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個別株を始めてみるパート4(理論的な企業の適正価格考え方について)

色々な企業を確認していて感じたことが、「良い企業があったとして、いつ買えば良いのか分からない」ということである。
どんなに良い企業でもそれがあまりにも高い価格であった場合、下落する可能性は大きくなるだろう。
ただ、「あまりにも高い価格」とはどういうことなのかさっぱり分からない。
価格の割高の指標として、PERやPBRなどがあるが企業によって大きく異なるためそれぞれどのくらいの値が適切であるのか判断が難しい。
調べている中でウォーレン・バフェットの安全マージンという考え方が面白かった。


安全マージンとは

簡単に書くと理論的な事業価値を算出し、それと実際の時価総額を比較して時価総額より事業価値が大きい分を安全マージンとする考え方である。
安全マージンが大きければ大きいほど、事業価値が時価総額に比べて高いためそれ以上に株価が下がる可能性が低くなるのである。
事業価値を算出する方法は以下である。

理論的な事業価値 = オーナー利益 ÷ 米国長期債の利回り
オーナー利益   = 純利益 + 減価償却費 ー 設備投資 

なぜこれが理論的な事業価値になるのかよく分からなかったので、もう少し調べてみることにした。

オーナー利益

まず、オーナー利益について確認する。
オーナー利益は1年で受けることが可能な現金と解釈することができる。
純利益は単純に売上に対して残っているお金であり、減価償却費を引いてしまっているため、再度足している。
減価償却費についてChatGPTに確認した結果が以下である。

想像してみてください。あなたが新しい自転車を買ったとします。この自転車で学校に行ったり、公園に遊びに行ったりすることができます。自転車はとても便利ですが、使っているうちに少しずつ古くなっていきます。タイヤが摩耗したり、ブレーキが劣化したりして、数年後にはもう新品のようには機能しなくなるかもしれません。

自転車が古くなっていくこの過程を、会計では「減価償却」と呼びます。減価償却費とは、その自転車の価値が時間とともにどれくらい減っていくかをお金の額で表したものです。たとえば、自転車を1万円で買ったとして、それが5年間使えるとします。毎年、自転車の価値が2000円ずつ減っていくと考えることができます。この2000円が1年間の減価償却費です。

減価償却費として純利益から差し引かれているが、その年に支払ったわけではないので足されているのだろう。
さらにそこから、投資に使用したお金を差し引くことで、一年間に得た現金を求めている。

事業価値の算出

上記で求めたオーナー利益を基に事業価値を以下のように算出する。

理論的な事業価値 = オーナー利益 ÷ 米国長期債の利回り

これがなぜ、理論的な事業価値になるのかよく分からなかったのだが自分なりに考えてみた。

まず、オーナー利益は上記の通り、1年間に得る現金を示している。
そして、それと同額の現金が毎年得られると仮定する。
上記を前提として、事業価値を算出する。

単純に考えるとオーナー利益分を毎年得ると考えると事業価値は無限になるように思う。
ただ、未来に得る価値を現在の価値で計る場合、未来に得る価値と同等にならない。
100万円を年利5%で借りた場合、一年後は105万円を返す必要がある。
この場合、借り方の立場では将来105万円の価値は現在では100万円と考えることができる。
よってn年後に得る現金の価値は以下のように算出できる。

現在の価値 = n年後に得る価値 × (減衰率)^n

減衰率は上の例で言うと(100-5)÷100=0.95である。
上の考えを基にオーナー利益から事業価値を求める。
n年後に得る価値は常にオーナー利益であると仮定しているため。

事業価値 = Σ(オーナー利益 × (減衰率)^n)

となる。
これは、

事業価値=オーナー利益×1/(1-減衰率)

と変換できる。
そして、1-減衰率を米国長期債の利回りとすると

理論的な事業価値 = オーナー利益 ÷ 米国長期債の利回り

となり、元の式となる。
つまり、バフェットの提唱する理論的な事業価値とは「オーナー利益が毎年同じである かつ 減衰率が1-米国長期債の利回り とした場合の事業価値」を算出していると考えることができる。

感想

上記の考え方は私が困っていた株価の割高性を考えることができないことを解決することができ、非常に便利だと思った。
ただ、二点考えるべきことがある。

一点目は事業価値の前提が将来のオーナー利益が変わらないこととしているが本当にそうであるのかを注意する必要がある点だ。
企業によっては一時的に投資キャッシュフローが大きくなることがあるだろう。
過去数年の投資キャッシュフローや純利益の推移を確認して適切な値を決める必要がある。

二点目は企業自体が持つ純資産を考慮していないことである。
私の考えでは会社の価値は、現在の純資産と将来の業績に基づいて算出されると考えているため、現在の式では純資産の額は考慮されていないように思う。
おそらく何か理由があるのだろうがまだ分かっていない。

いずれにせよ非常に便利な指標であると感じた。


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