【着物コラム】大正ロマンと民族衣装について思ったこと
こんにちは、着物コーディネーターさとです。
こちらでも度々お話しているのですが、
昨年の冬から中国のSNS、Weiboを始めました。
Weiboのフォロワーさんのご協力で動画サイトのbilibiliを始めて、
最近とても中国の方々との関係が深まっているのを肌で感じます。
明後日からは上海に飛びます。
そのお話はまた別の機会があったらさせて頂こうと思います。
大正ロマンというパワーワード
Weiboでも、台湾の方からもたまにリアクションがあるのですが、
私のWeiboフォロワーさんは「大正ロマン」がお好きな方が多いです。
どうやら漢服(=漢民族の伝統衣装)が好きな層と、
チーパオ(=チャイナドレス、満州民族の伝統衣装がアレンジされたもの)が好きな層とで、
少しリアクションが違うことに気がつきました。
どちらも和洋折衷が好きな事には変わりないのですが、
チーパオが好きな層はどちらかというと「共感」に近い形の好感、
漢服が好きな層は「憧れ」「新鮮さ」という感じの好感。
冷静になってみれば、明治~大正時代は清王朝だったので、
当たり前と言えば当たり前なのかもしれません。
民族衣装とナショナリズム
こんな事がありました。
私の着物が好きな友人(ヨーロッパ出身)に
「白色人種は着物を着てはいけない」とSNSに白色人種からコメントが付いた。
また、別の着物が好きな友人(アジア人、独身)には
「あなたは旦那さんが日本人なの?」と、これもSNSにコメントが付いた。
ネットだから余計に多いのかもしれません。
この人達が言わんとしていることも理解はできます。
民族衣装=特定の民族のための衣装
欧米は尊厳の問題にも日本よりずっと敏感でしょう。
もしかしたら当たり前の感覚であるのかもしれませんね。
漢服が好きな友人に聞いてみたことがあります。
「やっぱり漢服が好きな子達はチーパオは着ないの?」
答えはやはり「別の民族の民族衣装だから着ない」でした。
外部から流入した文化の受け止め方も国や民族によって多種多様です。
私の個人的な感覚ですが、
日本人は外国人が着物を着用するのに関して寛容というか、
むしろ歓迎ムードの人も多いように思えます。
日本の、こういう部分で大らかなところは良いところだよなぁと実感する出来事でした。
(いちいち「ここが違う!」って文句言う人もたくさんいますけどね。)
「大正ロマン」というあの曖昧な感じも、
多分日本人の、よく言えば大らかな性格が背景としてあったのかな、
と、最近の出来事を通して感じました。
私は着物は日本人だけのものではないと考えています。
日本国内の需要だけでは衰退する一方なので、
ガラパゴス視点ではない外部展開は、今後もっと必要になると思います。
また、歴史的な背景から伝統衣装が途絶えてしまった中国で起こっている、
漢服復興の動きにも大変興味がありますし、
「日本人はどうやって着物を現代まで受け継いだのか」
という興味の対象として試されていると感じることも多いです。
上海では現地の方々と交流しつつ、
「着物の再定義」というひとつの目標に対して、
中国のナショナリズムという観点からヒントを得られたら良いな、と思っています。
実は旅の支度が終わっていないのです!
詐欺やスリにあわないように気をつけて行って来ようと思います。笑