CHASING CORAL
~消えゆく珊瑚礁~
地球温暖化の一番の被害者は誰か、皆さんはご存知だろうか。人間?野生動物?微生物?それとも植物?そのどれでもない、サンゴ礁である。その事実を知っている人はどれだけいるだろうか。
サンゴ礁が脅威的な速さで死滅していることを知っている人は少なくないだろう。気候変動の悪化と共に、大きな被害を受けている。この30年間でなんと世界の5割が死滅した。だがしかし、それによって生態にどのような影響を及ぼすのか、私たちの生活はどう変わっていくのか、考えたことはあるだろうか。恥ずかしながら、わたしは今までなかった。このドキュメンタリーでは、科学的根拠に基づいてそれらを学ぶことができる。
サンゴ礁が死滅する原因は他でもない、水温の上昇だ。2℃水温が上昇すると、サンゴは死んでしまう。「たったの2℃」と思うかもしれない。しかし、人間の体温に置き換えるとどうだろうか。結果は一目瞭然である。
サンゴが死滅する水温の上昇の原因は地球温暖化にあり、その原因を作ったのは無論人間である。誰もがこんな結果を望んだわけではない、しかしこの事実を知っている人はほとんどいない。これこそが一番の問題であると私は思う。
そもそもサンゴとはどういう生き物なのか。
分類としては刺胞動物であり、小さな個体がいくつも集まって群体を成している、イソギンチャクやクラゲの仲間である。内側には植物の性質を、外側には動物の性質を持ち、その互いの存在に依存している。どちらかが機能を果たさなくなれ
ば、生きてはいけない。クマノミとイソギンチャク、コバンザメとサメのような共生関係を、自らの生態で完結しているのだ。それでいてあの幻想的な外見をしているのだから、なんと完成された生物なのだろうかと甚く感動した。
それでは、サンゴ礁の死滅がなぜこれほどまでに危惧されているのか。サンゴはその見た目の美しさに限らず、実に様々な役割を担ってくれてる。時に多くの生き物のすみかであり、時に天然の防波堤であり、また時には水質の浄化作用をもたらしているのだ。サンゴやサンゴ礁が死滅することは、他の生命体が生きられなくなることであり、引いては生態系のバランスが崩れてしまうことになる。それがすなわち何を意味するのかは、言うまでもない。このドキュメンタリーの中で特に印象的だったのは、45年間海に潜っては研究を続けてきた、サンゴの巨匠と呼ばれるベロン博士が放った言葉だった。
「これは我々の使命だ。君も続けるしかない、選択肢はないんだ。そうしないと老いてから後悔する。こう言えたほうがいいだろう。僕は変えようと努力したし、人々に影響も与えた。何があろうとくじけるな。」
環境のことや地球のこと、まとまらない考え、伝えたいこと、変えたい、救いたい気持ち、もうどうにもできないという諦めが根底にあること、そのどれもを肯定してもらえた気持ちになれたし、私はいつだって変えようと努力した人でありた
いと強く思った。
私は全ての人間や生物を愛せるほど出来た人間ではないけれど、その人も誰かにとっては大切な人であり、その生命は何かにとっては欠かせない存在である。私が大切な人を思う気持ちが、その人の大切な人に伝わって、広がって、世界が平和であることを、日々願って止まない。
Giraffe Community Shiori
ドキュメンタリー感想会より
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