【着物コラム】現代の着物に足りないもの
こんばんは。
着物コーディネーターさとです。
「着物コーディネーター」を名乗り始めて、もうすぐ1年が経過します。
よく
コーディネーター
=ファッションコーディネーター
と言う意味だと思われているのですが、
今日は私の活動理念のお話をしてみようかなぁと思います。
現代の着物に足りないもの
現代の着物には圧倒的に不足している事があります。
それは「人に合わせる」「個人の事情に合わせる」ということです。
手段を選ぶ。
自分に合った商品を選ぶ。
一般流通しているモノでは当たり前の事が、
現代の着物にはありません。
・消費者層が狭いので、価格帯的にもデザイン的にも商品幅がない
・着付け(着るための手段)を教える場も科目も、選択肢が少ない
などなど。
着物は本来とても自由度が高いです。
限界はありますが、サイズは洋服とは違いそこまでシビアでもないです。
「着付け」という工程でデザインが完成するだけなので、
着付け教室のプロコース等を修了せずとも着ることができます。
でも、カジュアルなレッスンだけ選んで受ける土壌が少ない。
選ぶだけの商品幅がない(あっても数が少ない)ので
「その場にあるもの」の中からモノを選ぶ以外に手段がありません。
「手段が選べない」
「商品が選べない」
のは
「人に合わせる」という事が不足しているからです。
「人に合わせる」とはどういうことか
人=着物を着る側の人に着物を合わせる、
という思考があれば
現代の着物にありがちな
「ちょうどいい」が存在しない
という事態が起こらないはずです。
安価な洋服が溢れ、
式典に対しても「必須」という意識が薄れている現代で、
着物に対して「着る・着たい側の人間」が歩み寄らないと手が届かない現状は、確実に着物を着る人を減らしています。
・自分に丁度良いものを選ぶ
・手段を選ぶ
・着付けという行為自体や着物を着る事そのものを目的にしない
・目的のための服として着物を選ぶ
私の目指す「人に合わせる」は、
こういったことをクリアすることです。
「コーディネーター」と名乗る理由はここにあります。
人に合わせた結果どうなるか
私は着物を「人に合わせる」という考えにたどり着くまでに、
「着物が好き」と言ってくれる海外出身の友人にとても影響を受けました。
アジア圏出身の友人もいれば、
ヨーロッパ出身の友人もいます。
「人に合わせる」という事は、
彼女たちのように
「日本国内で生まれたわけじゃないけど、
ファッションとして着物を愛している」人たちにも
着物が届きやすくなる
という事でもあると思うんです。
届きやすくなる、販売しやすくなるという事は確実に着物の生産を支えます。
現状、着物はファッションとしてはほとんど浸透していません。
しかしこの現状を
「人に合わせる」ことで変えていけるのではないか、と私は考えています。
長くなりましたが、私の理念の話はこれで終わりです。
当たり前のようで着物の世界では当たり前ではない事ですが、
いつかこれが当たり前になるように頑張りたいと思います。