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(11)コン島の夕陽
船着場のあるムアンセーンに着いた。日暮れまで少し時間がありそうだ。仕事を終えた人たちがのんびりおしゃべりをしている。おじさんもおばさんも若い人もいる。シーパンドンのサンセットは東南アジアで一番美しい、と言う人に会ったことがある。
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その時何台かのボートが川の左側から右側へ、掛け声と一緒にやってきた。おじさんもおばさんもボートに向かって手を振っている。あれは何?とおじさんに聞くと、
「レースの練習をしているんだ。もうすぐフェスティバルがあるんだ。」
そうか、前にビエンチャンでボートのレースがどうとかって話を聞いたことがある。もしかしたらパクセーでもやるのかも知れない。
「?日後にフェスティバルがあるんだよ。」
とも教えてくれたが、よく聞こえなくて、でも疲れていたのでありがとう、と言って有耶無耶にしてしまった。ボートはあっという間に去っていってしまった。
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小さな食堂も商店も、シャッターを閉めたり店じまいをしている。若者が時々何人かバイクでやってきて、仲間同士で川を見ている。ぼくが高校生の頃、とりあえず暇な奴が集まる、と言うようなコンビニがあったのを思い出した。そのコンビニもずいぶん前に潰れてしまった。
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宿に戻る時はほとんど真っ暗の道を走った。途中顔にビシバシ細かいものが当たってきて、雨が降ってきたかと思ったら小さな虫がものすごく顔に当たる。それもある地点だけじゃなくてずっと当たり続けるから難儀した。ぼくも田舎の出身だけど、虫がでかいし田舎のスケールが全然違う。
何もないと言えば何もない島だけど、どんな何も無いと言われるような所でもそこに住んでいる人達の生活はある。でもなんだか島を1日貸切にしたようで本当に面白かった。もう一度シャワーを浴びて、晩飯を食べてから次の日のパクセー行きのバスを予約した。