙織殿が車にひかれそうになったら大事な烏帽子をふっとばしながら突き飛ばして助けてくれる人。
好きになるじゃないですかこんなの。あのうるうるなお目目も、ぷっくりほっぺも含めて。
でもねえ。いろんな女性たちを好きになっちゃう光くんだけど、インスタアカウント名は結局「パープルアモーレ」だもんね。一番好きなのは平安時代に残してきた紫の上。いつアモーレなんて言葉を覚えたのかは謎だけど。沙織殿の恋はきっとかなわない。ていうかもう次元も年代もすべて違うから無理なのはわかってるけど、最終回では、せめて彼女に、自分はあるがままでだいじょうぶなんだっていう自信がついてほしい。
おねえちゃんとして求められるような完璧さがなくてもいいし、そのままでとてもすてきだし、仕事だってすごくできてるじゃないの、っていう自信。
光くんと過ごすことで知った、いろんなことを、そのままいかしてほしい。
そしてもうひとつ。結婚のこと。
屋敷に女性たちをまとめて住まわせてる(未来の)光くん。
まだ結婚しないのかと母に言われたり、同僚に誘われて婚活パーティーに行く沙織殿は、平安時代の生きていけるかどうかは男次第な女性たちと、あまり変わってないような気がする…。
これ、考えるとちょっとしんどいですね。
おねえちゃんだからしっかりしなくちゃ、ではなく。
誰かとくらべて先回りして落ち込む、のではなく。
結婚しないとしあわせになれない的なこと、ではなく。
ただ目の前のキラキラを大事にして、生きていけるといいですよね、沙織殿。
さて、最終回待機!
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24日0:00 最終回を見たから追記。完全にネタバレだから、見てから読んでね。
まーじーかー!
そっちかー!
残っちゃったかー!!!
いや、ほんとに、絶対別れて終わると思ってから!
光くんは、なんだかんだいっても、残してきた平安の姫たちを忘れるわけないって思ってたから!
…っていう私が、「おねえちゃんの呪い」にいちばんかかっていたのかもしれない。「間違っちゃいけない、正しくすべき」「地味な人は愛されるわけない」って思いにとらわれて。
それにしても、え、紫の上どうするの、明石の君には会わないの?
ていうか、須磨に行かないで、
「失脚した源氏の君は、そのまま消息を絶ったのです 完」
になっちゃうの、源氏物語ー?
…というあれこれは、もう、どーでもいいや!
「正しくない」なんてものは、ない!
仲直りしようとしたふたりの抹茶ケーキとモンブランのかわいさにきゅんきゅんしたし、涙がどんどんあふれてくる光くんの瞳のうつくしさにめまいがしたし、ふたりが立場も次元も乗り越えて一緒にいたいなら、それでいいよ! しあわせになっちゃえー!
こうなったらふたりのらぶらぶをもっと見たいぞ!
続編、よろしくおねがいしますー!
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