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【ゆかしきもの】着物ってお洗濯どうするの?
こんにちは。着物コーディネーターさとです。
昨年書いた浴衣の自宅洗いの記事が、今年になってからアクセス数が増えております。
お読みくださった皆様、ありがとうございます!
浴衣の記事を書いたところ、
「着物のクリーニングはどうしたらいいの?」とご質問を頂きました。
私も着物を着用するようになってからすごーく悩んだポイントです。
今日は着物のクリーニングについて、私の視線で少し掘り下げてみようと思います。
着物は着るたびに洗濯しない
以前noteでも記事を書いたのですが
(当該の記事は私が間違えて削除してしまいました…汗)
絹の着物は基本的に、着るたびに洗濯をしません。
絹には「静菌作用※」と呼ばれる、雑菌が増殖しない特性があります。
※造語です。詳細は東京農業大学Webにどうぞ
これは絹の製造工程や素材特性に由来する作用なのですが、
基本的に汗やタンパク質などは付着しても雑菌が増えない
(殺菌作用とは違うのであくまで増えないだけです)ので、
綿やポリエステルのような洗濯の頻度は絹には不必要です。
ゆえに着物は、洗濯頻度が低くても不衛生ではないという観点で
「洗濯をあまりしない」とされています。
つまり、ポリエステルや綿などの着物は、
言い換えると「洗濯頻度が高くないと雑菌が増えてしまう」という事になりますね。
昔と今の「着物のお洗濯事情」の違い
昔は「洗い張り」という技法で着物のクリーニングをするのが一般的だったようです。
洗い張りは着物を解いて布の状態に戻し、「伸子張り」「湯のし」で反物の幅を整えます。
昔は自宅で洗い張りをしているのが普通だったようで、
私の祖母は洗い張りに使用する板を持っていました。
自宅で着物を仕立てるのも当たり前だった時代ですから、必要だったんでしょうね。
洗い張りは解き代、仕立て代がかかるのでコストが高めです。
一方、現代では洗濯の技術が進んでいるので丸洗いも可能になりました。
どんなクリーニング方法があるのか
では、具体的にクリーニングってどんなメニューがあるのでしょうか?
よく見かけるメニューをザックリまとめてみました。
①丸洗い
ドライクリーニング。
長期保管していた未着用の着物や、埃っぽさを改善したい着物向きです。
②シミ抜き
汗染み・食べこぼし等の染み部分のクリーニング。
血液やインク汚れは別料金が発生する事もあります。
事前に見積もり対応してくれるお店が多いです。
③洗い張り
内容が重複しますが、
着物を一度布の状態に戻して、クリーニング後に仕立て直します。
スジ(仕立ての際につける折り目)が消えるので、仕立て替えの際によくやったそうです。
④汗抜き(部分水洗い)
汗は付いたまま放置すると生地の変色の原因になるのですが、
ドライクリーニングのみだと汗は十分には落ちないので、
汗が付着しやすいワキや背中などを水洗いします。
⑤生洗い
専門店じゃないとやってないケースが多いのですが、
金箔・銀箔や金糸・銀糸が使われていたり、刺繍が入っている着物向けのメニューです。
また、専門店だと、
生地が弱っている部分の「柄足し」「色かけ」などの対応をしてくれるお店もあります。
最近はネット検索でも専門店がたくさんヒットするようになりました。
興味のある方は調べてみて下さいね。
どんな仕上がりにしたいのか先に決める
ザックリとメニューを書き出してみたのですが、
これを自分で指定するのって、最初はなかなかハードルが高いと思います。
ここでパラメーターになるのは
・予算
・仕上がりをどんな状態にしたいか
だと思います。
シミ抜きに出した着物でも、
生地の状態によっては完全にキレイにならないかもしれません。
「薄くなるだけでもいい」のか、
「生地が傷むリスクがあるならシミ抜きしない」のか、等
どんな状態にしたいのかを決めてからクリーニング屋さんに見積もりをお願いするとスムーズです。
技術面からのアドバイスや提案も受けられますし、
予算を伝えておけば予算内で対応もして頂けると思います。
※アンティーク着物は生地の弱さからお断りされる事も多いです。
予め古い着物であることを伝えておくとトラブル回避になります。
お店選びの注意と失敗談
では、私の個人的な着物クリーニングの失敗談も書いておきますね。笑
①呉服チェーン店にクリーニングに出した銘仙が、
破れた状態でシレっと返却される。
店舗で着物を確認して気づいたのですが、
営業担当者不在でどこの時点で破れたかも「不明」と言われ、
コーディネーターの年配女性に「銘仙はねぇ、生地が弱いから」と連発されました。正直、今も根に持っています。爆
②クリーニング店にリサイクルの留袖を出したら、
箔が全て落ちて返却される。
これも普通に持ち帰ってしまい、後で気が付きました。笑
着物友達に聞いてみたら、これもあるあるだったようです。
一口に「クリーニング」と言っても、
どんな着物をどんな状態にしたいのか、事情は様々だと思います。
目的と手段を考慮しながら、ベストな方法を選択していただければと思います。(洗濯だけに!)