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島マジック

ある島はとても狭く
人口も少ない

会いたい人にはラインがなくても
歩いていれば大抵会えるし

逆も然り

会いたくない人にも姿が見えてしまう


いくら一生の付き合いになるかもと予感させた人でも

顔を見たくないほど喧嘩をし

気まずくなっても会ってしまったし

ほかに行くところもなく
仕方なく仲直りすることもある


素敵に見えるマジックではなく

仕方なく仲良くせざるを得ないマジックが

わたしとあの人を繋いでいた


ひとつ面白かったエピソードが

夜中に酔った勢いで口喧嘩し
二人で逆方向に歩いたつもりが
駐車場へ行くためまた出くわしてしまったことがある

そのときも最悪ながらの
仲直りというか
お互いの理解し難い部分をわかりあうマジックがかかった


いい子でいなくていい楽

あの人と出会う前のわたしは
いつもどこかでいい子でいなくてはいけないと思い振舞っている人間だった

それがいざ元々アブナイ人
悪そうなあの人の前では
自分が思う悪い子でもいいような感覚で
それが自然だった

悪い子でも良くて
いい子でなくてもいいというのが新鮮だった


目を合わせてはいけなかったあの人は

わたしの思う悪い人ならきっとこうでしょ
という期待をことごとく裏切り

楽しい振る舞いばかりしてくれた


外では実際に悪いこともしているけれど

優しい気持ち

悪いこと
は同時に存在することを知り

世の中のなにが悪いことで
なにがいい人なのかをじっと感じ続けた


世間でいう悪いことのうらに
一人の人間がいる


その人の弱さや
生身の人間としての魅力は

外見で判断された世の中では生きづらい


能天気で温厚そうな見た目のわたしとは正反対の世界


大きく揺れ動きながら

自分の守りたい気持ちを知ることになる


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