【着物コラム】和服を着るなら綺麗に着なきゃ?
こんにちは、着物コーディネーターさとです。
暑さのピークよりもちょっと湿度やら気温やら、落ち着いたような気もしますが、
まだまだ暑いですね。
こんな日は着物や浴衣を着る気になれないのですが、
日が傾いてから友人のナナちゃん(中国出身で漢服がお好き)と、
中国茶カフェ甘露に行って来ました。
すごく個人的な気持ちなんですけど、
なんで中国の女の子ってこんなに顔が小さいの!!!??
全力で輪郭を隠しました。笑
甘露の夏のメニュー冰粉(ビンフェン)、おいしかったです。
通販も力を入れてらっしゃるので、最新情報が気になる方はTwitterもご覧下さい。
好きなカフェなので勝手に宣伝します。笑
さて、この日にナナちゃんとの待ち合わせに向かう前に、
ご近所のお姉様にめっちゃ褒めていただいたんですね。
「あなた着慣れてるわね~」って。
最近、慣れていると言われるのがとても嬉しく感じるようになりました。笑
着物を好きになり始めた頃はとにかく着付けに苦労していて、
「綺麗に着なきゃ!」という気持ちがとっても強かったんですよね。
今日はそんな頃を振り返りなら
「綺麗に着る」という事について書いてみようと思います。
「綺麗に着る」ってどういうこと?
多分私が着付けの先生なら、
ここで「綺麗な着付けとは!」と定義を説明すると思うのですが、
私は着付けの先生ではなくコーディネーターと名乗っておりますので、
あえて「綺麗に着るってどういう事だと思いますか?」と、
読んで下さっている皆様に投げかけたいと思います。
どういう事だと思いますか?
着物って、
着ていると「せっかく着てるんだから綺麗に着なさい」
等と人に言われる機会も多いですし、
多分、
「着物や浴衣が綺麗だから着たい!」
って思う人も多いと思うんですよね。
個人的には「せっかく着ているんだから」の人達の話は
あんまり聞かなくて良いと思いますが、笑
親御さんのご意向だったりする場合もありますからね。
それも含めて、着る人およびその周囲の人=当事者が決める事だと思っています。
私は「綺麗の感性は人それぞれ」だという事も
忘れちゃダメな事だと思っているんですが、
自分の着ているものが綺麗かどうか、って
本来すごく内向きな感性・感情だと思うんです。
しかし、それを着て外界に出るわけで、
それって他人に見られるわけですから、
「自分の思う綺麗な着物」を外部に表現する事になっているんですよね。
ここで「自分の思う綺麗な物を着る事」と、
「他人に綺麗だと評価される事」が混ざっちゃうんだと思うんです。
以前にも似たようなテーマの記事を書いたのですが、
結局この記事でも似たような事を言っています。
結局、「他人から見た時にどう見えるか」の部分って
「各個人の責任」の範囲であって、義務とかじゃないんですよね。
勿論、公共性や社会性を欠く行動は慎まなきゃいけないのが常識ですが。
私の個人的な意見ですけど、趣味の範疇の着物は
「自分が満足する着付けやコーディネートができた」なら、ひとまず大成功だと思うんですよね。
他人から見て綺麗かどうかって、その次以降の段階です。
でも、現状の着付けのカリキュラムって
「他人から見たときに変に思われないように」とか、
「人前で恥をかかない」という価値観がベースになっています。
それは着物が礼装や制服に特化していて、着付けのルールもそれに準じているからなんですよね。
普段着や趣味の服にまでそのルールを適用するのって、ちょっと無理があるというか横暴だと思います。笑
むしろ、綺麗に着る必要性があるのか?の段階から自分で選択するのが本来のファッションの在り方だと思うんです。
勿論、普通に生活していたら色々な場面があって、
「今日は上品に品性正しく装いたい!」という日も、
「今日はカジュアルでラクな装いがしたい!」という日もありますよね。
現代の着物は礼装に特化しているので、
どうしてもマナー教室みたいになっちゃいがちです。
(だから衰退するんですけどね…)
でも、デニムやTシャツみたいに着られる着物も一応まだ存在していて、
そういう着物でまで「品性正しい装い」をするのって、なんか変だと思うんですよ。
もしもタイムマシンがあって、
綺麗に着なきゃ!と気負っている過去の自分に会えるなら、
「え、今日の着物、ポリエステルでしょ?別にそんなに頑張らなくても平気じゃない?」
って言いたいです。笑
誤解のないように最後に書きますが、
私の場合、「綺麗に着たい」という気持ちが、
着付けを覚えるモチベーションになったのも事実なんです。
でも、綺麗に着る意外に選択肢がないって思い込んでしまっている人も、
結構多いと思うんです。
「着付けが下手だから外出はまだちょっと…」
って言う人に複数出会った私としては、
「別にいいじゃん!普段着でしょ!」って言いたいです。
だって別にいいじゃないですか。
綺麗に着るかどうかも含めて、個人の自由ですからね。
もちろん、綺麗に着たいから着付けを覚えたい方も、
私は全力で応援します。