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Chasing Coral

題名の通りサンゴ礁を追跡したドキュメンタリー。サンゴの白化現象から、地球温暖化や気候危機などの問題を取り上げていた。

見終わって、まず一つショックだった事がある。それは映っていたサンゴ礁の多くが Coral とは程遠く、白かったこと。白化現象についてのお話と分かっていたのに、映画が進むにほど、以前の鮮やかなサンゴ礁と白くなったサンゴ礁の映像
が交互に流れ、悲しくて心苦しく感じた。

私はサンゴ礁の現状を知っていたつもりで、全く分かっていなかった。情けなくなるほど、問題はとても深刻で急速に進んでいることを認識させてくれた作品だった。

まずサンゴ礁は1体に何百万ものポリプという構造体が集まっている動物であり、その中に微細藻類がいて植物の要素も持ち合わせている生き物らしい。

この作品は、サンゴ礁の存在の大きさについても教えてくれた。それは海中の約25%もの生物と5~10億もの人間がサンゴ礁を食料供給源として頼っていることだ。考えている以上に身近な生き物なのだとハッとした。
また、陸上で暮らす私たちを含む、生物を大波から守る防波堤となることにもとっても驚いた。しかも、人工で作ったものよりも強いという。

この偉大さに驚きながらも、いま行動すること、いま発信していくことの重要性を再認識した。そんな存在を失いかけていることに危機感も同時に感じた。

白化現象の原因は、地球温暖化による海水温の上昇らしい。化石燃料などを使用した際に排出される温室効果ガスを海が吸収しているためだ。
私たちの生活が、エゴが、海の生態系を崩している。ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいになった。この映画中に「1 つの種の絶滅と説明するのは簡単だが、実はそれこそが生態系全ての崩壊のはじまりなのだ。」という言葉があった。全
て繋がっていることは他のドキュメンタリーや本などで学んできたはずなのに、ゾッとした。

「もっと騒ぐべきだった。」や「声をあげても、風で消されてしまう。」と言っていた場面があった。耳が痛くなった。以前は私も知ってしまうことが怖くて、聞き流していたからだ。でも今考えると知らない方が怖かったと感じる。「一人がやったところで。」と落ち込む時間も余裕もないことは明らかだ。少し前にあったように、一つの小さな変化が、大きな変化をもたらす。これは、どちらにでも転がるということでもあると感じた。

要は、どれだけ自分事にできるか。いつもは聞き流していた声をキャッチすることも、このドキュメンタリーを観ることも大切なアクションだ。

さいごに、今の想いを書いて終わろうと思う。
「Chasing Coral」を観終わってしばらくして、前に読んだ本で印象に残った箇所が頭に浮かんだ。それは、「今は失われてしまった草木や野山は、決して取り戻せないわけではないのです。― いまならまだ間に合うのです。たとえ、すべて
は戻ってこないとしても、少なくとも今宵の月、明日の青空だけは、もう失いたくありません。」という文章だ。

きっと全てを取り戻すことはもうできない。それでも明日や少し先の未来は守れる。だから私は、絶望と希望のどちらも持って動いていこうと決意している。
すべては私たちの日常にかかっている。

Giraffe Community くるみ

(ドキュメンタリー感想会より)

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