時系列で見る~韓国での戒厳令とその影響~
非常戒厳令から弾劾まで 韓国が直面した10日間の激動
2024年12月3日、韓国では尹錫悦大統領による突然の「非常戒厳令」発令され、社会全体に大きな衝撃を与えました。結果、翌日には戒厳令の解除、12月14日には尹大統領の弾劾訴追案が賛成多数で可決されました。
この出来事は韓国の民主主義や法治国家としての基盤を見つめ直す重大な出来事といえます。
本記事では、韓国の戒厳令からの約10日間を時系列でわかりやすく振り返ります。
12月3日 突然の戒厳令宣布
2024年12月3日午後10時30分頃、尹錫悦大統領は緊急談話を通じて「非常戒厳令」を宣布。これを受け、以下のような事態が発生しました。
軍が国会議事堂に突入を試み、周辺には戦車を含む軍隊が出動。緊張が一気に高まる。
国会議事堂前には市民が集まり始め、抗議の声を上げたり、人間の鎖で国会への軍の侵入を阻む動きが見られた。
議員らがフェンスを乗り越え、国会に侵入。
SNSでは戒厳令に対する驚きと混乱の声が広がる。
12月4日 戒厳令の解除
混乱が続く中、国会は12月4日午前1時過ぎに「戒厳令解除要求案」を可決。出席した議員190人全員が賛成するという異例の決定でした。
午前4時30分頃、尹大統領が戒厳令の解除を発表。朝には戒厳令が正式に解除された。
12月5日以降の主な出来事
以下、戒厳令宣布後の出来事を時系列で簡単に振り返ります。
12月5日
野党6党が尹大統領に対する弾劾訴追案を国会に提出。
同日、市民団体や全国民主労働組合総連盟(民主労総)は、尹大統領の弾劾を求める動きを強めた。
12月6日
戒厳令の再宣布に関する報道を受け、最大野党「共に民主党」が警戒感を強める。
野党は緊急会議を開催し、事態の把握に努めた。
12月7日
尹大統領が談話を発表し、国民に謝罪するとともに、政局安定の対応を与党に一任すると述べた。この日は、弾劾訴追案の採決が予定されていた。
12月8日
検察が尹大統領を内乱陰謀や職権乱用の疑いで捜査していることを公表。
同時に、前国防相のキム・ヨンヒョン氏を拘束し、事情聴取を行う。また、行政安全相が辞意を表明。
12月14日
国会は、尹大統領の戒厳令宣布を巡る弾劾訴追案を賛成多数で可決。
12月15日
検察が尹大統領に出頭を要請したものの、大統領は応じなかった。同日、検察は軍高官に対する逮捕状を請求し、警察は戒厳令時に約1500人の軍人が動員されたことを明らかにした。
この間、市民の反応には驚きや怒り、さらには不安の声がありました。SNSでは「2024年にこんなことが起こるなんて信じられない」「怖い」という声が多く上がり、保守派の中にも大統領の行動を理解できないという人も。また、ペンライトを持ってデモに参加するアイドルファンの姿も話題になりました。
一方、戒厳令を支持する人の中には「国を守るためには必要な措置」として、理解を示す声もあったようです。
市場の反応
戒厳令の影響は金融市場にも波及しました。一時的にウォン安が進み、1ドル=1440ウォン台を下回りましたが、その後は回復しています。
国際社会の反応
この騒動に対して国際社会では次のような反応がありました。
・スウェーデンのクリステション首相が訪韓の予定を延期
・自民党の菅義偉副総裁の訪韓が中止
・米韓両政府の予定していた核協議グループ(NCG)の会合が延期
罷免の行方 憲法裁判所が握る韓国の未来は?
SNSでは、尹大統領が「過激派YouTuber」の影響を受けているという指摘もあり、これが戒厳令の背景にあるのではという見方もあります。
今後、大統領が罷免されるのかどうかは、最長180日かけて行われる憲法裁判所の判断に委ねられます。