影山多栄子《2》|月光菓子クッキーセット
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都会の街で、屋根裏部屋に暮らす若く貧しい画家の青年。でも、子どもの頃からの友達である月が、世界中で見た光景を夜ごとに語ってくれるから孤独ではありません。ディケンズとも深い親交のあった作家アンデルセンが紡いだ『絵のない絵本』は、そんな美しく不思議な物語。
第三夜、月はある女性のことを少女の頃から見つめ続けていました。バラよりも輝く少女のきらめきは儚くも美しいものでした。
第十七夜、世界の色々な光景に見てきた月も、とびきりのおしゃれに喜びを隠せない少女の姿には、思わずほほえんでしまいます。
第二十二話。月は女の子と彼女のお気に入りの人形が織りなす冒険を目撃していました。このふたりは、どんな秘密も分かち合える大親友のようです。
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アンデルセンの童話の中にはチャーミングな少女たちが沢山登場します。「絵のない絵本」の中でも、月の優しい視線の先に輝く少女たちがいます。それは心おどる可愛らしいアイシングクッキーみたい!そう思って、3つのお話から、このこたちが生まれました。
2021年の《レース模様の図書室、再訪》展から制作している、布人形の「誰かの忘れ物」というシリーズの作品で、今回は4人とも頭をボンネットのようにレースで飾り、その大きさや形から、クッキーに見立てて作ってみました。
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最初の第三夜はある女性の日々を追いながら、最後にばらの木の側にいた子供時代に戻ってくる…。形は少しほっそりと、表情は静かにまぶたを閉じています。真ん中につけたヴィンテージボタンは時計=時間やポツリポツリと咲く花のイメージで。
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素敵な新しいお洋服と帽子に高揚する子の誇らしげなお顔。両脇の斜めなリボンも青いボタンの丸さもレースのリズムもキラキラビーズたちもみんな楽しげな様子です♪
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人形と心を通わせる女の子というシチュエーション、作らないわけにはいきません。スカートのところに3cmほどのお人形さんを描き入れました。とても気に入って、予定よりひとつふえてしまいました。
柔らかな布でできた小さなお人形たちが、午後のくつろいだお茶の時間の嬉しいお供のように、誰かをちょっぴりでもあたたかな気持ちにしてくれる存在になりますように。
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作家名|影山多栄子
作品名|月光菓子 第三夜
リネン・ミニチュアファー・レース・ポリエステル綿・ビーズ・ヴィンテージボタンなど・布えのぐ着彩
作品サイズ|H11cm × W8.5cm × D3.5cm ×
制作年|2024年(新作)
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作家名|影山多栄子
作品名|月光菓子 第十七夜
リネン・ミニチュアファー・レース・ポリエステル綿・ビーズ・ヴィンテージボタンなど・布えのぐ着彩
作品サイズ| H11.5cm × W9cm × D3cm
制作年|2024年(新作)
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作家名|影山多栄子
作品名|月光菓子 第二十二夜(紫色人形・茶色人形)
リネン・ミニチュアファー・レース・ポリエステル綿・ビーズなど・布えのぐ着彩
作品サイズ|H11.5cm× W9cm × D2.5 cm
制作年|2024年(新作)
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