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アタック25Next参戦記・補遺 日本一周クルーズ参戦記④旅行編(5・6日目)

第3章 出発~旅行編(承前)

この記事はMSCベリッシマによるクルーズ旅行の顛末を記載した記事の4本目になる。これまでの記事はこちら。

第5節 5日目:金沢

 旅も折り返しとなる5日目。船は日本海を静かに南下し、金沢港へと滑り込んでいく。この頃になると船上生活にも慣れてくるもので朝のラジオ体操に参加し、その足で隣接するビュッフェに。娘と妻が朝食を取りに行く間にカトラリーセットを取って座席を確保。座席についたところで交代して自分が朝食を確保し食事後、ウォーターサーバーの水で水筒を満たし部屋に戻る。今日の旅行先は金沢。今回の寄港地の中で夫婦ともに訪れたことがある地だ(娘にとっては初めて)。金沢の暑さは理解していた上、子どもに楽しい観光地は少ない。なので兼六園を散策した後金沢駅に移動し、お土産を確保する作戦を決行。
 ということで、今回の目標はこちら

  • 兼六園を観光する

  • お土産を確保する

 娘は誕生日に購入したトイカメラを片手に兼六園の写真を取りまくっていた。金沢駅では居酒屋風の食事処へ。暑いのに金沢おでん…と不安だったが喜んでくれた。
 午後には船内に撤退し、プールサイドでドリンクを楽しみ、子どもは因縁の託児施設へ。親子で自由に出入りできるところにレゴがあり、レゴをひとしきり楽しむ。
 そうこうしていると夜に。プロムナードの天井には定時に美麗なCGが流れる。これを眺めながらのんびり過ごしていると、どうやら子供向けのダンスアクティビティがあるらしい。ちょっと恥ずかしそうにしている娘だったが思い切って送り出してみたところ、生来のお調子者が功を奏し、見様見真似で楽しく踊り始めた。そしてなにかの賞を獲得していた。プレゼントを貰えたが、何の賞かはさっぱりわからない。楽しく踊れたで賞。

第6節 6日目:釜山

 翌日、船は韓国・釜山へ。なぜ海外が寄港地になるかは以前に取り扱った通り。個人的には韓国にあまり好印象を持たないのだが、逆にこんな機会でも無ければ来ることはない、と割り切って楽しむことにした。ちなみに他の寄港地と異なり到着が午後、出港が夜であり、夜のベリッシマを船外から眺めるほぼ唯一の機会である。
 船内アクティビティで前々から気になっていた「クイズ」に参加することに。車のロゴからメーカーを当てるクイズ。ヨーロッパのメーカー多めで苦戦。そんな時、斜め横の席にこのクルーズに似つかわしくない(失礼)若そうな青年を発見。しかもちらちら視線が合うような気がする。もしかして…と思っているとその後その青年から話しかけられた。奈良県出身の方でやはりアタック25トップ賞獲得者であった。この時あまりコンタクトを取れなかったのが今でも悔やまれる。
 そして船はついに釜山港へ到着。ここでパスポートが一旦返却される。船外に降りてすぐに向かうのは両替所。市中にも両替所があると書いてあったが手数料を加味するとここで変えてしまったほうがよさそう、とのことで対応していただく。結構並んでいるがスムーズに対応していただき、無事交換。シャトルバスで移動する。釜山市はかなり広い(釜山広域市が正式名称)ため、観光は南のはずれをウロチョロするにとどまる。
 ちなみに通信面についてだが、これまでは寄港地が日本だったため考えなくてよいが、今回は海外である。うっかり変なキャリアやwifiに接続してしまうと高額な請求が来ないとも限らない。私の使用キャリアのauが当時便利なプランを用意してくれていた。au世界データ定額(現在はau海外放題/世界データ定額)で事前に申し込みをすることで24時間単位で海外のデータキャリアを使用できるシステムである。
 ということで、今回の目標はこちら

  • 釜山ダイヤモンドタワーに登る

  • 国際市場でお買い物をする

  • ククスを食べる

 観光スポットとなりそうな場所として龍頭山の頂上に建つ釜山ダイヤモンドタワーが存在。公園には李氏朝鮮の救国の英雄・李舜臣の銅像が立っているバリバリの反日スポット(これに関しては完全に秀吉がアカン)。せっかくなので釜山の町並みをみるのも良さそう、とルートに組み込んだ。
 国際市場は日本でいうと大須?アメ横?雑多なお店が立ち並び雑貨なども多い。妻や娘が髪飾りなどを見たいということでここもチョイス。
 食事についてはやはり辛いものが多そう、という偏見があり焼き肉か麺か、というところだったが時間の都合と船内で豪華な料理が続くこともあるため、素朴な麺類にしようと選択。
 というわけでバスは龍頭山に到着。タワーでは釜山市内を一望できたほか、インスタ映えな写真を撮ることができるスポットも多数存在。楽しく登ることができた。また途中にカメラが設置されており、写真を撮るとその後、タワー内にあるモニターに写真が流れる。有料で記念に写真を購入することもできたようである。
 下の広場で事件が起きる。タワーのロゴが入ったフォトスポットで写真を撮っていると、おじさんが声をかけてきたのだ。同じアジア人ではあるが、明らかに軽装であり韓国の観光客(あるいは地元民)であろうという雰囲気が伝わってくる。海外に不慣れな自分としては警戒していたのだが、どうやら写真を撮ってくれる、という話らしい。お金をとられるのかと思ったら携帯を貸してくれ、というジェスチャー。持ち逃げされないかなと思いつつ、貸すと何事もなく、写真を撮ってくれた。しかもポーズ要求が多く4-5種類は撮ってくれた。そのまま何事もなく普通に携帯も返してくれ、良い旅を~みたいなテンションで去っていった。シンプルにめっちゃ良い人だった。
 日本と中国・韓国との関係が複雑なことは知られているが、以前に日本で会った韓国人や今回の旅行で出会った人は特にそういったこともなく良好な関係を築くことができた。単純に海外の方が観光で来た時に優しくする、そんな人間の善性だと思う。個々の考えでその人が日本人のことを実は嫌いかもしれない、とは思うがそういった政治的感情・個人的感情と善隣友好の精神はなるべく切り分けて行動すべきだな、と改めて考えるきっかけになった。
 龍頭山から階段を下っていくと、眼下に広がるのが観光用の土産物屋や雑貨屋などが立ち並ぶ国際市場である。このあたりにはかつて草梁倭館と呼ばれる日本人町が存在していた。日韓の貿易は室町時代にいわゆる三浦(さんぽ、乃而浦・ 富山浦・塩浦)で行われていたがその後様々な経緯を経て衰退、一旦途切れていた。江戸幕府が対馬藩宗氏に命じた交渉によりなんとか貿易は再開。1678年に新たな倭館として開かれたのが草梁倭館である。多いときには4-500人が住み、貿易の他、留学にも用いられたとされている。そんなものには興味を示さない我が家族は迷いつつも国際市場に到着。いろいろなヘアゴムやヘアピンを購入してご満悦であった。
 その後はハルメチプというお店へ。事前に調べたところによると釜山のグルメとしては小麦粉を用いた冷麺・ミルミョンがおすすめらしい。だが冷麺などにはキムチなどの辛味が入っていることが多い。子供にはきつい、ということで選んだのが「ククス」である。これは「にゅうめん」のようなものらしい。当時は妻にまかせきりであったのだが今調べるとこのお店、地元民が利用することの多いような店らしい。英語は当然通じず、韓国語でしか注文できなかった。お前クイズプレーヤーなら何でもできると思ってんだろ。google翻訳を駆使してなんとか注文。子どもは辛くないようそのまま食べ、我々はコチュジャンを少し足す。素朴な味わいでとても美味しかった。正直、日本のご当地グルメと比べると物足りない感はあったが…。ただ、これについては昨今の日本はご当地グルメを売りにし、豪華に見せようとしたりしている点は否めない。先日、とあるyoutubeで取り上げられていた日本の郷土料理は「太いうどんをちぎって鍋に入れて煮込んだもの」であり、それに対してそれを食べに行ったyoutuberは「味が想像できますね」とコメントしたのに対し、地元民の彼の友人は「そうですよね、その想像は超えてきませんよ」と返し、実際に想像通りの味だったという。そんな素朴な、そして今も地域に息づいているご当地グルメは今の時代、意識的に摂取しないときらびやかな「ご当地グルメの人気店」に押し流されてしまう。韓国ではそんな地元の名店を訪れることができた。
 その後はシャトルバスの発着点であるロッテ光復店まで歩く。韓国の路面店は日本とは異なる装いで目を楽しませてくれた。次第に暗くなる町をバスで抜けると、海の上に浮かぶ巨大なシャンデリアのように輝くベリッシマに到着。家族で写真を撮影し、船内へ。
 子どもの初海外はこうして無事に終わったのであった。

(続く)

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