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デンマーク・フォルケホイスコーレ留学での生活と学び
こんにちは。
久々の記事になります。
先月からデンマークのフォルケホイスコーレという学校に留学しています。
留学生活も4週目となり、だいぶ慣れてきたので、今回は学校生活について書いてみようと思います。
フォルケホイスコーレとは?
フォルケホイスコーレとは、北欧独自の教育機関です。
フォルケホイスコーレの特徴は、試験や成績が一切ないこと、民主主義的思考を育てる場であること、知の欲求を満たす場であることです。
授業について
授業は月~金の週5日、1日の授業時間は午前の授業2時間・午後の授業2時間の計4時間(休憩含む)で、スケジュールには余裕があります。
各科目で時間数が決まっており、私の学校ではA・B科目が週6時間、C・D科目は週2-3時間になっています。
今のタームで私のとっている授業を軽く紹介したいと思います。
①A科目:SO-SU(福祉・教育)
デンマークは「幸福度が高い国」として名が挙がることも多いですが、その幸福度を支える根幹となっているのが、デンマークの社会福祉・教育・医療システムです。
ただ制度のことだけでなく、デンマークに根付いた人々のメンタリティ・その制度がどういった背景で成立したかまで幅広く学んでいます。
私はこの科目がとりたくて今通っているホイスコーレを選んだといっても過言ではないくらいなのですが、期待していた通り、学びが多くてとても楽しいです。
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みんなで話しながら進んでいく
②B科目:Personal Leadership
「リーダーシップ」という言葉から、「組織のリーダーとして引っ張っていく」みたいなところを想像していたのですが、この科目では、
「わたしはわたしの人生の主人公として、どう意思決定していくか」
といったところを学んでいます。
自分の人生を振り返ってみたり、時には「人間には自由意志はあるのか?」という哲学的なテーマで討論したり。
自分の人生の進み方について考えるきっかけになる科目で、こちらもとても学びが多いです。
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③C科目:陶芸
C・D科目は選択科目で、私の学校では実際に体を動かすなど実践系の科目が多いです。
陶芸ではお皿やコップなど実用的なものを作るもよし、謎の彫刻を作るもよし。
好きなように粘土をこねて表現できるのが楽しそうで選びました。
④D科目:ダンス
あえて、今までの人生でチャレンジしたことのないような科目も選んでみることにしました。全くダンスの経験はないのですが、ダンスを担当する先生が
「この科目は表現の美しさを競ったりするためのダンスじゃないわ!自分の体のこと、動きや体の状態をよりよく知るためのダンスよ!」
と言っていたのが印象的で選んでみました。
もともと体を動かすことにも苦手意識があったのですが、楽しめています。
⑤その他(修学旅行で行く場所の事前学習、カルチャーナイト)
ホイスコーレには修学旅行もあります。
わたしはボスニアヘルツェゴビナ/セルビアを選択しました。ただ楽しむ!というだけではなく、紛争などの歴史的背景についても事前にしっかり学習する時間があります。
また、週1回、「カルチャーナイト」といって、学外から人を招いて話を聞いたり、環境問題や気候変動などのトピックについて深める時間があります。
歴史や環境問題といったテーマはこれまで、自分の中ではあまり親近感を持ってこなかったのですが、「人間がどんな道をたどってここへたどり着き、どんな道を通って未来に向かうのか」という視点で考え始めたら、俄然興味がわいてきた分野でもあります。
生活について
とにかく自由時間が多いので、授業で学んだことを深堀りして十分に調べる時間があり、自主的に学べるのが楽しいです。
授業で扱ったテーマに関する動画を見たり、日本ではどうなんだろうと調べてみたり、自分なりに問いを立ててみたり…
「学び」はこういう場から生まれるのだなと実感しています。
勉強に疲れたら、自転車で近くの港町まで行ったり、読書したり、楽器を弾いたり、絵を書いたりと、まさに「好きなことを好きなだけ」という生活。
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カリンバという楽器を練習中
食事も3食提供され、学校内で生活は完結してしまうので、日々の生活に追われることなく、複雑なことを考える余白や創造性が生まれるのかなと思っています。留学前は、何も考えずただお金を必死で稼いで生き延びることを考えていた私にとっては心のオアシスのような環境…
ただ、その一方で少し懸念というか、来る前にもう少し知っておきたかったなーということも少しづつ見えてきました。例えば…
①語学を学べる場所ではない
フォルケホイスコーレは「英語を学ぶ場所」ではなく「英語で何かを学ぶ場所」です。
そのため、「英語力向上」「国際交流」などをホイスコーレ留学の第一目標にしてしまうと(もちろん人や学校によりますが)少しミスマッチになってしまうのではないかと思っています。
また、フォルケホイスコーレの人気がどんどん日本で高まってきていることもあり、かなりの数の日本人がいることを念頭に置く必要があります。
(私の学校は今タームは約1/3が日本人です)
②何かを形に残せる(資格とか)場所ではない
(注:デザイン系などの学校だとまた違うかもしれません)
フォルケホイスコーレでは、資格は取れませんし、試験もありません。
頑張るも頑張らないも、すべて自分の判断です。
自分のいた証が目に見える形としては残らないので、「自分の中に何を残したいか」という視点で考えていかないと、目標を見失ってしまうかもしれません。かくいう私もどう目標を設定するかで奮闘中です…
こんなところでしょうか。
デンマークの国民性にも大きくかかわってくる「自立・自己決定」の精神がベースにあるせいか、過ごし方は本当に自らにゆだねられているという印象です。
また、ホイスコーレという場所の特殊性(デンマーク人にとってそれほどメジャーな選択肢というわけではないと最近知りました)も相まって、どうホイスコーレの外の世界とのつながりを作っていくかも、最近の個人的な課題ではあります。
番外編 学外のイベント
土日を使って学外のイベントに参加したり、平日でも学校として外部のイベントに参加できる機会もあります。
これまで参加した中で印象的だったイベントを紹介します。
①March against Lonliness(孤独と闘う行進)
幸福度が高い、という側面が取り上げられがちなデンマークですが、実は近年は孤独の問題が深刻化しています。
この”March against lonliness”というプロジェクトを主催している方も、かつて孤独に苦しんでいたそうです。そんな中、同じように孤独と闘っている人と出会いたいという思いから、デンマーク中を歩くことにしたそう。
その距離、なんと1日30㎞。この距離の移動を8週間続けて行うそうです。
わたしたちは学校としてこのプロジェクトに賛同し、1日彼らと同行して32km歩くことに。
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近所の小学生、地元の人など、さまざまな人が参加していました
私はこれまでそんな距離は歩いたことがなかったのですが、
途中でリュックの肩紐がちぎれるなど想定外のトラブルに見舞われながらも(苦笑)、約7時間をかけて32キロをなんとか歩ききることができました。
最後の5キロほどがかなり大変だったのですが、周りの人たちと同じ気持ちを共有しながらどうにかゴールできたのがとても印象に残っています。
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格別においしかった!
②Climate People's Meeting(気候変動会議)
その名の通り、気候変動に関する最新の知見や企業の取り組みなどを発表する場です。しかし、会議とは言いつつも、各ブースには、廃棄されそうな野菜を使ったオリジナルのディップソースづくり、カードを用いた気候変動に関するクイズといった、楽しく体験しながら環境問題についての知識も深まるようなアクティビティが多くありました。
また、着なくなった服を無料でもらえるフリーマーケットなど、日本ではあまり見られないような取り組みもあり、とても興味深かったです。
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ここまで過ごしてみての感想
実は、最初の1週間ほどはかなりしんどい思いをしました。
イントロダクションの週で授業が始まっていなかったこともあり、
この制約もほとんどない、自由すぎる環境で何を学べるんだろう。
ただ食べて寝て、生活するだけで留学が終わってしまうんじゃないか。
こうした思いにさいなまれたり、デンマーク独自のパーティー文化などについていけず一人むなしく部屋に戻った日もあったりしました。
ただ、幸い私は授業が自分の興味にばっちりはまったこと、今のところ自分のやりたいことが目下たくさんあり、だんだんと充実した日々を過ごせるようになってきたような気がします。
特に、「勉強・学ぶこと」に対するイメージがこちらに来てがらりと変わりました。
これまで自分のしてきた学びはどうしても「試験をパスするためのもの、『AだからB』という単純暗記の繰り返し」というものでしたが、こちらに来てからの学びはその背景まで学ぶことで「自らの教養を深めるための学び」として自分の中に根付きつつあるような気がしています。
これからも自分の探求心・知的好奇心を大切にしながら、ホイスコーレ留学の日々を過ごしていきたいと思います。
今回はそんなところです。
また授業で感じたことなど書きたいと思います。
読んでくださってありがとうございました!
Photo:デンマークに来て初めて描いた絵