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⑺何をする訳でもなく
ともかく、折角着いたのだから少し歩こうと思い、島を東西に横切る道に向かった。歩かないと写真が撮れないし、ぼくは歩くために来たのだった。雨がいつ降ってもおかしくない雲行きだけど、小さい島なので、30分もあれば戻ってこれるだろう。時間はまだ正午過ぎだ。
5分くらい歩くとすぐ田んぼ地帯に出た。稲刈りが始まったあたりだろうか?黄緑色の稲が風に揺れている。
ぼうっとしながら歩いていると、後ろから犬が一匹やってきて、トコトコと早歩きでぼくを追い越して行った。遠くの方では何人かの人たちが田んぼで何かの作業をしている。
ああそうだ。こういう出来事をただ味わいに来たのだった。ここでは何か大きな出来事は起こらない。ありふれた日常の風景しかなくて、ここを拠点に行く派手な観光地も無い。それでいて食事にも寝る所にも困ることがない。いいところに来たなあ、なんて適当なことを思って、なんだかぼくはやっと肩の力が抜けたのだった。
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しばらく歩くと、重たい空から雨が降りだした。僕は近くの空き家のような建物の軒先で雨宿りをさせてもらった。雨、というよりスコールはあっという間に激しさを増して、一時間くらい、激しすぎるガアアーっという雨音を立てて降り注いだ。まるで滝の中にいるようだ。
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続きます。