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五感が幸せになる一人宿|hitorigomori旅①
3月。
私は一人で淡路島に来ている。急な連休ができたので、ふと一人旅がしたいと思った。初めての一人旅である。
「こぞら荘」一人専用宿 hitorigomori に行こう。
「こぞら荘」は、淡路島にあるカフェや雑貨屋、宿などの複合施設である。2年前にこぞら荘の「森の宿」に友と宿泊した。そして最近、一人専用宿「hitorigomori」がオープンしたため行ってみたいと思っていた。
15時。早めのチェックインにする。
住所非公開のため、予約時にもらった住所を頼りに行く。なんだか秘密基地を教えてもらったみたい。坂を少し登った先、丘の上に秘密基地があった。
無事に無人チェックインを済ませ、私の部屋へ。
今回は「仄々(ほのぼの)」という部屋。
日当たりがよく景色を遮るものがないお部屋にときめいて選んだ。説明文がとても素敵なので紹介したい。
鶸茶色の壁に包まれた空間は
柔らかくも背筋よく凛と心が座るよう
遮るものなく真っ直ぐと
風景を見渡すことができます。
溢れる思考や感情を棚にしまうように整え
じっくり、あたためなおしてくれるようなお部屋です。
このお宿の大好きなところは、五感がとても幸せになれるところ。
まずは「視覚」。部屋に入ると一番に目に飛び込むのは大きな窓。瀬戸内海と空が一望できる。刻々と変化する空は、絵画の連作のようだ。こんなにずっと空を眺めていたのは初めてなくらい空を見ていた。贅沢な時間だ。
また、部屋の家具や、もの一つ一つが可愛いのだ。木など天然で作られた自然を感じるあったかいものばかり。安心できる空間である。
続いて「嗅覚」。部屋に入ってすぐ穏やかで爽やかな匂いに包まれる。こぞら荘オリジナル「月日香」の匂い。匂いは、思い出を閉じこめることもできるみたいだ。前回、こぞら荘へ友と来た時の思い出がふんわりと蘇った。今回はその思い出を独り占めできると思うと思わずにやけてしまう。
「触覚」。ベットには部屋着が置いてある。この部屋着もこぞら荘オリジナル。絹と麻で作られたため触り心地が優しい。ずっと触っていたくなる。ご褒美のような部屋着で過ごせるのは幸せだ。着いて速攻に着替えた。
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「聴覚」。部屋のどこからか音楽が聞こえる。部屋にはスピーカーがあり、穏やかな音楽が聞こえる。邪魔にならず心地よい。
最後に「味覚」。夜ご飯は近所のスーパーで買い出しに行っておいた。
部屋に置いてあるお皿に移し替えるだけで、とっても素敵な料理になった。お皿は味覚をより素敵に感じさせる要素の一つだと思う。味覚にとって見た目は大切だ。
冷蔵庫にサプライズがあった。林檎の焼きタルトが入っていたのだ。いつ食べようか。シャワーを浴びて夜のおやつにすることにした。
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朝食が大のお気に入りである。特に季節のポタージュだ。玉葱のポタージュだった。淡路島といえばの玉葱である。砂糖などは一切使わず玉葱だけを使ったポタージュとのことだが、これがとっても甘い・・!玉葱ってこんなに甘いんだ。おかわりしたいほど美味しかった。なくならないようにちまちまと食べた。玉葱の季節に行けて本当に良かった。
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5つの素敵な感覚は、普段の生活で感じることができているだろうか。忙しなく過ぎていく日々の中では、あまり感じられていないように思う。
この宿で過ごす中で、五感が、幸せでいっぱいなった。感覚が研ぎ澄まされていくような感じ。
その感覚は、私の大切な思い出となった。ふと思い出してふふふと元気になれそうだ。
続く