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Our planet

僕が見たのは、Our Planetのシーズン1。全部で8エピソードもある大作だが、見始めるとあっという間に終わってしまった。本作品はエピソードごとにシチュエーションを変え、生き物の住む素晴らしい世界を伝えてくれる素晴らしいドキュメンタリーになっている。極点、熱帯雨林、遠洋、砂漠など普段僕たちが行けないような場所から、浅瀬、森林、淡水といった馴染みのある場所まで。これを見終わって一番感じたことは、「なんといっても地球の素晴らしさ。」と言いたいところだけど、それよりも先に「ごめん」と思った。
 現在やっている発信や活動を始めてからまだ1年も経っていない。それまでも地球は好きで、もっと良くしたいと思っていたが、環境負荷レベルで考えると現在とは天と地の差がある。27年間無意識とはいえ、こんなに真剣に生きている尊い命を当たり前のようにたくさん犠牲にし、殺してきたのかと改めて自覚し、申し訳ない気持ちが先に立った。その気持ちは自分自身の行動に対してだけでなく、人類を勝手に代表しているような気持ちでもあった。

 このドキュメンタリーの良いところは単に綺麗な地球を見せるだけじゃないところだと思う。動物の危機とその理由や原因を共に教えてくれる。エピソード2では「Frozen World」というテーマだった。極点の氷の量が明らかに減っているのは多分全員が知っていること。でもその被害を詳しく説明できる人は案外少ない。なんとなく海抜が上昇していることや、ホッキョクグマが露頭に迷っているくらいしか想像つかないと思う。実際はもっと多くの動物が被害に遭っている。例えば、南極オキアミという小さなエビは海氷が溶けると同時に大量に繁殖し、ペンギンやクジラがそれを食しにやってくる。しかし海氷の減少と共に南極オキアミの数はたった50年で半減したそう。春は子育てにとても重要な季節。普段よりも多くの食料が必要になる。オキアミが減少するということは南極付近の動物の子ども達が十分に育たないことを意味する。十分に育たない子ども達を待つのは死だけ。これが生態系が崩れるということ。
また、海氷を休憩所にしていたセイウチたちも拠り所がなく、近くの岩場に密集している。密集からくる苛立ちや戦いを避けるため岩場を登ろうとし、転落死するセイウチが後を絶たないという。

 このような問題はドキュメンタリーを見て貰えばわかるが、なにも極点だけじゃない。全てのエピソードで50年、100年での異常な変化を訴えている。それほど現代の人間の生活は自然環境や動物達の犠牲の上で成り立っており、この状況はもう長くは続かないことを表している。このドキュメンタリーのナレーターも務めるデヴィッドアッテンボローが言い続けているものが、多様性の重要性だ。生物学的にも今後の地球のためにも多様性は必要だという。多様性は食物連鎖の輪を安定させる。もし1種の生物の数が減っても、同じグレードの生物がカバーすることで生態系は保たれる。でもそれは、代わりがいればの話。近年減っているのは大型の海洋生物という。これは人間の乱獲が原因である。大型生物の繁殖は小型のものに比べ決して速くない。その大型生物の減少は生態系にとって危機を意味する。大型生物の絶滅は結果的には生態系全体の絶滅へつながる。人間の食用とされる魚も同時に減っているため、海全体の生物量が今ものすごい速さで減っているのだ。今人は、どんな気持ちで寿司を食べているのだろう。どんな気持ちでツナ缶を開けるのだろう。どんな思いでフカヒレスープを啜るのだろう。それは全て未来の枯渇した海との引き換えの品だということをまだ理解していない人はほとんどだろう。

どれだけの人が今年も同じようにと過ごしているのだろう。どれだけの人が今年も安全に過ごせることを祈っているのだろう。実は私たちは誰1人として毎年を同じように過ごすことができるほど、安全な場所にはいないのだ。
見る前に予想していたタイトルのイメージ「Our Planet(私たちの惑星)」とはかけ離れたものを見終わったにはイメージしていた。これはどこの惑星の話でもなく、今あなたの住んでいる惑星の話なんだよ?という強いメッセージを、あなたも見終わった時に重く受け取るだろう。

Giraffe Community さと
(ドキュメンタリー感想会より)

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