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016: ユニオン・ストックヤード

昨年、数寄ゲームズで国内販売された和訳付き「ユニオン・ストックヤード」を購入していたのだが、ようやくプレイする機会に恵まれ遊ぶことができた。テーマ性が強く、非常に面白かったので感想を書いておく。



ユニオン・ストックヤード

ストックヤードとは、資材や製品の保管場所のことである。ユニオン・ストックヤードとは1865年から1971年の閉鎖まで約1世紀にわたり繁栄したシカゴの超巨大な食肉加工地区のことである。

ここでは毎月100万頭以上のもの家畜が加工され、米国の食肉の80%以上が供給されることとなり、シカゴの大きな観光名所の一つとなった。このユニオン・ストックヤードの影響で、シカゴはアメリカの食肉加工産業の中心地となり「世界の豚肉屋」として知られるようになる。

初期のパッキングタウンでは、危険な労働条件、公害、不衛生な食品製造などの様々な社会問題が取り上げられた。しかしユニオン・ストックヤードはこれらの問題に取り組み、8時間労働制度、食品検査の近代化、食品安全、食品缶詰の技術、抗菌石鹸、冷蔵保存など、社会的、技術的進歩に大きく貢献することになった。

WIkipediaより引用

ゲーム概要

プレイヤーは「ビッグ ファイブ」の食肉加工業者の1人として、労働組合との戦いや市場の操作を通じて経済を構築する。6年間の各ラウンドで歴史的イベントが影響を与える中、ワーカープレイスメントを通じてアクションを実行していく。

牛、豚、羊など家畜の屠殺により現金を得て、建物の建設や支店設立、ブランドの向上で利益を増やせるが、動物の需要やコストの変化にも注意が必要となる。最終的には裕福な食肉帝国を築いたプレイヤーの勝利となる。


ストライキにより労働者の減るシンプルなワーカープレイスメント

今回はオープン会で4人プレイをさせていただいた。1年が1ラウンドとなっており、合計6年間(6ラウンド)を行った後、最も貯金(勝利点)の多いプレイヤーの勝利となる。

システムは非常にシンプルなワーカープレイスメントとなっており、4人プレイなら4人のワーカーを配置したらラウンド終了である。特にワーカーが増えることはなく、むしろ労働者のストライキが起こるとワーカーが一人ピケラインに並ぶことにより減ってしまう。

ストライキは誰かが意図的に沈めないと毎ラウンド、ストライキを起こすことになりワーカーが1人減ってしまう。全員が減るので不利にはならないのだが、やりたいことが出来ずゲームがあっという間に終わってしまうテーマ性重視の不思議なシステムだ。

ちなみに「賃金の上昇」アクションを行うと労働組合トラックを下げることでストライキを回避することができ、労働者の士気低下を防ぐため勝利点も増える。この士気低下も溜まってくると大きなマイナス点になってくるので、1アクション使ってでも下げることに意味はある。テーマに合ったなかなか面白いシステムだ。

数寄ゲームズで購入すると和訳サマリーが付いていて非常に分かりやすい


屠殺アクションによる収入が面白い!

ヤードには牛、豚、羊といった家畜が並んでおり、これらの駒はこのラウンドで屠殺可能な頭数を表している。このゲームでの収入はこの屠殺アクションしかないため非常に重要なアクションとなる。

例えば、牛の屠殺アクションをした場合には、自社の牛肉の販売価格と牛購入価格との差額が利鞘となり、収入を得ることが出来る。つまりその時の家畜の価格が安く、自社の販売価格が高いほど高収入を得ることができるため、そのラウンドで得られる収入はプレイヤーにより変わってくる。

この場合、差額の4ドルが収入として得られる

そしてラウンドの終了時に残っている家畜の数により、市場価格が変動する。人気のあった家畜は次ラウンドではアクションスペースが減り、家畜の価値も上がるため利鞘が減る。逆に人気のなかった家畜は市場価格も下がるため利鞘が増えてチャンスとなる。

この市場の動きに合わせた柔軟な戦略性を求められるところが、このゲーム特有のシステムで非常に面白い!


工場と鉄道を接続するネットワークパズルが面白い!

パッキングタウンではゲーム開始時に自社工場を建てておく。ボード左側が各都市に向かう鉄道となっており、建物を建設して鉄道まで接続するとその都市への輸送が可能となり、その都市に支社を建設すると勝利点となる。

この時、同じ色の建物で接続していくと製品の移動コストが削減されるらしく、作業効率ボーナスとして勝利点が与えられる。このため出来るだけ同じ色の建物を隣接させたくなり一種のパズル要素がある。

しかしこの建物の建設には土地代がかかる。しかも他プレイヤーの土地に建設する場合は、そのプレイヤーに土地代を支払う必要があるため、出来るだけ土地を購入してから建設したいのだが、そのために1アクション使うかどうかは非常に悩ましい。

また建物カードには色々な種類があり、建てる工場により形や大きさが違う。またその工場により自社製品の値段も上がるので、どの製品を上げるのか考えねばならない。これもまた悩ましい。


テーマ性も素晴らしい!

全体を通して、ユニオン・ストックヤードの歴史に触れることが出来る強いテーマ性が魅力だ。各都市の初めにはランダムに選ばれた歴史的イベントが発生し、労働者の士気が下がるイベントや、牛の値段が上がるなどのイベントが起こったり、その年だけの特殊なアクションが可能になったりする。

また建物カードにはフレーバーテキストがぎっしりと書かれており、読んでいるだけで世界観を楽しむことが出来て、さらに歴史も学べて非常に面白い。


感想

今回の満足度:9点(10点満点)

これは面白かった。
基本ルールはワーカープレイスメントなのでプレイは簡単なのだが、家畜の価格に合わせて収入を得たり、パズル的な建物建築を行ったり支社を建設して最終的な勝利点に結びつける必要があり、非常に戦略性が高い。

それでいて初めての4人プレイで80分ほどのプレイ時間で終了したため、とても展開はスピーディだった。すぐに自分の手番が回ってくるため写真を撮る余裕があまりなかったように思う。

惜しむらくは、国内流通しているものは「和訳付き英語版」ということだ。ルールブックと一番大事なサマリーは日本語化してくれているが、建物カードのフレーバーやメインボードは英語のままなのが残念で仕方ない。

今回、有志の方により提供されたカード和訳とボード和訳を利用して日本語化を行った。これによりとてもプレイしやすくなり、フレーバーも楽しめるようになった。このゲームを遊ぶ方には、ぜひ日本語化することをおすすめしたい。


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Sato39
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