『還魂』と『ホテルデルーナ ~月明かりの恋人~』は超スペクタクル
こんにちは、さちこです。普段は、外国の方に第二言語としての日本語を教えています。どうぞよろしくお願いします。
書籍やコミック、ドラマや映画などで、次に読む/観る作品をどのように決めるだろうか。
「脚本家追っかけ」をすることを教えてくれたのは、同僚となった10歳ほど年上の女性だった。
業務の関係で、毎日その方とほぼ2人っきり(昼休みのみ交代要員が来た)で過ごさねばならず、まだ20代半ばで今よりさらに世間知らずだった私は、何を話せばいいのか、どう話せばいいのか、相手と良好な関係を築き、それが続くようにとカチンコチンに緊張していた。
けれども、毎日なんだかんだとおしゃべりする中で、結果的には自分がそれまで持っていなかった様々な視点を教えてもらった。たまの人の噂話にはどう答えたらいいか、困惑したままだったけれども。
学生時代までは同世代で同じような興味関心の持ち主、いわゆる気の合う仲間と話していたので、視点もそこまで異なることは少なかった。だから、世代も興味関心も異なる彼女と話せたことは、とても良かった。彼女からは、天気図の見方や既婚女性の給料が保育料にほぼ消える件など、他にもたくさん教わった。
コロナ禍以来、韓ドラにハマっている(と何度書いたことだろう)。
『還魂』を観終わり、下記をnoteの下書きに保存したまま、7ヶ月以上が経過していた。
その間に、『還魂』の脚本家が手がけた『ホテルデルーナ ~月明かりの恋人~』も、つい先日観終わってしまった。
https://www.netflix.com/jp/title/81205849
『ホテルデルーナ ~月明かりの恋人~』を観たのは、『還魂』を書いた脚本家の作品と知ったからだ。脚本は、ホン・ジョンウン、ホン・ミランという2人の姉妹によって書かれており、韓国ドラマ界ではホン姉妹として有名だという。
ちなみに、韓国ドラマ界には、有名な脚本家としてホン姉妹がもう一組いるそうな(なんとややこしい)。
先に観た『還魂』は、2022年の作品で、上記の下書きに興奮して書いているように、架空の世界で繰り広げられる物語なのだが、その世界観を作り出す映像のクオリティがものすごく高く、CGを駆使しているのだろうが、映画と見まごうばかりというか、映画にも優っているのではないかというほどだった。子供騙しではない、大人もどっぷりその世界観に没入できるレベルに思えた。
また、衣装や小道具、背景などの色が集まって画面に収まるときの配色が、異世界感を醸し出すとともに、一つ一つの画面が一幅の絵のように美しかった。
この世界観を作り出す韓国ドラマの制作陣の凄さを思うとともに、
この世界観を創り出した脚本家の想像力を思わずにはいられなかった。
ストーリーは韓国ドラマらしく、ヒューマンでコミカルで、サスペンスで、人間模様、時折ハッとさせられる含蓄あるセリフに後頭部をぶん殴られる気がするのも共通だ。その他に、吉本新喜劇ばりの夫婦漫才チックなやりとりが挟まれるのも、大人になってからとはいえ大阪で約10年過ごしたエセ大阪人には楽しかった。
そんなこんなで『還魂』をすっかり堪能した私は、その世界観を編み出した脚本家・ホン姉妹の他の作品も見てみたくなり、ネットフリックスで探したところ、『ホテルデルーナ ~月明かりの恋人~』を見つけたのである。
『ホテルデルーナ ~月明かりの恋人~』は2019年放送なので、作品としてはこちらの方が古い。
観始めると、主人公の2人がそれぞれ、私の好きなドラマ、『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』『王になった男』の主役だったので、驚くと共に期待がますます高まった。
https://www.netflix.com/jp/title/81267691
https://www.netflix.com/jp/title/81482476?source=35
『ホテルデルーナ ~月明かりの恋人~』も、死者が三途の川を渡る前に安らぐホテルがソウル市内にあるという設定のファンタジーであった。実在のソウルの街に違和感なく架空のホテルを聳えさせる映像技術が素晴らしかった。
また、『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』で複雑な少女の心境を見事に演じたIUが、1300年間もホテルに縛りつけられているために天国に行き転生することが叶わぬ女性というさらに複雑な人物を見事に表現していた。時に大人っぽく、時に少女っぽくもある、数々の衣装をうっとりするほど美しく着こなす姿も眼福だった。
そして、やはり各役者の衣装や小道具、背景の色の集合による配色のバランスが美しく、絵画のようだった。
ストーリーも韓国ドラマの御多分に洩れずであった。さらに、朝鮮戦争やベトナム戦争などの戦時下や、女性の社会進出と家事労働、後継ぎを産めなかった女性への偏見など、社会的な問題を焦点にするわけではないけれどもエピソードにそっと盛り込むことで目にし、結果として考えさせられる人もいるだろうという仕掛けが、このドラマにもあった。
エンターテイメントとして楽しませることで多くの視聴者を呼び込み、それにより多くの視聴者に社会問題をも考えてもらえるかもしれないという手法が凄い。
実は『ホテルデルーナ ~月明かりの恋人~』の最後は、脚本家の意図がわたしには理解できない部分があった。おそらくドラマに出てきた本の書名でもある「存在と時間」がキーワードで解釈するのだろうと思うのだが、まだ答えがわからないままだ。しばらくその答えを考える時間も楽しめそうである。
(お読みくださり、ありがとうございました)
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