美術検定2級にチャレンジする人へオススメする本 5冊 -西洋美術編-
今回は美術検定2級を勉強する人にオススメの5冊を紹介します。美術史を勉強するときの「定番」の5冊です。2級になってくると美術史に登場する作家の少なくとも2〜3作品はすぐに作品名がパッと出てきて、何世紀のどの作家に影響を受けた画家...みたいなのができればいいかもしれません。いや、全員なんて無理なので主要な作家だけでも...!
1.『近代絵画史(上)ロマン主義、印象派、ゴッホ』高階秀爾
美術の勉強をやり始めると必ずお世話になる高階先生の著書。おそらく美大生であれば授業などで読むのではないでしょうか?タイトルにロマン主義、印象派の次に「ゴッホ」と彼だけ名指しで出ているのがちょっと笑えます...!高階先生の本の面白さは、「あの...その時代に一緒に巨匠たちと共同生活されてたんですか?」と言いたくなるほど画家の人間関係が詳しく分かります。
2.『近代絵画史(下)世紀末絵画、ピカソ、シュルレアリスム』高階秀爾
こちらは先ほど紹介した本の(下)です。近代絵画史を押さえるために、まずこの2冊を押さえておけば、他の本にも手を出しやすくなると思います。
3.『20世紀美術』高階秀爾
こちらの本は現代アートの入門書としても良い1冊です。現代アートって分かりにくいですよね。おそらく、最初の一歩として現代アートは結局はこの1冊に集約されているような「イズム」の系譜(インプレッショニズム、フォーヴィズム、キュビズムなどなど)を理解し、それぞれの画家がどんな表現を受け継いだのか、抗ったのか、グループと決裂し去ったのか...などを知ると面白いと思います。時代の流れとともにモチーフや技法がどう変化したのかその暗号のようなものを読み解くことが現代アートをみる醍醐味だと思います。
4.『まなざしのレッスン ①西洋伝統絵画』三浦篤
三浦篤先生の本は東京大学の講義をベースにしたテキストです。実は私が美術検定2級を勉強する時には、この本を知りませんでした...。三菱一号館のミュージアムショップで見かけて、「えっ!この本事前に読みたかった...。」と後悔したので、皆さんにシェアしておきます。三浦先生は冒頭に、「絵画を見ることにルールはないけれど、知っておくと便利なコツはある」とおっしゃっています。ただ漫然と絵画を眺めるのではなく、自分で鑑賞する際の「切り口」を手に入れて愛でることをはじめたくなる一冊です。
5.『まなざしのレッスン ②西洋近現代絵画』三浦篤
先ほど挙げた本のシリーズの2冊目です。高階先生の本を紹介するときに「◯◯イズム」の美術史が理解できれば、現代美術を読み取る足掛かりになるという話をしましたが、この本の立ち位置はその「イズム」からあえて距離を置いて俯瞰している点が異なります。人物別、もしくは時系列で美術史を追うことをせず、テーマや表象、技法に着目して絵画を客観的に読み解いていきます。絵に何が描かれているかディスクリプション(説明)する方法の勉強にもなります。
今回は美術検定2級にチャレンジする人にオススメの本(西洋美術編)を紹介しました。次回は日本美術編を紹介したいと思います。(ちょっと厚い本がたくさん出てくるので読んでくださるか心配です...涙)
(ヘッダーの写真:Photo by Clem Onojeghuo on Unsplash)