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【着物コラム】Instagram経由で呉服屋さんから受けた営業がヒドかった話


こんにちは。着物コーディネーターさとです。
今日はタイトルの通り、
直近で経験した中でも中々レアケースで貴重な
呉服屋さんからのセールスのお話をしたいと思います。
(怒ってません)

先日、携帯に見知らぬ番号からの着信がありました。
東北のとある県からの着信だったのですが、
身に覚えが無いのでスルーしていました。

数時間後、仕事で使用しているEメールアドレスに
1通のメールが届きました。

概要をザックリ説明すると、

●●県××市の呉服店○○と申します。
さと様のInstagramを拝見し、さと様なら間違いないと思いご連絡しました。
私共の店に史上初となる○○賞を連続受賞した××先生の着物が入荷しました。
この着物を存分にお召しになれるのはあなた様しかいない、
絶対にお気に召していただける自信があります。
ご返信お待ちしています。

以上!

色々突っ込みたいところがたくさんあったのですが、
まず私は何をしたらいいのか不明でした・・・
返信って?何を?このメール、最後まで要件が出てこないですよね。

・メールの要件が分かりません
・展示会などの営業のメールですか?東京在住なのでムリです。
・ちなみに、私はインフルエンサーではないのでPRもできません。
という内容で返信しました。

するとまた数時間後に返信がありました。

・単刀直入にさと様にご購入いただきたいです
・さと様がこの着物をお召しになるのに相応しいと確信しています
・大変失礼な事と重々承知しておりますが、どうしても見ていただきたくご連絡致しました
・もちろんこちらが東京に伺います
という内容でした。

時代に取り残された呉服店にSNSを与えるとこうなる

私は正直こういう呉服屋さんの対応には慣れっこです。
(嫌な話ですけどね・・・)

10年前は店舗に足を運んだ顧客のリストから営業電話、でした。
(店舗の電話番号で電話に出ないと携帯からかけてきたります)

使用するツールがSNSになっても、
結局セールスする対象を見つけて同じように営業活動をする訳ですね。
つまり、
SNSを広い対象に商品をPRする場として使用せずに、
顧客リストの代わりに使用している。
それって、SNSの利点を何も理解できていないじゃないですか・・・
使う人間側がアップデートされていない証拠ですよね。

買い手が売り手を選ぶという事の理解不足


最初にメールを見たときに無視を決め込むか悩んだのですが、笑
私はこの方の発言内容の一部がとても気になって、
少し突っ込んでみようと思ったのが返信をしたきっかけです。

この方が繰り返していた
「あなたはこの着物を着るのに相応しい人間である」
というワードです。

SNSしか見ていないのに人間としての評価を下せるなんて、
めちゃくちゃに自分の立ち位置が高いですよね。
なぜそんなに自分の立ち位置を高く見積もれるのでしょう?
これって、
自分たちの市場を「売り手市場」だと見誤っているからなんですよね。

本来選ばれるべきであるのは買い手ではなく売り手です。
売り手から「あなたしかいない!」とご指名されたところで、
私が財布を開かなければ意味が無いですから。

「価値がどこにあるのか」という認識の齟齬

結局、
私は潜在顧客を「相応しい」と評価を下すお店では物を購入したくないので、遠慮致します。
と返信しました。

「○○賞を連続受賞した××先生の素晴らしい着物」
とその方はおっしゃっていたのですが、
その他に商品の話は一切出ず、
見てください!と押し切ろうとしていたのも印象的でした。

○○賞を受賞するのは狭き門なのかもしれません。
××先生の作品は技術的にも素晴らしいのかもしれません。

でも、その着物を私が着たいと思うかどうかは別ですよね。
それは私でない他の誰かが「すごい物」とお墨付きを出しただけの話ですから。

その方にとってのその商品の価値は
「○○賞を連続受賞した××先生の素晴らしい着物」
であって、
「こんなにステキなんですよ」ではなかったんです。

自分の販売している商品が愛せないなんて、少し同情します。
どんなに素晴らしい商品でも、
こんな営業ではきっとセールスも伸びないでしょう。


最後に

以前、一生付き合える呉服屋さんの選び方という記事を書きました。

「押し付けをしてくる呉服屋さん」の特徴として
最初から最後まで自分の売りたい商品の面倒しか見ない
という点を挙げました。

上記のメールの方は
最後まで「見てください!」の一点張りでしたが、
きっと私が「こんな商品が欲しい」と言っても、
自分の売りたい着物の話しかしなかっただろうな、と思います。

私は決して呉服店を批判したいわけではありません。
上記のコラムに書いたように、
真面目にまともに営業されている呉服店もちゃんとあります。

この記事を読む方にお伝えしたいのは、
・営業方法がマトモかどうか
・商品のPRができているかどうか

で大体どんなお店なのかジャッジができる
ということ。

着物を愛する全ての人が
変な呉服屋さんで嫌な思いをしないことを切に願っています。