【ゆかし着物】夏着物と浴衣って何が違うの?
こんにちは、着物コーディネーターさとです。
さて、本格的にジットリ暑くなってまいりました。
着物の世界のルールだと、6月は「単衣」という裏地のない着物を着用する季節です。
しかし、私個人の感想ですが、
最高気温が30度を上回る日は単衣の着物を着用して歩き、電車移動をしたりすると「あっちいな」と思います。
今日はそんな「暑い時期」の着物の話をしたいと思います。
先日、カメラマンの伴貞良さんにポートレートを撮っていただいたんですが、
この日も気温は30℃超えくらいでした。
夏の素材、絽の着物を着用しています。正直暑かったです。笑
浴衣と夏着物の違い
よく混乱されている方もお見かけするのですが、
「浴衣」と「着物」って全然別の種類のモノな訳ではなく、
浴衣は着物の種類のうちのひとつなんですね。
よく「洋服に例えるとTシャツ」という説明を見かけます。
一方、じゃあ「夏着物」は何なのかと言うと、
夏着物は簡単に説明すると「夏向けの生地でできた着物」です。
これも夏の生地、「絽」の着物なんですが、スッカスカですよね。
夏の生地には「絽」や「紗」や「羅」なんかもあるのですが、
これらがさしているのは「生地の織り方」で、
上の布地を正確に説明しようと思うと、「正絹の絽」って事になります。
夏向けの素材だと、麻なんかもあるので、
素材と織り方のパラメータが分かりにくいですよね。
ちなみに、最近は速乾性のあるハイテクなポリエステルの夏着物もあります。(セオαなど)
さて、さきほどの写真のようなスッカスカの夏着物を着用すると、
もちろん透けますよね。
なので、夏着物はインナーを着用します。もちろん襦袢も着用します。
「暑くないの?」とよく質問されるのですが、
結局汗をかく→乾くという工程がないと人間の体温は下がらないので、
着用したものの吸水性と速乾性が肝ですね。
多分、夏着物を着たことがない人が想像するより暑くないと思いますよ。
さて、一方、
浴衣は「一枚で着用する」のが前提なので、ほとんどが綿で作られていると思います。
最近ではポリエステルの浴衣もあるようですが、
汗を吸わないので私はあまり着心地が好きじゃないですね…
でもポリエステルは発色がいいし扱いやすいです。
何にでも良い点・悪い点がありますよね。
(以前書いた記事のリンクも貼りますので、興味がある方は是非ご覧下さい。)
合わせる小物や帯について
「夏着物に半幅帯は合わせちゃダメなのかな?」とか、
「浴衣に名古屋帯は合わせちゃダメなのかな?」とか、
私自身、夏着物を揃え始めた頃にすごく悩みました。
でも、結論から言えば「時と場合によるし、好きにしてOK」だと思います。
もう少し丁寧に説明しますね。
去年の夏に撮っていただいた写真。カメラマンはnoboraさん。
ちょっと見づらくて申し訳ないのですが、この時は、本来は不必要な帯締めや帯留めをしています。
半幅帯はリボンみたいな感じなので、結ぶだけで完結できます。
だから、こういった小物は必須ではないです。
一方、名古屋帯(よく見かける四角い帯結びの帯です)の時は、
帯の形づくりに必要になります。
でも、別に必要ない物をあえて付けるのって、よくありますよね?
日常生活で付けるピアスや指輪もそうだし、
夏の時期に百貨店に行くとよくある浴衣コーナーにも、
こういうアクセサリーが結構売っています。
よく浴衣に合わせる半幅帯は、
「めっちゃカジュアル」と捉えてOKだと思います。
現代の半幅帯はポリエステルが主流なのだと思いますが、
中古品だとウールなどの暑い素材の半幅帯もあるので、中古品にはちょっと注意が必要だけど、
カジュアルな服装でOKな場所なら、着物にも合わせられますよ。
一方、名古屋帯は、半幅帯と比較すると「きちんとしている」というニュアンスの帯です。
冒頭で浴衣はTシャツ、と説明しましたが、
洋服で例えると「Tシャツにジャケットを着ている」みたいな感じになるのかな?と思います。
でも、こういうコーディネートって着る人や合わせ方次第ですよね。
「浴衣だから」「着物だから」
と考えるのではなく、
「何を合わせたらどうなるのか?」
って考えると、スムーズにコーディネートできると思います。
少し前に中国のSNS、Weiboに掲載した写真です。
左の写真、おはしょりがシワッシワですね…すみません…
ちなみに中国のSNSでは「暑い??」ってたくさん聞かれます。
「30℃超えたらTシャツでも暑い。どのみち暑いから和服を着ます」
と毎回返答しています。勿論暑いです。笑