わたナギは甘い甘いスイーツ(ただし毒入り)
火曜日の夜10時のTBSドラマ。
先週まで再放送して大好評だった「逃げ恥」をはじめ、「重版出来!」「カルテット」「監獄のお姫さま」「ぎぼむす」「中学聖日記 」「わた定」「G線上のあなたと私」「恋つづ」…私の好きなものがいっぱい。そして、漫画原作のものが多く、なぜか四文字の愛称がつきがち。
という今までの火10の特徴をすべてそなえたドラマ、「私の家政夫ナギサさん」略して「わたナギ」、やっと放送がはじまってうれしい、待ってました!そしてやっぱり、このドラマも好きになりそう!
多部ちゃん演じるメイちゃんが超キュートなんだけど、なんとそれを上回るキュートさを炸裂させてるのが大森南朋さんのナギサさん。
白いエプロン、おっとりとおだやかなほほえみ、ねぼけたメイちゃんに「おかあさん」と手を握られてあたふたするところ、お品書きの美しい文字。
ああ、うっとり。ナギサさん雇いたい。家をかたっぱしから掃除してもらって、おいしいごはんを作ってもらいたい。食事するところを見守ってほしい。でもお高いんでしょうね…。
おじさん家政夫の話と聞いた時は、軽いコメディかなと思ってて、始まってみたらたしかにそうなんだけど、実際は「かる〜く食べられるふわふわの甘いブッセにとろっとしたクリーム、でもそれは毒入り」みたいなドラマでしたね。
母の期待にこたえなくちゃ、と生真面目に仕事をがんばるメイちゃん。どんなにがんばってもお母さんには「メイはやればできる子なんだから」と言われてしまう。
「やればできる子」って「今のあなたは、やってないからできていない」という呪いでもある。これを言われたら「私の努力がたりないのだ、今のままではダメだ」と、どこまでもがんばるしかない、ゴールがない。
このお母さんが、自分の「家事をひきうけてる主婦」という立場を嫌がっているはずなのに、娘には「仕事だけでなく家事もして当たり前」というプレッシャーもかけてるのがほんとにきっつい。誕生日のお祝い電話(出勤前にかけてくるなよー)も、全然お祝いじゃなかった。
こういうの、期待をかけられる長女、あるあるかもしれない。
親だけじゃなく会社の上司にも期待されちゃうメイちゃん、それにこたえるうちにどんどんハードルが高くなっていく。仕事以外にも「30までに結婚しなきゃ」という同僚からのプレッシャーまである。
こんなにがんばってがんばって、でも結果が出なくて。いやーん、もうこんなの無理じゃん…って思ったところに来てくれる、ナギサさん。
他の人たちが「未来への期待」という名の「現在のメイちゃんを否定」をしてるのに、ナギサさんだけは部屋にたくさんある仕事の本とその位置から「毎晩、勉強してるんですね、がんばっていますね」と「現在のメイちゃんを全肯定」してる。
今の自分をみとめてくれる人がいる、ありがたさ。
メイちゃんは家事はできないけど、そういうのは外注すればいい。できないことを悪く考えなくてもいい。できることとやりたいことに集中していい。そして今のままでも、じゅうぶんすばらしい。
私も、できないこといっぱいあるので(メイちゃんの部屋、ほぼうち)すっごく気持ちよくなりました。ナギサさんに、グチャグチャした何かを、かたづけてもらったみたいな気分。毒抜き。
メイちゃんの日々の毒と同じように、家政夫をしてる中年男性のナギサさんにも、きっと消したい毒がたまってるんだろうなあ。ただ仕事をしているだけなのに「おじさんが家政夫?」と言われてしまう日々。彼の毒は、どうやって消すんだろう。
さて、ほんのり甘いけど毒入りのスイーツみたいだった第一話、隣にひっこしてきた瀬戸康史さんが超気になる。ラブか?ラブになるの?
でも「恋をしたからすべてハッピーです」みたいなドラマにはきっとならないだろうな、という予感がする。
来週もたのしみ。