【着物コラム】ポリエステルが夏着物の素材に向かない理由
こんばんは。着物コーディネーターさとです。
じわじわ湿度も気温も上がってきました・・・
着物はお腹の周りに帯があるので、何をどうしたって暑い!笑
まぁ、いいんです。
私は着物に快適さはあまり求めていません。
快適な服を選びたい方にはTシャツがオススメです。笑
とは言え、
真夏に頑張って着物を貫こうとすると、
下手したら熱中症などで体調を崩してしまいます。
「なるべく快適に過ごすためにどうしたらいいですか?」
とよく質問されるのですが、
私個人からアドバイスするのであれば
「夏にポリエステルはオススメではありません」です。
夏の着物・浴衣は吸水性と速乾性がキーポイントです。
今日はその理由を解説してみようと思います。
①発汗→体温が下がる、のメカニズム
前置きで「吸水性」と書きましたが、
その理由はもちろん夏場にかく大量の汗です。
人間は体温調節のために汗をかきますよね。
一応解説すると、
汗の水分が皮膚の上で蒸発
→熱が奪われる(気化熱)
→体温を36.5℃前後に保たれる
汗は皮膚の「打ち水」的な役割を果たしている訳ですね。
つまり、皮膚の周りにある布地は
吸水→発散させる
という機能に優れている衣服ほど、
夏場は快適に過ごせるということです。
②ポリエステルの性質
では、ポリエステルはなぜ夏向きではないのでしょうか。
ポリエステルはよくPETと表記されます。
衣料品の多くがポリエチレンテレフタラートという、
PET繊維で製造されているそうです。
PETには繊維自体に、
吸湿、吸水、吸汗性能という性質がありません。
公定水分率(20℃、相対湿度65%の環境で繊維が有する水分率)も、
1%未満。とても低いです。
余談ですが、
この「公定水分率」という指標、
吸水性に優れた繊維を示す指標としてみるのにとても便利です。絹は10%前後だったと思います。(記憶がおぼろげですが)
ご興味のある方は調べてみてください。
ちなみに
吸水性に優れているとは言えないポリエステルですが、
衣類に加工した場合、
繊維の製造方法によって、吸水・乾燥させるという機能を持たせているため、速乾性能がうたわれているケースが多いようです。
紛らわしいよ!!
夏は絶対無理をしないこと
今回は「オススメしない理由」という
ちょっとネガティブな切り口で解説してしまいましたが、
着物は洋服より断然肌の露出がすくなく、
吸水性・速乾性がモロに過ごしやすさに反映される衣服です。
体感温度はもしかしたら変わりないかもしれませんが、
健康を守る意味でも「素材」に目を向けていただけると、
より過ごしやすいかな?と思います。
良かったら参考にしてみてください♪