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大晦日限定の鴨のラーメン

大晦日限定の鴨のラーメン・・・、と表記しましたが、今回紹介するのはそれに先行して限定提供された『年越しらぁ麺♪』の前身、『か・も・ね・ぎ』 和風鴨葱らぁ麺です。

つまり・・・ですね。
本日、『年越しらぁ麺♪』を食べ損じた悔しさを、この作品のレビューにぶつけたいと思うわけです(笑)

では、そんな『か・も・ね・ぎ』を早速紹介します。
超和風なネーミングですが、作られたラーメン屋さんはフレンチ出身というギャップ萌えの特典も付いた特別な一杯でした。

口当たりにしっとりとした鴨ならではの風味を感じ、そこに魚介出汁の個性がふわりと広がります。
麺を持ち上げるたびにふわりと浮き上がるその味わいは、鴨の個性をボディーとしつつも様々な魚介出汁の個性がぱっと華やぐようにも感じられ、このお店ならではの色気の複雑さ、素材の緻密な構成を感じさせます。

全体的なバランスにはなるほどお蕎麦屋さんが得意とする出汁の方向性を覚えさせ、ここに和の風合いを表現しようとする作り手の狙いが見えるように思えますが、一方ではこのお店以外の何ものでもない世界観が鴨の質感や魚介出汁の緻密さに宿っていることが嬉しく感じられます。

後味では鴨の味わいがすっと染み入るように舌を捉え、スープの味わいに重心を築き、その起伏ある鴨の風味が一瞬ジビエを想像させます。

―― そしてこの時に感じられる色気、その欧州めいた表情が、まさにこのお店唯一無二の世界観っっ!!

お蕎麦屋さんなどで使用される鴨が、脂の旨味で甘いコクを表現するのに対し、今回このお店が使用した鴨はフォアグラなどに使用されているものと思われ、赤身の上品さがすっきりと主張され、いわゆる鴨汁のようなべた付きを一切感じさせません。
しかし油脂感を主張しないにも拘らず、そこに溶け込むフォワグラを思わす香味が実にエレガントかつ優しい表情で胸に迫り、この瞬間にこのお店ならではの素材選びの妙を確信するのです。

醤油ダレの味わいは、少し甘めに感じられ、スープの品の良さに淡いふくよかさを誘っていました。
男性的な大人びた味わいに仕立てつつも、けして力を誇示せず、むしろ遠くから優しく見守る温かみに溢れた父性を覚えさせます。

トッピングではネギの味わいが、スープになるほどよく馴染み、ネギの甘味、柔らかさ、キレ、そして香ばしさが、スープの様々な色気を一つ一つ意識させる瞬間を誘います。

そしてハイライトは鴨肉!!!
ほんのりと香ばしさを感じさせながら、風味を幾重にも重ねたキメの細かい味わいを優しくスープに携え、魅力的な鴨の赤身の表情で舌を満面に潤わせます。
これは美しくも贅沢な味わいですね。
明らかにラーメンでありながら、非日常性をも楽しませてくれます。

麺には細麺が使用されていました。
麺のしなやかさによって、スープの味わいが力まずに食べる者の心へとすっと歩み寄ってくるようにも感じられます。
気負いなくスープに馴染みつつ、スープの高尚さ、上品さを支える素晴らしい調和を感じることができる麺ですね。
これだけ上等なスープでありながら、そしてこれだけ芸術性と作家性に満たされたスープでありながら、むしろ癒しを提供してくれるこの作品の性格を、麺がしっかりとサポートしています。

素晴らしい一杯ですね。
こうしたフレンチの風と和の風情、そしてわびさびを同時に感じさせるような、道を究めたかの如き気高い料理が、住宅街の中にある一軒のラーメン屋さんで提供され、同時にその料理を敷居を高く感じさせることなく自然体で楽しめることに、心から感謝したくなります。

鴨、そして日本蕎麦風のバランスのとり方が和の雅やかさを感じさせつつ、その一方では欧州の古典的クラシック音楽にもすっと溶け込んでいきそうな名作です。

最高の美食です!!!!!!!!


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