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当て馬たちの逆走〜「恋あた」と「リモラブ」の、彼ら

主人公AがBと恋をする。このままハッピーエンドと思いきや、そこにCが現れて、Aといいかんじに。けれど最終回に「やっぱりBが好きだ!」とAがBのもとへ走る。残されたCは、当て馬。

恋愛ドラマにおいて使われる「当て馬」の意味と言えば、こんな感じでしょうか。
ハラハラドキドキを盛り上げるための、ふられることがあらかじめ決められた人。視聴者はみんな主人公AとBの幸せを願っているから、ふたりの恋の邪魔だと罵倒されることもある。本人には落ち度がないのに、ただ主人公を好きになっちゃっただけなのに、かわいそうな当て馬さん。

しかし。
今期のドラマ、「この恋あたためますか(恋あた)」と「#リモラブ〜普通の恋は邪道(リモラブ)」では、なんか違う。当て馬本人も、見ている私の感覚も。
当て馬たちがいつもどおりのフラレ道をまっすぐ進まず、逆走してる、ような気がする。

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恋あたの当て馬ポジション、新谷まこっちゃん。
魔性のキキちゃんを優しく支える同僚。
キキちゃんが浅羽を好きなのを知ってて、それでも彼女のそばにいる人。
普段、キキちゃんとは楽しい話ばかりで(UNOのシーン最高だった!)笑顔しか見せない彼が、キキちゃんが浅羽を見つめる後ろ姿をまた見つめるその、瞳。
言葉を発しなくても雄弁なそのつらそうな目を見ちゃったら、もう、まこっちゃんの幸せを祈るしかできない。

リモラブの当て馬ポジション、ごもちゃん。
嘘をついて美々先生とつきあってふられて、同僚のあおちゃんと美々先生の幸せを願いつつ、気持ちが時々ダダ漏れてしまう、ごもちゃん。
あおちゃんのことも美々先生のことも好きで、ふたりが幸せになってほしいと思っているのに。大好きなふたりがいちばん好きな人は、ごもちゃんじゃないんだよね…。
いっそあおちゃんとごもちゃんがつきあっちゃえばすべて解決するのではと思うこともあるけど(あのふたりのシーン大好き)、そうもいかず。

私、新谷のこともごもちゃんのことも、ただの当て馬、ふられるための人、物語の盛り立て役と、思えなくなっちゃって。ふたりが魅力的すぎて。
ドラマだから主役と脇役があるけど、リアル世界ではすべての人が主役。そんなふうに、新谷もごもちゃんも、彼らの物語の中では、最高にかっこいい主役なんですよ。彼らがドラマのラストできっぱりと失恋したら、ドラマ上の主役たちがどんなにハッピーエンドにたどりついても、私ぜったい泣いてしまう。

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さて、もうすぐ「恋あた」最終回ですが。
浅羽もキキちゃんも魅力的ではあるのですが、ふたりがくっついて終わりだと、前述のとおり、新谷(と、北川さん)がかわいそすぎるというか、バランスが悪い気がしてならない。キキちゃんはどっちとっても幸せじゃーん?って感じするし。
ということで、「基礎を身につけるために会社のお金でフランスへ製菓のための修行に出る」とかで、「ふたりのどちらとも付き合わない」エンドでどうですかね。どうですかね。

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それにしても、ほんと、恋愛ドラマの当て馬って、自分が同じ立場だったらとか考えちゃうとつらいなー。
そういうの無しで、最終回前にどーんと視聴者の心ゆさぶる展開とかって他にないですかね。たとえばお互いに好きすぎて、優しさのあまり離れるとか…

…あっ

(先週のチェリまほを思い出して傷が開く)

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さとひ(渡辺裕子)
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