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【ゆかし着物】夏の着物の「季節感」の正体


こんにちは、着物コーディネーターさとです。

全然梅雨が終わらない!
と思っていたら突然夏が本気を出してきたので、
気温差で体調を崩される方も多いだろうな、
と思う今日この頃です。

今年は外出もままならないので、
ステキな服たちの出番も少なめですよね。
でも「キラキラなステイホーム」も
やりすぎると疲れちゃうので、無理せず生きていきます。
皆様もどうぞご自愛下さい。
夏、生き抜きましょう!


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さて、8月になりました。
着物の世界では「薄物」と呼ばれる生地の着物の出番です。
着物(浴衣)って長袖長ズボンと同じくらいの肌面積なので、
「夏の着物とは…?」と思う方も…
というか、ご存じない方もきっと多いですよね。
着物のコーディネートは季節感が重要!
と、着物の世界ではよく言われます。
でもこれ、普段の生活で着物をお召しにならない方は
きっと「なにそれ?季節感??」って感じだと思うんですよね。

現代では、成人式や結婚式に貸衣装で着物を着るだけの方が多いです。
私の所感ですが、
貸衣装屋さんって、季節が限定される着物はあまり扱わないお店が多いと思います。
結婚式は季節問わず執り行われるし、シンプルに面倒が増えますから。
観光地のレンタル着物も「着て遊ぶ」という体験が主題です。
だから、大体そこまで季節感がない色柄だと思います。

量産品の浴衣も、
椿や桜など、明らかに夏の花じゃない花柄も案外多いです。
浴衣の需要って大体は
「夏のイベントがあるから着たい!」なので、
夏の色柄にする事は、あまり重視されていないのかもしれませんね。

では、色柄以外の季節感の表現ってあるのでしょうか?
今日は、私が思う「夏の着物の季節感」の事を書こうと思います。


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着物の「見た目の涼しさ」とは何か


夏の着物のコーディネートの「定石」は、
・スッケスケの夏素材の布地の着物と帯を使う
・透けるから&汗対策でインナーが必要になる
・半襟や帯揚げ・帯締めも、着物に準じて夏素材の物を選ぶ
だと私は認識しています。

つまり、素材の質感で涼しさを表現しているという事なのですが、
着物って、服として肌面積が少ないです。
肌の露出が多い服=涼しい
というのが現代の普通の人の感覚だと思います。
なので、うわぁ暑そうと感じる人が大半なのではないでしょうか…笑

体感としても、肌が全部覆われているにしては涼しいものの、
決して「めっちゃ涼しい!」とは言いがたいです。
(あくまで私の感覚です。笑)

つまり、着物の季節感ってすごく内向的な表現です。
ちょっと表現が悪いけど、自己満足の世界だと思うんですよね。

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体感温度の表現のコード


さっきご説明した質感での表現についても、
透ける=薄い=涼しそう
という理由で「夏の表現」として採用されていると思うのですが、
このロジック、ちょっと回りくどいですよね。
共通認識としてこれを押し通すのって、ちょっと無理がある気もします。
肌が覆われている=暑そう
肌面積が多い=涼しそう

こっちの方が直接的、かつ伝わり易い表現です。

が!
着物の表現のコードって、全てがちょっと回りくどいんですよね。笑
(それが楽しくて着物が好き、という方も多いと思います。)
見た瞬間涼しい!と思うのではなく、
ちょっとゆっくり見た後で「涼しそうだなぁ…」と思う、みたいな。
(言語表現が大変難しいです。笑)

この「回りくどさ」が、
現代人の感覚とはちょっと相容れない部分なんだと思います。
平たく言えば、着物のコーディネートで是とされている表現のコードって、
回りくどくて伝わりにくい=分からない人は排除
になっちゃってるんですよね。


色彩表現


あくまで私の個人的な感覚なのですが、
女性は比較的色柄で物を見ている人が多いと思います。
質感は度外視で、色柄で選ぶ人が多いんですよね。
この柄!とか、この色!とか。
なので、色彩表現についてもちょっと触れたいと思います。

あくまで私が実践していることになるのですが、
まず「たくさんの色を使わない」です。

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(Photo nobora)

アンティークの夏着物です。
ちょっと透け感のある「絽」の着物だけど、
わかんないですよね。

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(Photo nobora)

雪花絞りの浴衣です。
背景のパワーが大分効いてますが、ちゃんと涼しそうに見えませんか?笑

どちらも青をメインにコーディネートしています。
あんまり色数を増やしません。


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この着物もアンティークの夏着物なのですが、
色数を増やしません。

もうこの辺になると完全に個人の好みだと思うのですが、
たくさんの色を使ったものって、
「カラフルだなぁ」とか「にぎやかだなぁ」とかは思うけど、
私は「涼しそうだなぁ」とは思わないんですよね。



何を見たら「夏」や「涼しさ」を感じるか

みなさんは、何を見たら夏を感じますか?
朝顔や向日葵などの夏の花でしょうか?
風鈴や花火などの夏の風物詩でしょうか?
それともガラスや氷などの物質的な物でしょうか?

私の答えを書きましたけど、これって各個人で違いますよね。
着物の表現も各個人で答えが違うと思います。
涼しそうな色合わせでコーディネートするのも、
定石を守って質感でコーディネートするのも、
夏のモチーフの着物や浴衣を選ぶのも、
極端に言えば個人の自由です。

最近では「着物警察」などと揶揄される事が多いけど、
ちょっと前までは、着物を着ていると知らない人からもファッションチェックされる機会が何故か多くて、
是非を気にする人も多かったんですが、そんなの個人の自由なんですよね。

自分が思うものを着るのも、他人に見られていい感じの物を着るのも、
全部個人の自由です。
TPOが~とか伝統が~とかもそのへんに包容されていますし、
季節感の表現も同じだと私は思います。


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